咲く
例によって朝の散歩。
いつもの坂道のほうへは曲がらず、楽な川沿いを歩いて行く。
ピンクの桜が満開で、曇天なのに、川べりはびっくりするほど、明るい。
新高校一年生らしき少年が、真新しいスマホで、桜を撮っている。
いったい、何本の桜が咲いているんだろう?
等間隔に植えられて、並んでいる桜を、歩きながら数えていく。
(いっぽ~ん、)
… …
(にほ~ん、)
… …
(さんぼ~ん、)
… …
(よんほ~ん、)
… …
(ごほ~ん、)
… …
(ろっぽ~ん、)
… …
数えていくうちに、
ふと、考える。
こんなに盛大に咲くなんて、
桜だって咲き始めの頃とか、
いや、もっと、咲く前あたりから、
人間で言えば、
体が痛くなったり、だるくなったり、
頭が痛くなったりしたのかなあ
みんな並んで、みんな盛大に咲いている
桜、桜、桜、・・・。
どの桜も同じく華やかに見えるけど、
こんなに咲いちゃって、なんかしんどいな、
とか、
ここまで派手に咲きたくはないのに、
とか、
中には、
こんなに華やかに咲いている自分が恥ずかしかったり、
そんな自分にとまどったりする、
そういう桜もいるのかもしれない。
いるのかも、ではなく、
たいていの桜は、人間とは違う方法で、
うすうすそう感じているのかもしれない。
こんなに華やかに咲くなんて、
たいへんに違いない。
でも、春と、自分の中の自然に引きずられるようにして、
こんなに豪華に咲いているのかもしれないよね。
… …
… …
… …
… …
……なんて、考えていると、
あれれ? 数え忘れてる! 今何本だっけ??
に、なっている。
これを戻るのは今日はちょっと、ね、……。
と、後ろを振り返る。
う~ん、10本以上、50本未満、というところでしょうか。
瞑想が始まって、数え切ることができないところが、
編み物の目数かぞえのよう。
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