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試験監督

今日は 18?19?とにかく、1X年ぶりの試験監督
普段とは違って
静かな静かなこの教室の後ろに立って
黙って立って、これから55分間
自然に瞑想タイムに入っていく……
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たまたま
三人姉妹の末っ子にうまれた

たまたま
裕福ではなかったので
姉たちの国語の教科書のお話を
絵本代わりに布団の中で
ひとり読みながら寝た

たまたま
わたしが行った大学の文学部が
教養が終わってから
学科を選ぶ大学だった

たまたま
最後に取った文化人類学の授業が面白かったので
突然、文学ではなく 社会学へ進んだ








たまたま
地誌の教授が試験日程を変えたことに
気づかなくて
中学の教員免許が取れなかった

バブルがはじけてからは
景気はずっと沈んだまま
たまたま
高校の教員採用試験を受けた
姉は中学の先生だけど
わたしには中学の免状がないから







たまたま
教員採用試験に合格した







たまたま
産んだ子どもが
極度の人見知りだったので
仕事を辞めた

もう、学校に戻ることはない、と 思っていた










13年経った









たまたま
ブラックだという評判が
ちまたで噂になり
教職はたちまち不人気に。
おかげで声が掛かって 非常勤講師に
そして 3年





たまたま
専門科の学力テストのお手伝いで
試験監督の補助として
おしゃれ科の教室の後ろに立って

少年たち、いつもは
こんなふうにしているんだなあ、

とか内心思いながら

みんなの後ろ頭をちらちら見ながら
「今日はあったかくっていいなあ」
なんて思っている 2月のわたし
座席表と見比べながら
「ついに、顔と名前(と性格)がほぼ一致するようになってきたなあ」
なんて思っている 2月のわたし
「面白い学校で良かったなあ」
なんて思っている 2月のわたし





でも、これは必然 ではなく
たまたま が一つでも変われば、
違った結末



こういうのを 縁起の法 とかいうのかなあ、多分……。





「終了まで、あと、5分です。」

(おっと! 仕事仕事!)


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