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砂沼から言葉歩いてー2016-1

砂沼から言葉歩いてー2016-1

去年今年月の明りに日が昇る

初雀パンを目が会うそっと出す

初鳩や歩き遅さに励まして

小魚や沼の釣り人冬日和

冬銀河爆発残る超新星 俊克

獅子舞の高く掲げて肩車 俊克

申年の赤の肌着を病サル 俊克

水音のどこからともなくかいつぶり

近づいて知らぬ振りして初鴉

初凧の飛び立つ高く子の笑顔

舟走る砂沼風景初写真

百舌鳥団地仕事を急げ四日かな

よろしくと通所に入る初湯かな  俊克

坂東の筑波見上げる初霞

書初めの夢や笑ひに希望して

静かなり小寒なりて釣り談議

日溜まりの土手に水仙二つかな

冬菫午後の匂いに校舎かな 

春永や筑波嶺雲に風を吹く

初筑波二つの峰に男女川

ほのぼのと雨引観音初明り

冬の日や本を借り受け万葉集

図書館の底冷え痛い右の足

冬霞逢うこと鷲に鳴き渡る 俊克

鳴く鷲や逢える人々息づかい

噂出て舵の音さえ冬の蝶

顔洗う両手違つて初薬師

冬さぶや息づく君に夜渡る

二の宮や風花山に恋をして

筑波嶺の霞横切る春を待つ

おはようと自転車乗れる冬桜

男体山北に冬景砂沼かな

径の椅子チラチラ陽射し春近し

鳥の鳴く水辺に映し春を待つ

子と遊ぶラグビー蹴ってボール取る

受験して恋を知らない冬の梅

鬼怒川の響く工事に春を待つ

釣り船の夕べの宿に金目鯛

姫百合や心惹かれて口ずさむ 俊克 夏

山眠る火葬の煙鎮魂歌 俊克 冬

日光の山々見えぬ冬霞

病院の目を受診して寒し晴れ

恋渡る山を追いかけ冬霞む

風に鳴る黄色の花に冬の草 俊克 冬

君の眼に鴨を水音飛び立てて

朝霜や隠れし鴨に水を跳ぶ

花咲きて立ち渡る霧春を待つ

山々の日光連山冬霞む 俊克 冬

風花や結びて紐の吹き返す

餓鬼像の人を思いに野水仙

冬鴉別れを惜しむ山の峰

冬銀河鏡の音に形見かな 俊克

渡り瀬の衣が濡れる今朝の雪

冬怒濤轟く岩に裂けて散る

朝夕の冬暖かな恋をする

水仙花小川の流れ目に映る 俊克

梓弓音のみ聞きて冬の月

燃ゆる火を光の音に春近し

小銭持ち買うパン歩き日脚伸ぶ

燃ゆる火を人の来る道春野焼 俊克 春

下野の山の雪降る濡れる路

お湯駈けて朝の仕事に雪が降る

淡雪のはらはら降りて里の家 俊克 春

鈴の音の手を取る水に年の春

冬深し十九の恋に松の枝

寝転んで尻の敷かれて眠る山

松明の手火の光に冬の春 俊克

ならせもち竈の神の茨城弁

春を待つ恋の言葉に縁結び

うつ田姫チョンチョン声に震えてる

雪の精抱き上げ腰に目で交わす 俊克

軽井沢音も聞こえぬスキーバス

初庚申六十来たと赤パンツ

冬の菜の会える命にエスカルゴ

冬景色三輪の山見て蕾咲く 俊克

笹鳴や一日歩き六時間

冬夕焼遅れて揺れて恋の歌

家を出て図書館返る氷張る

ドサドサと風の流れに雪の駅 俊克

朝釣りし歌う舟唄春まぢか

厳寒の駅を歩いて鞍馬寺

塩の道浦の旅して寒さかな

湯気を立てフンドシ姿炎祭 俊克 秋

寒き朝空一本に線を引く

少年の化石の貝に寒茜

冬日向美し色に黄土かな

片貝の恋を眠れぬ波の花 俊克

寒し旅今日も出張一人寝る

沈む月野宿の朝に霜柱

池放ち鴛鴦の契りに人の恋

枯草やパチパチ燃ゆる若草山 俊克

白鷺城炎の恋に冴ゆる風 

漁師獲る風吹く船に明日の春

朝の空太陽かくれ雪の声

冬の海満干風に波の音 俊克

万葉の富士の噴火に息白し

騎馬武者の面影見ゆや冬の浜

結び枝早咲の梅散りぬ人

苦しくて恋歌逢えず冬深し 俊克

冬霞想いで泣いて筑波峰

万葉の馬琴の伏姫寒日和

寒月や武士の心に奮い立て

冬霧や言葉果たさず逢うことも 俊克

早咲きの梅の俳句にばぁば手帳

初場所の言葉に表せ琴バウアー

風花や恋の苦しさ赤い紐

荒磯の松藻の波に舵の音 俊克

日脚伸ぶ仔馬遊んで母の声

冬田打ち風が冷たいトラクター

大寺の鐘を餓鬼道手足荒る

常陸国神宮風土記冬の鹿 俊克

春近し心惹かれる鳥の声

春近し移ろい染めて朱華色

豊かなる土偶の乳房春立ちぬ

池水の鳰の見えずや底深く 俊克

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