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激動の年となった2019年の大晦日 ◇うつ闘病記 その11◇

2019年3月にうつ病を発症してから心身共に八方塞がりの苦しい日々を過ごす中、5年を共に過ごしたパートナーとうまくいかなくなり、年末に別れてしまった。

うつ病とはこれほど人生に影響を与えるものなのかと愕然とし、それ以降、相手に対する罪悪感、挫折感、未来への恐怖に苛まれる日々が長く続くこととなる。

なだらかな丘が突如として険しい山へと変貌し、その頂上から自分がゴロゴロと音を立てて転がり落ちていく。
私にとって2019年は、かつて経験したことのない、そんな年となった。

5月に平成から切り替わった令和という新しい元号にも、なぜだか妙に恐怖心を抱きながら過ごしていた。
はたして令和は私にとってどんな時代になるのだろう。

◆◆◆

12月31日。

幸い、この時期は食欲がほぼ通常に戻っていたので、一応大晦日ということで年越しそばやその他適当なものを、実家の両親と一緒に言葉少なにモソモソと食べた。

その後は居間のソファーの上に膝を抱えてうずくまり、じっとして過ごす。
症状が最悪だった時期はテレビが怖く、特に歌番組やバラエティー番組のようなにぎやかなものはまったく観れなかったが、それも少し和らいできていた。

特に観たい番組はなかったので、なんとなく紅白歌合戦を眺めていた。
2019年に活躍した若い歌手たちの曲は全然知らない。
常連の中堅・ベテラン歌手の力強い歌声も心に響かない。

「なぜこんな事態を引き起こしてしまったんだろう」
「相手の人生を壊してしまった」
「私の人生も詰んだ」
という、ジクジクとした思いで頭がいっぱいだった。

◆◆◆

そんな時間を過ごしながら、1人だけ登場を待っていた歌手がいた。
氷川きよし。
本格的に路線変更を進めていた時期だったので、どんなビジュアルで登場するのか少し興味があった。

ぼんやり順番を待っていると、23時過ぎにようやく登場した。
着物姿で別の曲を歌ってから、黒いぴったりした衣装に早変わりして、黄金色の龍に乗って「限界突破×サバイバー」を熱唱し始める。

おぉぉ。かっこいい・・・。
クラクラするような派手なステージに、一瞬、先ほどまでの苦しみを忘れて見入る。
自分らしく生きることを何よりも大切にしたいという氷川氏。

長年、私もそう思いながら生きてきたが、うつ発症をきっかけに人生が大きく変容した。
こんな状態から、私は今後どんなふうに「自分らしく」生きていくことができるだろう。

◆◆◆

氷川氏の熱演が終わり、まもなく紅白が終了し、「ゆく年くる年」の冒頭の静けさに身を委ねる。
そして0時を迎え、賑やかな歓声が上がる画面をぼんやりと見つめた。

私の人生を根底から揺るがした2019年が終わり、未知なる2020年が幕を開けた。


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