「大人になったら徹夜しようぜ」/短文バトル222

 小さい頃、隣の家のお兄ちゃんによく遊んでもらっていた。年は三つしか変わらないけれど物識りで、眼鏡のせいか妙に大人びてみえた。部屋には図鑑やら望遠鏡やら珍しいものがたくさんあって、望遠鏡をのぞきたいと言ったら、昼間じゃつまんないよ、と返されてしまった。がっかりしたわたしに、お兄ちゃんは「大人になったら徹夜しようぜ」なんて言った。わざわざ徹夜なんてしなくても天体観測くらいできるのにそんなことを言ったお兄ちゃんは、今ではもう三人の子持ちである。

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