ろっぷ

初めまして。自分の書きたいことを書きながら読者を楽しませるという贅沢な目標に向かって頑…

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初めまして。自分の書きたいことを書きながら読者を楽しませるという贅沢な目標に向かって頑張ります。

最近の記事

ものさしの暴力性

「もう死にたいんだよね。」 に対する返し。 「死にたいとか言うなよ。生きたくても生きられない人達がいるんだから。ほら、アフリカの栄養失調の子どもとか、不治の病で寝たきりの人とかさ。」  こういう返答を聞くと、心が疼く。その人は現に死にたいと感じているのであって、他人から見て自分がどれだけ幸福なのかどうかを確認したいわけではない。  死にたいとこぼした人に具体的に何があったのかはわからない。思いつきの冗談かもしれない。  でも、もしかしたら、その人にはいろんなしがらみやど

    • 涙の効用

      涙というものは、透明に濾過された血液だという。悔しい時、哀しい時、寂しい時、嬉しい時、感情の容量が心のキャパシティを超えた時、あふれだす。雑巾の様に心がぎゅーっと絞られて浸み出す感情。それが涙だ。 人間の感情というものはとことん気まぐれで、ころころ変わるから、例えば永遠の愛の誓いなんてものも、いつの間にか綻びが生まれてしまってご破産なんてことは世の常だ。そんな気まぐれな感情だけど、ひとたび涙を見せられると、この気持ちに嘘はないと思いこんでしまう。 涙は、それが「基本的に」

      • 恐怖に震えて損ばかりしている

        小学校低学年の3年間、担任の先生を恐れていた。皆さんはいかがだったろうか。 感情が顔に表れにくい女の先生で、にこにこ笑ったり冗談を言ったりしている印象があまりない。正しくて、真面目で、潔癖で、行いの悪い生徒には、油断や隙を見せずに、ぴしゃりと簡潔に叱りつけるような先生だった。理不尽な態度や悪意で生徒を傷つけるような「良くない」先生ではなく、真っ当な、やるべきことを落ち度なくこなす、いわゆる良い先生だったようには思う。ただ、僕のクラスメイトたちは、彼女の怒りに触れないように日

        • 信号機にクレーム

          信号機は、発光している色によって意味合いが変化する。青ならば進め、赤ならば止まれ。常識だし、当たり前なんだけど、この色の割り振り方って、本当にこれでよかったのだろうか。 赤という色からは、熱意とか勝利とか恋とか血とか太陽とか、内にエネルギーを湛えた概念だったり存在を連想する。前に前に、外に外に、という、前進的で危なっかしいエネルギーだ。そういうエネルギーの象徴のような色で止まれと命じられるというのは、よく考えるとどこか違和感を感じる。闘牛だって、マタドールの翻す赤いマントに

        ものさしの暴力性

          タイパ軽視三重旅行

          大学時代の後輩A君と三重旅行に行ってきた。だいぶ荒削りな旅だった。 まず、当日15時に松本駅に集合した時点で、2泊するという事以外、どこに行くのかすら決まっていなかった。とりあえず西の方に行ってみるということだけが決まり、レンタカーを手配しようと5店舗ほどに問い合わせるもどこも空車なし。ようやく松本城付近に空車があるレンタカー屋を見つけ、格安だったので押さえた。 しかし、そこは格安。ナビがない。もちろんBluetoothも繋げない。旅に必携の音楽がかけられないなんて言語道

          タイパ軽視三重旅行

          お盆でエンヤコラ

          お盆は一般的に8月13日から8月16日までの4日間を指し、13日にご先祖さまを迎え、16日に送り出す、らしい。らしい、と伝聞調なのは、今までの人生、お盆にお墓参りをするだとか、おなすさんきゅうりさんをまつるだとか、そういういかにもお盆なアクションをしたことがないので、実感が湧かないからだ。親戚が長期休暇を利用して集まる血縁集会くらいに思っていた。 しかし、子ども(僕たち)が大きくなるにつれてそれすらなくなり、今やGWのような長期休暇と何ら内実は変わらない。今年もそうだった。

          お盆でエンヤコラ

          凶は味方よ

          年明け、初詣に行き、おみくじをやろうと思い、引いてみると凶だった。 でも、凶でよかった。 だって、何が起きても、凶なんだと思えば気が楽になる。 何もないところで躓いても、「まあ、今年凶だからな。」と思えば、自分の足腰の安定感や注意力の散漫さに疑念を抱かなくてもいいようになる。仕事でミスしても、競馬が外れても、異性に引かれても、「まあ、今年凶だからな。」で済ませる。律儀に自分のせいなんじゃないかなんて考えない。だって、おみくじとは神様仏様の意思を伺うためのものだから。そんな神

          凶は味方よ

          センスないやつはブラックコーヒー飲むなから思うこと

          ブラックコーヒーの持つ意味 僕はコーヒーが好きだ。コーヒーが好きだというとどこの何のコーヒーが好きですかとか色々聞かれたことがあるけど、こだわりは皆無で、ブラックコーヒーであれば味も場所もなんでも良い。そもそも慢性鼻炎なので繊細な香りの機微なんてわからない。 某番組で、あるタレントが、「センスないやつがブラックコーヒー頼むな。」という趣旨のことを言っていた。昔からブラックコーヒーしか飲まない僕はドキッとした。ブラックコーヒーはセンス系というイメージも全く持っていなかったた

          センスないやつはブラックコーヒー飲むなから思うこと

          犬っころ好きだわ

          犬って可愛い。本当に可愛い。犬の可愛いさは言語化するのが難しい。犬を見ると太陽の様なポジティブな感情がぐわーと湧き出してくる感じ。理屈よりも先に感情がフライングしてやってくる感じ。猫も嫌いではないのだが犬は特別可愛い。猫も肯定したいが犬は体を張って肯定していきたい。贔屓だ。 マイホームにも犬(トイ・プードル)がいるが、小さな体に対して家族にとってはとても大きな存在だ。さわさわして双方癒される。散歩して双方運動になる。「ウィンウィン」だなあと思う。たまに構いすぎて犬ころの方が

          犬っころ好きだわ

          人生ゲームをもっと面白くしよう

          人生は運ゲーか? 『これからの「正義」の話をしよう』を著したマイケル・サンデルや、共通テストの倫理科目で親ガチャをテーマにした問題が出た影響で、昨今「人生は運か努力か」というテーマはホットな議題であるらしい。 このサイトによると、「思っているよりもずっと幸運は結果を左右する」みたいだ。 「40%のプロのアイスホッケー選手は学年度の最初の3ヶ月以内が誕生日の人達。最後の3ヶ月が誕生日の選手はわずかに10%だけ。」という検証結果が好きだった。 人生ゲームの人生はおかしい

          人生ゲームをもっと面白くしよう

          映画館は防空壕 [#映画にまつわる思い出]

          映画館は特殊な空間だ。暗くて静かで大きな空間に、良いもの観たさに様々な人々が集まる。上映中は誰かに話しかけられる心配もないし、かといってたったひとり取り残されたような孤独感もない。日常の喧騒や人付き合いの煩わしさといった現実の刺激を遮断してくれる防空壕の様な場所だと思う。私も高校生の時にこの防空壕にお世話になった。 高校生活は最悪だった。なんだかずっと鬱屈としていた。なんとなく地元の進学校に進んだのはいいものの、進学校とは何たるかをその時は知らなかったのだ。おおかたの生徒は

          映画館は防空壕 [#映画にまつわる思い出]

          キテレツ学生寮#2 風呂入れよ事件

          相手の神経を逆撫でする様な挑発行為を意図的に行う「煽り」というものがある。何らの悪気もなく、無意識にそれをしてしまう人がいる。少なからず誰もが、図らずとも、うっかり名前を間違えてしまったり、褒めたつもりが嫌味っぽく聞こえてしまったり、他人の気に触るようなことをしたりされたりしているものだ。しかしこの「風呂入れよ事件」においては、その悪意のなさの純度の高さに置いて一目置くべきものがあった。 寮生の一人に、アニメが大好きで推しのキャラクターを「嫁」と呼ぶ、小柄で眼鏡をかけた、い

          キテレツ学生寮#2 風呂入れよ事件

          キテレツ学生寮#1 [パンツ事件]

          内輪ネタはダメ!? 寮の案内 私は大学在学中の4年間、葉新舎(ようしんしゃ 仮名)という学生寮に入っていた。ここで得た様々な不思議でおかしな体験はいずれまとめて形にしておきたいと思っていた。といっても内輪の話。あなたが興味を持ってくれるとは思えない。NSCでも初めに内輪ネタはやめろと教わるらしい。しかし話の内容に関わらず伝え方でどうにでもなるのではなかろうか。だからこれは、よくわからないことを第三者にわかりやすく伝えるという、表現力を向上させるための自らに課したミッション

          キテレツ学生寮#1 [パンツ事件]

          ご馳走の美学 [#元気をもらったあの食事 ]

          友人と雪山を登山中に遭難したとする。助けを呼ぶ手立てもなく、焦りと疲れは募るばかり。限られた食糧も次第に尽きていき、残すはあなたが非常用に持参していた携帯食料だけになる。あなたはその時、その貴重な栄養源をどう扱うだろうか。仲間の誰にも渡さず、こっそり一人で食べてしまうだろうか。それとも仲間と平等に分け合うだろうか。それとも衣服と交換するための交渉材料として用いるだろうか。 もしもこれらのどれでもない、何か別の選択肢があるとしたら、それは「ご馳走」することではないだろうか。無

          ご馳走の美学 [#元気をもらったあの食事 ]