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砂沼から言葉歩いてー2016-11

砂沼から言葉歩いてー2016-11

◎まだ歩く山を二人や秋遍路 俊克

北野 和良 一日一句互選に頂きます。
お遍路は山道が多い。二人連れの遍路が行く。
夫婦だろうか、それとも友達同士か。
山道のきつい勾配を登る時、あの坂を超えれば
下りになるかと期待しながら角を曲がるとさらに
上りが続きあぁあと思う時がある。しかし澄んだ
空気の中、周りの木々の紅葉を眺めながら歩くのは
気持ちのよいものだ。
宿に着くのはも少しかかりそうだ。(四国八十八ケ寺を歩いた私には共感できる句だ)

◎秋の蝶週末近く古墳みて 俊克

◎鮮やかな空と紅葉は燃える山 俊克

実弾を拳銃向けるうすら寒 俊克

●朝寒し一枚掛けて寝坊する 俊克

〇風の色白壁土蔵入船町 俊克

〇街中を夢中絵を描く秋の果て 俊克

〇秋深し街並み散歩絵画館 俊克

〇村芝居古地図眺め恋し人 俊克

〇流れ星急ぐ命は残る夢 俊克

手料理はカレーライスや秋の暮れ 俊克

●初恋の眠れぬ手紙秋の蝶 俊克

〇照り紅葉巡る旅路は燃える朝 俊克

◎思い出の琥珀のプリズム渡り鳥 俊克

晩秋の恋の散歩は妙なもの 俊克

〇路線バスせせらぎ黄葉遊歩道 俊克

◎袋田の野山色づく不動尊 俊克

〇千段を洗われ心秋気澄む 俊克

秋の気や風雪耐えて神社祀る 俊克

〇庵の跡清水慶次や爽気澄む 俊克 

〇寺と尼寺の奈良の夢跡秋深む 俊克

〇見かけたる時刻の空は月の秋 俊克

洗濯の窓の明るさ秋の晴れ 俊克

〇関東の山を一望今朝の冬 俊克
原孝之さん 大久保さん、関東の山を一望なら採りました。

◎冬来る登る神社の男体山 俊克
北野さん 頂きます。男体山は百名山の一つですね?
原さん 頂きます。男体山は簡単に登れるんですか?

◎冬に入る高さ山肌男女川 俊克

●神の旅高速バスの出雲蕎麦 俊克

◎立冬や放課後部活終わる頃 俊克

◎映画見て帰る家路の夜鳴蕎麦 俊克

冬ざるる知らぬ素通り認知せず 俊克
 
●味わいの水を含んで冬紅葉 俊克

●鮮やかさ残る紅葉の岩場かな 俊克

●葉の色は気になる枯れ葉散り紅葉 俊克

一日一句互選に選ばせていただきます。
【葉の色は気になる枯れ葉】という基底部は、
季節感がよく伝われている雰囲気です。
葉が枯れて、気になるわけですね。
この基底部の後、季語である
【散り紅葉】が適切であり、季語も写生もよく働きます。
葉が枯れるばかりか、紅葉が散ることも気になり、
悲しい季節感がよく出ています。
散紅葉を上手く詠まれている素晴らしいお句です。

〇冬茜ほどよい汗が薬師の湯 俊克

はからずも愚かな日々や文化の日 俊克1

街中の楽しみ多し鵙日和 俊克2

奥入瀬の渓流黄葉なりにけり 俊克3

◎冬めくや詩歌の小径勿来なり 俊克

◎あっさりと白の山茶花一重かな 俊克

〇病院の今年は早い風邪の神 俊克

●ひらひらと田舎の家の柿落葉 俊克

今村 征一 頂きます。
夕暮の景色であろう、夕日に染まりながら
落葉を繰り返している田舎の風景。
絵画を見ているような気持ちだ読ませていただいた

◎トイレ吹く北風叩きからからと 俊克

●冬薔薇の薄い色合い小夜曲 俊克

◎木枯や勝利演説皆一つ 俊克

◎許さない腐敗政治家北下し 俊克

◎江戸川の小松菜畑バスに乗る 俊克

◎晴れの午後赤い嫉妬の冬の花 俊克

◎晴れ吹いて歩道は駄目と隙間風 俊克

短日や砂沼の橋を渡る道 俊克

◎温石の朝の登校一つ入れ 俊克

北野 和良 一日一句互選に頂きます。
温石(季語)とは、石を熱して布に包んで
懐中に入れ腹部を温めるもので、
江戸時代などで使われていた。
今は灯油を使う懐炉や酸化熱を利用する
ホッカイロなどに変わったが、
いまでも田舎では使われているのだろうか?
朝早い時間の登校の寒さを和らげるために
温石を懐に入れ、歩いて通うのは田圃道に違いない。
都会では考えられないが懐かしい風景だ。 
〇好きな物おでんもパンも食べる朝 俊克

〇堤防の鼬がもぐる夜の影 俊克

愛らしく四つの色は冬の菊 俊克

◎読む本を秋思鐘の音風渡る 俊克
秋嶺の硫黄の匂い峰の茶屋 俊克 
朝霧の見えぬ白樺森の声 俊克

〇小春凪空と海との晴れ晴れと 俊克

◎洋菓子のお土産嬉し冬苺 俊克

高井 直美 一句互選に頂きます。
冬苺ですから、お土産は苺のショートケーキでしょうか。
美味しいお菓子を頂きながらの楽しいひとときが
真っ直ぐに伝わってくる、素敵なお句だと思います。

◎小春日は浮き雲消えて青き空 俊克

Anikó Papp さん
一日一句互選に選ばせていただきます。
【浮雲消えて青き空】という基底部は、
いい雰囲気の写生です。この基底部の前、
【小春日は】という干渉部が適切です。
【小春】という季語の本意は、冬の時、
春みたく暖かい日のことです。小春の日、
浮雲消えて、空が真っ青になるわけですね。
季語も写生もよく働く素晴らしいお句です。

かいつむり水の勢いどこにいる 俊克

〇冬初め綴る手紙の昼下がり 俊克

◎冬ざれの愚かな日々の雨煙る 俊克

〇願い事様子の雲の冴ゆる夜 俊克

黒髪の聴き入る歌や冬の月 俊克

お参りに孫の可愛さ七五三 俊克

よちよちと祝詞祓うや七五三 俊克

◎母の手を五歳の男七五三 俊克

今村 征一 好きな句です頂きます。

〇日が差して雲の消えゆく小六月 俊克

◎晴れの日の鳥はゆつくり浅き冬 俊克

〇菜の色の咲く花晴れる冬の蝶 俊克

〇パンくずのちょっとください冬雀 俊克

〇曾孫来て孫の夫婦の七五三 俊克

◎朝の顔べっぴん始まる冬ぬくし 俊克

◎ひとつむくフォークの林檎冬の部屋 俊克

●赤々と今日の葉の色冬紅葉 俊克

Anikó Papp 一日一句互選に選ばせていただきます。
【赤々と今日の葉の色】という基底部は、季節感がよく伝われている写生です。
この基底部の後、季語である【冬紅葉】という干渉部が適切であり、
季語がよく働きます。冬紅葉の色が本当に日に日に赤くなるんですね。
読者の目の前に素晴らしい冬紅葉が見えるほど素晴らしい写生俳句です。

焼芋のホクホク熱やお茶温め 俊克

◎挿す花の千両眺め洗面台 俊克

〇運転の忘れる人鎌鼬 俊克

〇冬日向振袖合わせ白い肌 俊克

寝不足の時雨の色は悲しみに 俊克

◎潮流の漁船の針路冬の風 俊克

◎冬の朝パンとサラダとシチューなり 俊克

〇冬の夕池の仏閣寂しけり 俊克

パン買いに粉とクリーム日短し 俊克

◎和服来て北山時雨肌の色 俊克

●冬の雨古本探す神保町 俊克

◎小夜時雨部屋の本棚古き本 俊克

見ながらと手作りふくろうストラップ 俊克

〇筑波嶺の空が青空小春かな 俊克

〇寒蘭の玄関ありて眺めたり 俊克

〇歩く道かさかさ音の木の葉散る 俊克

冬木道テニスボールの青が散る 俊克

◎森の影銀杏落葉や絵を眺め 俊克

●友が来て合わせる話しかぶらつけ 俊克

野島さん一句互選にいただきます。
濁音をさけるなら、友の来て、になりますが、
好みの問題でしょう。かぶら、が素朴な感じと、
旧友であることを感じさせたくれました。
かぶらつけ、これが季語になるのかは、
異論もありそうです。(かぶら=蕪、は冬の季語ですが)

◎大仏の空をかざすや冬霞 俊克

右の手を映す鏡の浅き冬 俊克

◎冬日影下町の池紅き空 俊克

◎冬の靄筑波の上はすこし見え 俊克

●照り焼きの鰤の大きさ富山産 俊克

ふるさとの狸の子ども走り出す 俊克

◎冬の月朝の地震や津波来る 俊克

〇筑波揺れ海の津波は冬の空 俊克

◎冬日向寺を隅々修行僧 俊克

思い出の別府温泉西を向く 俊克

◎勉強の類語類句や今朝の雪 俊克

◎昨晩の降り出す雪は夢現 俊克

◎妻の部屋窓の明るさ蜜柑置く 俊克

初雪の朝はブルブル仕事行く 俊克

〇鯛味噌の一口食べて祖母の味 俊克

〇今朝の雪夢の結晶舞い降りて 俊克

◎渓谷の黄の色赤と雪が降る 俊克

魚屋の味噌汁美味しせいご蟹 俊克

◎冬日向道の風音恋路ヶ浜 俊克

◎荒波の冬の夕焼船を見る 俊克

◎冬の月朝日は登る白昼夢 俊克

歩み連る雪が消えたる小貝川 俊克

●初雪や通所は休むひらひらと 俊克

◎初雪の空がひらひら積もる家 俊克

●初雪の灯り図書館昼下がり 俊克

Aniko Pappさん頂きます。初雪ですから、
昼間も暗くて、図書館に灯りですね。
いいお感じですね。

◎朝が来る消える愛して冬の月 俊克

◎星が消え朝日の筑波冬麗 俊克

●切干やおかずの一品妻の顔 俊克

熱々と鮟鱇鍋の美味い汁 俊克

〇竜の玉七色溢れ数珠の音 俊克

◎野良猫は眼を見る友のしぐれ虹 俊克

◎生きるもの寺の畔や冬の朝 俊克

◎何もなく納豆食べて朝ごはん 俊克

〇水鳥や野路の恋路は波紋揺れ 俊克

〇足音の抜かる畦道帰り花 俊克

〇徒歩人の煮付けの市場寒鰈 俊克

◎筆落ちて文字の書かれず虎落笛 俊克

●冬鷺のあの空恋し野に降れり 俊克

●古道の跡を訪ねて息白し 俊克

Aniko Papp 一日一句互選に選ばせていただきます。
【古道の跡を訪ねて】という基底部の意味は、
古い道の跡を訪ねて、長い道を歩いていることです。
この基底部の後、季語である【息白し】という
干渉部が適切であり、季語も写生もよく働きます。
寒いですから、長い道を歩きながら息が白く見えるんです。
作者のご経験が詠まれているお句であるかもしれません。いいお感じですね。

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