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Naturallyで、Risky

期末テスト前、最後の授業。
テスト範囲まで進んで、まだ、時間が余裕で余っている

ここは、学年一、大人な雰囲気のクラス

他のクラスは(起きていたら)いつも、
スポンジ・ボブのオープニングさながら、


準備できましたか?
アイアイキャプテン!!

これ、中学で習った?
アイアイキャプテン!

答えは、Aのほうだと思う人?!
アイアイキャプテン……?
Bだと思う人?!
アイ……アイ……キャプテン……??

え?どっち?聞こえないよ?
アイアイキャプテン!!!


みたいな感じだけれど、
このクラスの場合、

これ、中学で習った?
……
答えは、Aと思う人?
…………
じゃあ、Bと思う人……?
………………
どっちかよく分からない、と思う人…………??
……………………

と、沈黙は深まるばかり。
正常な大人の反応です。









じゃあ、自習にしようかな。
テスト勉強してください。
バサバサ、ガタガタ
と、教科書やノートを開く音
さすが。静かに勉強が始まった。
しーーーーーん。


静けさは、どんどん、どんどん、どんどん、どんどん、深まり、
みんな、コトリ、とも音を出さない、出せない雰囲気






あまりにも、静けさが重いので、
これは辛かろう、
と、余計な心配をするわたし。










そうだ、何か、音を。










持ってきた学校のタブレットを開くと
YouTubeの
集中力を高めるBGM
が、目に入った。
タップしてみる。










プ、  プ、  プ、  ピー









静かな教室に、なぞの電子音

世間知らずなわたし
てっきり、静かなクラシック音楽でも流れるんだろう、
と思ったのに、
おかしな展開になってしまった。






何、今の音?と、みんなキョロキョロ
だれか、スマホ鳴らした?
オマエ、YouTube見てただろう?
はぁ?オレじゃねぇし!

と、ざわざわし始めた。








ごめんごめん、今の、わたしよ。
集中できるようになんか流そうかと思ったんだけど、
失敗しました。








音楽がいいで~す
ジブリかけてくださ~い

(お、いつにない反応の良さ!)






すると、一人の少年が立ち上がった。


先生、オレに任せてください!!







んーっと、……
(え、まずいかな?でも、なんか良い感じにほぐれてきてるし。)
う、うん、どうぞ。なんか集中できそうなの、お願いします。


少年は、黒板にスクリーンを貼り、
プロジェクターまでつけようとする。
(え、まずいかな?
 でも、危なくないことは、自然にやらせておくべし、は、
 母親の常識だよね?
 自習の時も、自分たちで課題の動画を見られるようになるし。
 赤ちゃんだって、スプーンを持ちたがったら、
 ドロドロになってもやらせたほうが、
 自分で食べられるようになるんだし。)

わたしの動揺はあまり顔に出ていないらしく、
少年は自信のセレクションで、さっさと動画を流し始めた。








焚き火の炎が、揺らめく動画……
















って、これ、眠れるやつじゃんっ!

と、みんなからのツッコミと笑い

アレをかけよう、コレをかけよう、
と、悪ノリが盛り上がっていく





(う~ん、さすがに、まともな教員なら止めるべきかな。)

と、思いつつも、いつもはシャイな彼らの
新しい姿に、ちょっと癒やされてしまう





















しばらくして、



さて。
と、わたしは立ち上がり、
ブチッと、プロジェクターのスイッチを切った。

先生、ついに怒る?と、わたしを見る生徒たちに、

はい、時間になりました。あと2分でチャイムが鳴るよ。
号令お願いしまっす。
と、にっこりして、終わりにしましたとさ。

この調子で、三学期、楽しい授業になるだろうか。
でも、これが原因で、クラスの雰囲気が激変してたら、
担任の先生、ごめんなさい。
それはないと思いますが
ちょっと、怖い、ので秘密でお願いします。





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