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Hand

時々、
胸に風穴が開いて
寒波が押し寄せて
ヒリヒリする

涙と鼻水は
僅かな体温の
残り香を呼ぶ

その手に触れた時

大切なグラスを壊さないか不安になった

ショーケースの中の
煌びやかな世界に夢中で
硝子の壁があるのを
忘れて怪我ばかりする

人は笑うだろう

滑稽だ
悲喜劇だ

どうしたいとか
どうなりたいとか

そんなもの
どうでも良かった

単純なこと

あなたに触れたい

その手に触れたい

たった
それだけのことに

誰かは顔をしかめた

誰かは
哀しそうな顔をして

誰かは
嘲笑するんだ

私は幸せな馬鹿でいい
それだけの存在でいいはずなのに

誰かや何かは邪魔をする

あなたの手が
カサカサでも
私はあなたの手が愛おしい

それだけのこと
ただ、
それだけのこと。

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