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心許ない、かなしい、さみしい

カーテンを開けるといい天気で
観葉植物の植え替えに絶好の日だと思った。


やってきて3年目の
100均出身ミリオンバンブーは
去年からせっせと子株を生み出しているのだが

子供が母親の背を追い抜き巨大に成長したような格好になっているため、株分?してあげることにした。


部屋にある全ての植物の植え替え+株分け作業で
2時間近くかかってしまった。

普段はとらない姿勢で過ごしたためか
強烈な倦怠感に襲われて昼食もとらず眠る。


そういえば昨日は深夜までだらだらと呑んでいたくせに、今朝は6時半に目を覚ましギラギラの頭で早朝散歩をかましたんだっけ。
そりゃ疲れるわ。



起きたら夕陽はさよなら、
夜が始まりかけていたので慌てて
いつもの散歩コースへ向かうも
今日は雰囲気が少し違っていた。

人の気配がなく
2匹のカラスがけたたましく鳴いている。



カラスがうるさく鳴いているのは
よくあることなので気にせず足を進めると
私の頭を目掛けてカラスが威嚇するよう飛びかかってきた。


カラスに襲われるのは人生初だ。
周囲に人もいないし身の危険を感じる。

だが来た道を戻ろうとすれば飛びかかってくるし、進んでも襲ってくるので一歩も動けない。


なんなんだよ、
私がなにをしたって言うんだよ。

カラスのこと好きだし
いつも挨拶してるじゃんよー!

挨拶しといたら「あの人間は友好的だぜ」ってカラスのネットワーク通じて全カラスが仲良くしてくれるんじゃなかったのかよー!(妄想) 


などと半泣きでぶつぶつと独り言を言っていたら少し冷静になった。

そうか今は5月だ。
街灯にとまり威嚇してくるカラスの周辺をよく見るとカラスがもう1匹地面にいる。

もしかしてあれは雛で
子供を守るための行動だったか?


ならばと普段は選ばない
車通りの多い道のほうへ足を進めてみると
カラスはピタリと鳴き止んだ。

そのまま恐る恐る歩を進めても
襲いかかってこない。



「私が何をしたんだよ」と半泣きでいたけど
カラスにはカラスなりの理由があったのだ。

私がそのことに気づかず
いつものコースだからと足を踏み込んでしまったので、彼らは子供大切なものを守るために私を排除しようとした。

それだけのことだ。
それ以上でも以下でもない。

お互いが平和に暮らせる距離というものがあり、それは365日同じ距離なわけじゃない。

そのことに一喜一憂するほど人生は長くないだろう。





今日は天気が良かったけど
朝から悲しいことがあった。
おまけにカラスに襲われるし嫌な1日だ。

どんよりとした気持ちでいつものコースとは違う、車通りの多いざわざわとうるさい道を歩いているとハチワレ猫を見かけた。

その場に軽く座りこみ
舌打ちをしつつ高めの声で呼んでみると
小さく鳴きながら擦り寄ってきてくれた。





ふわふわの毛を撫でていたら思い出した。
そういえば今日は朝にも猫を見かけたんだ。
しかも2匹。


美味しいパン屋さん



心許ない、かなしい、さみしいは
簡単に心をさらっていくよなぁ。

猫3匹達成だなんて
いつもなら直ぐ気づいてラッキー!となるのに
全然気づかなかった。


猫を撫で終え散歩を再開したが、心残りがあり振り返ると今度はお兄さんが捕まっていた。

座り込んで撫で回している様子を見て
自然と笑顔になれた。




今日のきっかけはカラスだったけど
どんな出来事であれ
立ち止まり、違う道を選ぶ機会を得たら
1日をコマ単位で振り返ってみるのもいいな。


こんなふうに
猫3匹ジンクス達成するほど
楽しいことだってちゃんとあったのに
危うく「かなしいさみしい1日」で幕を閉じるところだったよ。あぶないあぶない。

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