見出し画像

幼い子どもだからバカにしていいわけ、ない。

子連れの方を含む食事会に参加しました。

子どもたちはみんな、自ら進んで目立ちたがるような言動をせず、それぞれとても静かに過ごしていた為、大人たちの山に埋もれて存在感をなくしていました。

そんな中、子どもの1人がパフェを食べていて、鼻の頭に生クリームがついた状態で顔を上げました。

その姿を見た周りの大人たちは、一斉に笑いました。

鼻にクリームついてる!
あざとい!
狙ってんの〜?
鼻、あったんだね!
あったの分かってよかったじゃん!

ははははは!

確かにその子どもの鼻は、平均的に見ると低く小さいものでした。

故に、「あったの分かってよかったじゃん!」というのは、パフェを食べるときに鼻にクリームが付くということはすなわち、他の部分よりも鼻が突出しているということであり、低すぎてまるで無いように見える鼻が、有ると証明されてよかったではないか、という意味です。

でもこれ、相手が大人だったら、もしくは取引先のお子さんだったら、言うか?
とわたしは思いました。

もし、先方が敬うべき相手である場合は言わずに慎むのであれば、今回笑われた子どもは「失礼なことを言ってもいい存在」だと、その場の多くの大人に認識されたことになります。

本当に、そうでしょうか。

わたしは昨日も書きましたが、めでたく中年になって初めて、人間の尊厳というものを得た気がしています。

女で
背が低く
小柄で
童顔で
年若い

これだけの情報で人は「失礼なことを言ってもいい存在」だと認識します。
親しくも尊敬もしていない人たちから散々、あなたに言われたくない、と思うことを言われて気軽にネタにされてきた恨みを、わたしは忘れていません。

だから、鼻にクリームがついた子どもと、その周りで多くの大人たちが笑うなか、わたしは「笑わない」という選択をしました。

わたしは頭の回転が良くないので、その場で上手いこと切り返すことは出来ません。
下手に発言者を責めるような発言をしてその場を凍りつかせたり、最悪の場合子ども本人に嫌な思いをさせる可能性がある限り、言葉にするべきではない、と思いました。

でも「笑わない」という行動ならわたしにも、今すぐ出来ると思ったのです。

そのわたしの小さな抵抗が、当事者の子どもや、周囲にいた大人たちの誰かに気付かれたかどうかは、わかりません。
もし気付いても「聞いてなかったのかな」くらいで流すでしょう。

でも、わたしはあのとき笑わないという選択をして、よかったと思っています。
笑い癖を付けると、他の場面でもつい笑ってしまって後で悔やむことが多々あるからです。その場の雰囲気に流されず、よく耐えた。よくやった、わたし。

鼻が低く小さいことを笑うのは
正真正銘のルッキズムです。

幼い子どもだからってバカにしていいわけ、ありません。
子どもにも適切な尊厳が与えられて然るべきだと、わたしは思うのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?