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『法廷遊戯』 五十嵐 律人 著

この小説で面白いのが「無辜(むこ)ゲーム」

法科大学院ロースクール 法都ロースクールで行われるゲームでルールは、
・加害者・被害者・審判者の3人で行われる。
・ゲームに参加する被害者は審判者に対して証人を引き出し、犯行の手口を立証するなどして犯人を特定する。
・証人は否定か肯定でしか答えられない。
・証人は嘘をついてはいけないが、自分の罪が暴露される場合は嘘が認められる。
・証人は審判者の問いにだけ自由な回答が許される。
・敗者には基本的に同害報復の罪が与えられる。
など。

とにかく法律を学ぶ学生が法律を使って行う模擬裁判のやり取りが楽しい。特に、証人が事実を知っていても質問が正しくないと答えることができないのは面白い。実際にやってみたくなる。

司法試験合格後のある日、無辜ゲーム開催の連絡があり集合するがそこで殺人が起こる。


その犯人として捕まるのが織本 美鈴(おりもと みれい)。
被害者は無辜ゲームを創り審判者を務めていた結城 馨(ゆうき かおる)そして美玲を弁護するのが久我 清義(くが きよよし)。

同じロースクールで学んでいた3人に何があったのか?


美玲は接見しても何かを隠していて無実を証明しようにも難しい。
しかし、少しづつ見えてくる真実と殺人事件に隠された過去の事件。

そして予想外の展開を見せ、さらに予想外の着地に驚く。
ストーリーを全て読んできて読むラストの一言に鳥肌のような寒気のような冷んやりしたものを感じる。

10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜を罰するなかれ。
刑事事件の大原則を示した言葉。

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