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#2:主観を排して、ワクチンについて学んだことを書く日記ー自然免疫編ー

前回、タンパク質の合成について説明してみました。
ちょっとはわかりやすいと感じてもらえると嬉しいです。
あらためて学んでみて、この分野は、英語、日本語の専門用語。
そして、その専門用語のアルファベットの略語が混在するとか、初見殺しにもほどがあります。

今日はその続きですが、すいません、今日の日記でもまだワクチンまでたどり着けません。。。それどころか自然免疫までで終わってしまいました。
…趣味全開で書いてしまったので。。。

とはいえ、菌やウイルスなど外敵が体内に入った時、どう体内で応戦しているか。その仕組みを理解しないことには、ワクチンも理解できないので、
お付き合いいただければ幸いです。

皮膚戦役ー自然免疫の戦いー

山賊(細菌)襲来

人体は細胞でできています。細胞といってもそれぞれの場所ごとに特徴があります。人と外界を隔てる部分、例えば皮膚や口の中、あるいは目や胃などは外敵との最前線。

こんにちは、あるいはこんばんは。
今日も今日とて皮膚前線では、外敵警戒アラートが鳴り響きます。

皮膚前線

今回の招かれざるお客さんは、山賊(細菌)です。
数も少なく、たいして強くもない山賊であれば、皮膚では緻密な皮脂膜や角質層が物理的な壁となって内部への侵入を防ぎます。
さらに壁に張り付いた山賊には、壁の上(汗腺)から熱湯(抗菌ペプチド)をかけて撃退します。

しかし、例えば怪我をするなどして壁に穴があけば、弱い山賊でも侵入を許します。

ビーッビーッビーッ
「外敵侵入、外敵侵入。山賊が一時防衛ラインを突破した。
哨戒部隊(マクロファージ)は、表皮戦線に急行せよ。
これは訓練ではない。繰り返す、これは訓練ではない」

戦線に到着した哨戒部隊は、外敵の排除を始めます。
山賊の侵攻が軽微であれば、哨戒部隊だけで排除が完了します。

しかし、時として山賊が思いの外強力な場合がああります。

「くっ...こいつら手強い、本当に山賊かっ!?」
「隊長、やつらこんなものを身につけています!」
「これは、黄色の頭巾、まさか、、やつら黄巾賊かっ!」
「まずい、援軍を呼べ!作戦本部に伝令、黄巾賊襲来、黄巾賊襲来!!」

黄巾賊(細菌)

哨戒部隊(マクロファージ)は、外敵と戦う際に同時に敵の情報(抗原)を集めます。外敵が強力で排除できなかった場合は、哨戒部隊から、伝令(サイトカイン)が送られ、援軍の要請と、得られた敵の情報の伝達(抗原提示)が行われます。

士官学校(胸腺)

最前線では外敵との戦いが日々行われています。一方で、
中央の士官学校(胸腺)では、防衛戦の指揮をとる士官候補生(T細胞)の教育が行われています。

士官候補生(T細胞)の訓練

訓練教官(胸腺上皮細胞
「100万年の進化の果てに、分化したのがお前みたいなできそこないとはな。リボソームに送り返されてぇのか!」
「このヒヨッコどもがっ!ケツについた殻はさっさと外して、使えるトサカ(抗原受容体)を生やしやがれ」
「サーイエッッサー」

胸腺上皮細胞(訓練教官)ちなみに卒業率は5%ぐらいだそうです。

士官候補生(T細胞)はあとあと獲得免疫の主役に成長します。しかし、それまでは士官学校(胸腺)で訓練教官(胸腺上皮細胞)にしごかれます。

この時、訓練教官の目(自己抗原)に適った士官候補生は合格(正の選択)となり、適正に応じて新人指揮官(ヘルパーT細胞/CD4+T細胞)か新人大隊長(キラーT細胞/CD8+T細胞)になります。
一方で、厳しい訓練で精神を病み自分自身を攻撃してしまう士官候補生もいます。このような士官候補生は脱落(負の選択)させられます。また、再訓練を受けるものもいます。
トサカとは敵情報を受け取るアンテナです。

卒業と赴任

訓練教官
「本日をもって、貴様らは無価値な細胞を卒業する!」
「本日をもって貴様らは前線指揮官として各前線へ向かう、ある者は二度と戻らない。細胞はいずれ死ぬ。だが、人体は再生する。つまり、貴様らもまた再生する。」
「テロメアが切れ、セントラルドグマが止まるその日まで諸君らの奮戦を期待する!」
「サーーイエッッサーーーーっ!」

こうしてT細胞は、各戦線に送られ新人前線指揮官(ナイーブT細胞)として赴任する。
「新人」とは戦闘指揮経験がないことを意味し、まだ、哨戒部隊や偵察部隊(樹状細胞)からの情報(抗原提示)により戦闘指揮(活性化)を行なったことがない状態を指しています。

「やれやれ、俺の赴任先は…皮膚か。平和だといいんだがな。。」

再び皮膚戦線

「蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし!時は庚子にありて、天下大吉!」「わが同胞黄巾兵よ、密集方陣組め、全軍突撃!!」

黄巾賊

「哨戒長どの前線が突破されます。。抑えきれません。」
その時、哨戒部隊後背に砂塵が沸き起こり、戦場に喚声がこだました。
「哨戒長、後背に回られました。。。。」
「いや、違う。あれは、」
砂塵が収まるにつれて、多くの影が現れた。
「待たせたな、ここは任せろ」
「好中球、NK細胞、樹状細胞まで、助かった。」

好中球/NK細胞/樹状細胞

特殊偵察部隊(樹状細胞)
「黄巾賊の戦術は、軽装歩兵によるファランクスのようね」

重装歩兵(好中球)
「なるほどな、よかろう。全軍斜線陣を組め。左翼は50列、中央、右翼は12列。急げ」
「遊軍部隊(NK細胞)は、敵兵の遅滞戦闘に努め、各個撃破」

重装歩兵(好中球)

マクロファージだけで手に負えない敵が現れた時には、サイトカインが伝令として放出され、援軍が到着します。より戦闘力の高い好中球やNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が戦線に合流することで、戦力が増強されます。
さらに、情報収集に特化した樹状細胞が敵の情報を収集します。
マクロファージ、好中球、NK細胞、樹状細胞などが自然免疫を担当しています。

特殊偵察部隊(樹状細胞)
「さすが、重装歩兵ね。厚みをもった左翼が黄巾賊の右翼を突破して、
側面、背面に回り込んで半包囲体制を築くなんて。。。でも、」
「おかしいわ、黄巾賊が強すぎる。自然免疫全部隊を動員しても排除できないなんて。」
「そういえば、さっき黄巾賊が変なこと言ってたわね。庚子がどうとか。」
「庚の意味は、確か変化、転生、子は発芽、繁殖。合わせると変化を生むものの発生と増殖」
「十干十二支の庚子は、2020年。嫌な予感がするわ、情報を中央司令部(リンパ節)に持ち帰らなくては。。」

自然免疫だけで排除がうまくいかない場合、樹状細胞は集めた情報を持って、リンパ節などに戻りヘルパーT細胞に伝達します。
これによってさらに強力かつ特異的な援軍(獲得免疫)を呼び寄せます。
同時に様々なサイトカインを出して、士気の向上(炎症/活性化)などを行います。

つづく。

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