次々と表れる諸症状 ◇うつ闘病記 その4◇
睡眠導入剤を飲んでもほとんど眠れない日が続く中、さまざまな症状が出始めた。
食欲不振と食欲過多。
激しい動悸。
手足の強いしびれ。
頭の血管がドクドクと脈打つ。
背中がバリバリに張る。
喉に何かつまったような異物感。
左耳だけ突発的に聴こえなくなる。
◆◆◆
自律神経が乱れに乱れまくって、体じゅうのあらゆる場所から悲鳴が上がってきた。
子どもの頃から食欲旺盛な私にとって、食べ物が喉を通らないというのは、生まれて初めての経験だった。以前はあんなに痩せたいと思っていたのに、3キロ、4キロと体重が減っていくのが怖かった。
出社前にオフィスのビル1階に入っているスーパーで飲み物を買うたび、店内の鏡で自分の姿を確かめた。やつれた顔は土色にくすみ、目の下には濃いクマができ、うつろな目がこちらを見返していた。
しばらくすると、今度は食欲過多へと変化した。どんなに食べても飢餓感が増していく。満腹中枢が働かないことへの不安が強まり、脂汗が出てくるような思いだった。
どんどん口に入れ、水でお腹をふくらませる。体重がどれぐらい増えていくのだろうという恐怖に襲われた。
◆◆◆
激しい動悸と手足のしびれがおさまらず、頭の血管がドクドクと脈打ち、背中がバリバリに張る。そんな状態で眠れるわけがない。
まるで「寝させてたまるか」とでもいうように、布団に入るとさらにそれらの症状が強まり、不眠はいっこうに改善されなかった。
喉に何かがつまったような異物感が常にあり、それが和らぐことを願って何度も唾を飲み込むが、ピンポン玉がそこにあるような感覚が消えない。
通勤時にかぎり、ときどき左耳だけ突発的に聴こえなくなった。すぐに元に戻るのだが、いつもだいたい同じ場所で聴こえなくなるのが不思議だった。
◆◆◆
日常生活を送ることの困難は着実に増していった。
身なりに意識が向かなくなり、朝の出勤時、パジャマのズボンのまま家を出てしまい、途中で気づいて引き返したこともあった。
湯船に入ると溺れて死んでしまうような気がして、シャワーを3分ぐらいで済ませるのがやっと。
新聞や本は読めなくなり、スマホを触るのも怖くなった。
◆◆◆
そんな日が続く。
とてもではないがこれまで通りに会社に行き続けることはできない。
さて、仕事はどうする?
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