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やっぱり1番怖いのって人間なんだね

こんにちは。ニボシです。

今日はとある本を読み終えたんですが、すごく暗い気持ちになりました。

今回読ませていただいた本はこちらです。

湊かなえ著「ユートピア」です。

読み終えた感想ですが、端的に表すと「人間の陰湿さをこれでもかと詰め込んだ」作品です。

ということは読んでてすっきりはしません。途中から不穏な空気になっていくんですが、最後までそんな感じでした。

前回の投稿で、アンデジュ・ハンセン著「スマホ脳」について書きましたが、それに付随するような内容でした。

どこが付随してるなと思ったかというと、ハンセン氏は本の中で

「人間は良いニュースより悪いニュースの方が印象に残りやすい脳の構造をしている。これは人間の祖先が外敵などの危険から逃れるための名残であり、悪いニュースは生き延びる上で重要であったと考えられる。現代人がスキャンダルやゴシップといったニュースに興味を抱きやすいのは、この祖先からの本能的要素が影響していると考えられる」

「スマホ脳」より私なりに一部抜粋

まさにこれです。

今回読んだ「ユートピア」は、とある海辺の地方都市を舞台としています。これ田舎あるあるだと思うんですが、いわゆるよそ者に対しての根拠のない噂とかが蔓延するシーンが途中から始まります。

根拠が無くても辻褄が合えば真実になる。一見無茶苦茶な理論ですが、それがまかり通ってしまう場面は妙にリアルだなと思いました。

また、この物語に登場する人物たちが慈善事業としてお店の売り上げ金の一部を福祉団体に寄付するという流れが序盤起こります。

「もっとこのことを他の人にも知ってほしい」という純粋な思いで、メディアへの露出をしていくんですが、これを快く思わない、偽善だという人がちらほら出てきます。嫉妬みたいなものですね。

この辺りから陰湿ポイントが上がっていきます。

徐々に歯車がおかしくなり、誰も信じられなくなっていく様は人間の本能を思う存分書いているなと思いました。

物語の最後に出てくる登場人物の子供のコメントもめちゃくちゃ意味深で怖いです。

ユートピアとは?と思わせるような題名とかなり乖離したお話でした。まさに「思ってたのと違うぅ!」です。

世の中、良いことだと思ってやってもそう簡単には出来ないんだよ、って改めて思わされた一冊でした。


でもなんか癖になる。


湊さんの他の作品、読んでみたいかも。


おわり。






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