源氏物語「帚木」あらましと感想2


理想の女性について左馬頭さまのかみは一家言あり、長々話し続けています。その間、源氏は心の中で藤壺ふじつぼの宮を思っていました。光り輝く理想の女性・藤壺に手の届かない苦しみで胸はいっぱいです。とりとめのない女性談議は朝まで続きました。



紀伊守の邸へ


翌日、源氏は妻の実家である左大臣家へ向かいます。妻・葵の上は源氏より四歳上の気位が高い女性で、結婚当初からよそよそしい態度を崩さず、源氏は物足りなさを感じています。

左大臣家に泊まろうとしていた源氏ですが、方角がよろしくないと家従が知らせに来たので移動することに。
当時は方違えかたたがえという風習により、外出先の方角が神様の通り路である場合、その方角を避け一旦別場所にて泊まる事になっていました。
何とも面倒くさい習慣です。


家従である紀伊守きいのかみの邸に入った源氏。
そこには紀伊守の父・伊予守いよのかみの家族も滞在しているそうで、耳をそばだてると女性達が自分の噂話をしているのが聞こえます。
平安時代の家って防音の概念なさそうですよね…。

主人の紀伊守がやってきて話す中で、父・伊予守の再婚した若妻が話題に上ります。その人は元々、お父さんの衛門督えもんのかみが宮仕えをさせようとしていたのですが、父が死に、親子ほど年の離れた伊予守と結婚する事になったのでした。源氏は気の毒に思います。


空蝉に会う


夏の夜、一人寝の源氏は眠れずにいました。隣の部屋に居る人はどうやら先ほど聞いた、伊予守いよのかみの妻のようなのです。
静かに起きて物音を窺うと、女性が弟の小君こぎみと話している声が聞こえてきました。…


女房たちの寝静まった頃、源氏は隣の部屋に忍んで行きます。平安時代の家、防犯意識も薄いんですよね。
当然、女性は驚き戸惑います。源氏は「ずっと前からあなたを思っていた」だの「前生の因縁が深かったのです」だのと口説きますが、現代の感覚でいうとこれは普通にヤバい奴です。
一夜を過ごし外が騒がしくなったので、源氏は離れがたく思いながらも和歌のやり取りをし女性の元を去ります。


女性は、人妻という立場からとんでもない過失をしてしまったと情けなく思い、源氏の身分や容姿に己が釣り合わないという気持ちから冷淡な態度を取り続けます。
その一方で、愛情の持てない伊予守と結婚する前に源氏と出会っていたならと思う心も。


この辺りはリアルな気もします。
源氏が懐柔?した小君こぎみ(女性の弟)が、源氏の美しい字で書かれた手紙を始終持ってきます。女性は弟に源氏との関係を知られている事も苦しく、手紙は読みますが、源氏の恋人と思い上がって返事はできないと自重しています。


ほのかに見た光源氏の美しさを反芻しますが、真実の感情を知らせても何にもならないと、気を強く持って反省しています。


また来た源氏


源氏は女性の事が忘れられず、方違えの日を見計らって再度、紀伊守の邸を訪れます。
小君の手引きで女性のもとへ行こうとするのですが、彼女はうれしい気持ちもあるものの同じ過ちを繰り返してはいけないと考え、急遽女房の部屋へ移ってしまいました。

女性に会えなかった源氏は非常に残念で恨めしく思い、ますます恋しさを募らせるのでした。こわいです。


源氏の送った歌

帚木ははきぎの心を知らでその原の
道にあやなく まどひぬるかな』

遠くからは見えているのに近付くと消えてしまう帚木ははきぎのようなあなたとは知らず、私は園原への恋の道に迷い込んでしまいました。



女性は歌を返します。

『数ならぬ伏屋ふせやにおふる身のうさに
あるにもあらず 消ゆる帚木』

私は取るに足らない低い身分の辛さを味わっています。あるかないかも分からない、はかない帚木のような女なのです。


源氏は無情な恋人よりかわいいと思いながら、小君をそばに寝させます。


感想



帚木の章は、『雨夜の品定め』の場面で“中流階級の女性”が話題になり、源氏が受領の妻のもとへ忍んでいくという展開ですが、登場する女性・空蝉うつせみは一筋縄ではいかない芯を持った人でした。


昔の自分は「うわ可哀想だな」「いや、そんな共犯意識抱かなくても…」と彼女に同情しながら読んでいた気がします。


今はまた違う感慨もあります。
勝手に部屋に押し入ってくるやばい奴とはいえ、輝くばかりの美男子に言い寄られた女性のさまざまな葛藤が描かれています。
好きでもない歳上のおじさんの妻になり…独身時代なら源氏に好意を示されれば喜んだろうけど…この関係が周囲に知られたら今の身分ではみじめな事になるだろうな…とか。
家や男性の意向に左右されがちな、平安時代の女性の境遇の不自由さ・頼りなさも感じます。

上流階級の公達に突然口説かれたら…
妄想のタネにもなりそうです。
(※あくまで現実とは遠く離れた妄想です)

勢いで書いてしまう事が多いので、
見苦しい文章ですみません。

読んでいただきありがとうございました!

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