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軒下猫´に学んだこと

早朝、
強めの雨が、
縁側の前の小さなビニールハウスをたたく音で
うっすらと目が覚めた
今、何時だろう? まだ暗い
勝手な想像では5時過ぎぐらいだろうか

軒下猫´が、コトンと、音を立てて、
縁側の手すりから飛び降りる音がする
軒下猫´は外に居るのに、
なぜいつも、
わたしが目を覚ましたことが分かるんだろう、
と不思議に思う

暗い上に、障子が閉まっている上に、
無理やり目を閉じたままのわたしには、
軒下猫´は見えないが、
軒下猫´が、ほとんど音も立てず、
しっぽをふわっと足に巻いて、
この窓の前に座った気配がする

無言の圧……。


……


……


……



しばらくして、
軒下猫´が立ち上がって、
足の向きを変える
かすかな音がする

縁側の床を、上品な小さな音で鳴らして、
上が漆喰、下が木材でできた外壁に沿って
歩いて行く……




その壁が
この部屋より北向きに半間引っ込んだ
となりの居間へと曲がる、
曲がり角の直角に尖ったところの正面で、


ピタッ


と、止まり、











ガリガリガリガリガリガリガリガリガリ

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリ











と、爪を研ぐ (壁の木の部分で、ですよ?!)



軒下猫´:「雨が降ってるんだから、早く起きて、入れてくれ~」



つまり、わたしたちの、
この至る所、木で出来た木造の家は
小さな小さな軒下猫´の
大きな大きな大きな「爪とぎ」







最近思うに、
ある場所に、人間が10人いたとして、
わたしは瞬間的に、
そのうちの自分の場所は、最大で10分の1だな、
と計算してしまうけど、
別に、9分の1くらいまでは
許されるんではないだろうか
それぞれの自分の場所がはみ出して、
重なったところがコミュニケーション。

もしも、誰かがはみ出してきたって、
自分の場所を狭める必要もなく、
そこだけ、一緒に過ごせばいいだけなのかもしれない。




と、遠慮のない軒下猫´に感化されたりして。





だから、今起きたくなければ、
「え~~~、まだ起きないよ~」
と、言ってもいいんよね?



と思いつつ、入れてやりに
起き上がるわたし。
となりのふとんで
うつ伏せて眠っているとある少女を
起こさぬように。



やれやれ。😊



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