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砂沼から言葉歩いてー2016-7

砂沼から言葉歩いてー2016-7

〇蓮池やたつたひとりの肉うどん 俊克

◎もう一度旅に出かける滝見茶屋 俊克

◎のびのびとたつたひとりの散歩かな 俊克

のびのびと田んぼの稲に草むしり 俊克

〇シジミ蝶姉妹で遊ぶ道の駅 俊克

雨乞の雲を明るく水の色 俊克

青田道散歩の風に二人旅 俊克

黄鶲のタラり接吻水飲んで 俊克

背を伸びて玉蜀黍の花匂う 俊克

パステルの色の紫陽花清々し 俊克

夏の夜の星を見上げて眠り込む 俊克

梅雨明や失語友達笑う声 俊克

〇北関東熱い怠さや梅雨の後 俊克

〇雲晴れて友と語らい梅雨あがる 俊克 

文字摺草や左の点に間に合わず 俊克

山枯れて川の流れし破れ傘 俊克

光彩を花火は消えてノアの夢 俊克

木道の沼の周辺禅庭花 俊克

気に入るや丹精込めて朝顔市 俊克

旅に出て探して地図に紅の花 俊克

降りそうな雲の天には梅雨じめり 俊克

Aniko
【降りそうな雲の天には梅雨じめり】俊克 
このお句の基底部は、【降りそうな雲の天には】
です。空は雨が降るほど雲が多いですね。
干渉部は、【梅雨じめり】であり、
このお句の季語です。梅雨の頃は、湿度が
90パーセントを超すほど高くて、雨は降らなくても
雨が降りそうに感じられます。
季語も写生もよく働き、
季節感もよく伝われているお句です。

旅ぶらり水郷佐原梅雨の蝶 俊克

◎美術史の百物語に諸国絵図 俊克

〇不可思議の朽ちて古木に山滴る 俊克

〇日盛やどら焼きアイス茶の時間 俊克

線路脇たっぷり引いて田水沸く 俊克

藻に隠れ小さな命金魚かな 俊克

くしゃみする今日は寒いや夏の風邪 俊克

百合の香や煩き話庭の隅 俊克

林道の脇の上流岩清水 俊克

〇夏の月生まれ可愛いかぐや姫 俊克

〇風鈴や知らぬ将棋の面白さ 俊克

〇明るくて虹の大仏牛久沼 俊克

利根川の降らず伝説夏の川 俊克

◎縁日の江戸風鈴は賑わって 俊克

乗る風に夏蝶今朝は飛んでいけ 俊克

薬草の唇音色鬼灯市 俊克

水飲みて湿風怠さあたたかし 俊克

像の朝のニュースや古代蓮 俊克

写真取り世界の蓮や紅と白 俊克

名前書き八重の天上蓮の花 俊克
天上蓮(てんじょうれん)

Aniko Papp
【名前書き八重の天上蓮の花】俊克
 このお句の基底部は、
【名前書き八重の天上】です。
干渉部は、【蓮の花】であり、このお句の季語です。蓮の花の名前を書きながら、八重の天上を思い出しているんですね。蓮の花の美しさが素晴らしく詠まれて、作者のお感じもよく伝われている素敵なお句です。

〇何思う沼の少年夏灯 俊克

〇少年の熱風尽きて牛久沼 俊克

〇サルビアの古い生垣婆の花 俊克

何もなくドラマ台無し暑き夜 俊克

〇石段の山を目指して門清水 俊克

◎滝道を登る水音鳥の声 俊克

〇蒼き空川を流れし竜の髭 俊克

園芸図鑑のベゴニア温室に 俊克

蝉鳴くや選挙の時代忘れない 俊克

投票の気持ち晴れ晴れ青蛙 俊克

両国の右の妖怪夏の天 俊克

空を見る冷し西瓜の笑い声 俊克

〇白糸の滝を感じる水の音 俊克

〇鳴き声で蝉の亡骸一人哭く 俊克

〇炊きたての旨い朝取れなすび漬 俊克

図書館の三角ガラスや夏の空 俊克

考えて金魚の孵化に命がけ 俊克

〇散髪の言葉喋らず夏日影 俊克

〇風の香やあらたに団子一つ買う 俊克

動物のテレビ可愛いさ夏の夕 俊克

〇霊山の極楽浜に夏の湖 俊克

〇図書借りて散歩が熱い夏の空 俊克

〇ワラビーの足を引きずる夏の月 俊克

精進の天ざる似てる冷素麺 俊克

〇地図を見て海月の世界果てしなく 俊克

雷電の雑誌を読んでコンビニに 俊克

風鈴や下手の横好き将棋指す 俊克

チュンチュンと三羽の雀夏日影 俊克

姫蛍闇の輝き飛び光る 俊克

徳一の歴史の花木薬草摘み 俊克

楽しむや船鉾そぞろコンチキチン 俊克

夏の宵温泉浸かる日本海 俊克

〇ゆつくりと風呂に眠たし蝉凉し 俊克

〇??唖蝉や家が燃えてる夜の闇 俊克

メガネ無く探して上に蝉笑う 俊克

◎水音の絵がき風景夏の宵 俊克

Aniko Papp
【水音の絵がき風景夏の宵】俊克 このお句の基底部は、【水音の絵がき風景】です。景色が水の音を描いているんですね。干渉部は、【夏の宵】であり、このお句の季語です。夏の宵の水辺の景色が水の音を描きます。季語も写生もよく働いている素晴らしい写生俳句ですね。

〇夕焼や潮の満ち引き嚴島 俊克 

〇お囃子の水没修理祇園祭 俊克

コンビニを比べて美味さメロンパン 俊克

おはようと今日は元気や杜鵑 俊克

街角に雷鳴暗く雨の風 俊克

練習を祭囃子の夜に聴く 俊克

この家に友と語られ鱧料理 俊克

〇とりあえずバスに揺られて鱧の鮓 俊克

◎逢いたくて父には父の蓮見船 俊克

平政の刺身煮魚はじまりぬ 俊克

〇とりあえず鮎の背ごしの美味きかな 俊克

◎あぶり焼き鮎には鮎の姿鮨 俊克

鮎の菓子熱い茶を出しはじまりぬ 俊克

果てしなく飛び越え速き黒揚羽 俊克

七月の旅を探して家族写真 俊克

◎水沢の寺の観音冷し汁 俊克

朝凪や市場の寿司にふぐを食う 俊克

短夜やポケモンGOの珍事件 俊克

夏の朝ふぐ天美味し駅うどん 俊克

◎夏日影神社に拝み出雲そば 俊克

夏雨や仕事終わりにメロンパン 俊克

〇熱風や怒りの抗議鯉の池 俊克

〇老眼に新聞読むや蝉時雨 俊克

〇失言は拡散される虹の梁 俊克

◎餡パンを半分あげて夏の月 俊克

〇夏の宵雲に隠れて赤い月 俊克

〇陶器焼きお稲荷様の炎ゆる影 俊克

〇大足の国道有りや大昔 俊克

三週間色もつかない金魚の子 俊克

〇風鈴のおふさ観音参詣す 俊克

〇風鈴や大師の音色旅に出る 俊克

〇風鈴の音を探して列車行く 俊克

〇言い回し失望させる夏寒し 俊克

〇リーダーは象徴なりて土用波 俊克

〇堤防の獣を穴に夏狐 俊克

夏の空岩瀬の池に桜川 俊克

〇早朝の願い叶うや蝉時雨 俊克

〇水緩み裏の筑波を風薫る 俊克

◎鳴り響く野馬追一路馬陵城 俊克

大関博美

鳴り響く野馬追一路馬陵城 俊克

力強さの溢れる句だと思います。
相馬中村城の別名を馬陵城と言うそうである。
与謝蕪村の鳥羽殿へ五六騎走る野分かな を思わせます。
蹄の音を轟かせながら、走る騎馬達の姿が力強く立ち上がります。         
手花火や火傷は足に年一回 俊克

だほ鯊の釣りのポイント浮かぶ舟 俊克

◎晴れる雲天気予報は蝉が鳴く 俊克

【晴れる雲天気予報は蝉が鳴く】俊克 
このお句の基底部は、【晴れる雲天気予報は】です。
天気予報によると、雲が晴れるでしょう。
梅雨が明けたんですね。干渉部は、【蝉が鳴く】
であり、このお句の季語です。蝉ちゃんたちは、
雲が晴れるでしょうという天気予報を鳴いているんですね。
面白い擬人化ですね。読者の注意を引っかかるわけですね。
去年は私も、【雨蛙天気予報を鳴き頻る】
という俳句をお詠みしました。
雨蛙は雨が降るでしょうという天気予報を鳴いている一方、
蝉は晴れるでしょうと予報しているんですね。
蝉ちゃんたちは、陽の照るうちに鳴いていて、
雨が降り始めると、鳴き止めるんです。
季語がよく働き、季節感がよく伝われていて、
面白くて目新しい擬人化も含まれている素晴らしいお句です。

〇もう一度野馬追写し父と子と 俊克

庭歩き朝の挨拶ミンミン蝉 俊克

◎裏筑波風が揺れてる雲の峰 俊克

散歩する今朝はひまわり背が伸びて 俊克

◎関八州野馬追駆ける相馬武士 俊克

絵を描きて花美しや薫る風 俊克

◎花火揚げ夜が終わりや河川敷 俊克

◎行水の母の写真に子の笑顔 俊克

ギヤマンの酒をゆらりと影映し 俊克

風鈴や熊を追い出しラジオかな 俊克

蝉が鳴く朝は起こされ通所行く 俊克

◎今朝早く雨が降り出す梅雨間近 俊克

◎蛇を見る毒を採取やマニアック 俊克

甜瓜香の漬物午後の御茶 俊克

◎六文字の書道練習夏を追ふ 俊克

◎蜂が飛ぶ巣の大きさや晩夏光 俊克

◎出土して古墳の埴輪夏の天 俊克

北野和良選 
〈出土して古墳の埴輪夏の天  俊克〉   関東、東北にも縄文の遺跡がたくさんあり、土器や埴輪、土偶が発掘されている。出土した埴輪は遥かな古墳時代の息吹を感じさせてくれる。
埴輪に託した古代人の魂は、この二十一世紀の夏空を見てどんな感慨にふけるのだろう。

梅雨明けのタワーヴェールや一度だけ 俊克

夏雲や三割割れて煙草かな 俊克

ロボットの歩く自分で秋近し 俊克

十六年三人三様夏の空 俊克

新聞を三通終わる夏通所 俊克

名刹の洞窟群や夏終る 俊克

囲まれしうなぎ供養や夏の果て 俊克

旅人の名所を巡る夏を追ふ 俊克

夏山の岩を取り入れご神体 俊克

ヤマユリの参道香り石畳 俊克

夏山路懐かし杜に道祖神 俊克

榛名湖の誰かを愛し雲の峰 俊克

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