「プラネタリウム」

現実と、自分の中の世界は
必ずしも一致しないよね。

十代から二十代にかけては特に
頭の中で描いた理想と、
繰り広げられる現実が乖離していた。
私は苛立ちを抱え、
不安とひねくれた心をいつも
持て余していたような気がする。

BUMP OF CHICKENの
「プラネタリウム」という曲は、
幻想的なイントロが印象的だ。
銀河の中を浮遊し、こぼれる星を
眺めているようだ。

藤原さんの低く甘くかすれた声が、
独白のようなストーリーを語る。
自分とは違う誰かの物語。
でもまるで、
自分の事を歌われているような物語。

四畳半の部屋から始まり、
呼吸するように命がまたたき
プラネタリウムの下で物語が進んでいく。

この優しい曲が、
傷つくこともできない自分の心を
確かに慰めいたわってくれるのを感じる。
「がんばれ」「よくやった」
どちらでもないのに、聴き終わったら
心はすっきりして癒やされている。
何回でも聴きたくなる。

だれかを想うという事は、
無限に広い宇宙に踏み出すような
とてつもない行為に感じるが
だれかを小宇宙の中に限定し、
閉じ込めてしまうような独りよがりな
行為でもある。

夢は夢だとわかった瞬間が辛い…。
でも、期待は何回でも膨らむ。
厄介なものであり、救いでもある。

大好きな人へ伝える術を持たなかった
自分を思い出す曲だ。

バンプオブチキンの多くの楽曲で
私が一番好きな歌を挙げるとすれば、
この「プラネタリウム」かもしれない。

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