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「思春期・青年期の友達関係による心の成長を観る①」、2022年秋アニメ Do It Yourself!! ーどぅー・いっと・ゆあせるふ‼


はじめに

 放送から1年後に視聴しました。コミカルで明るく元気よく動き回る女の子達のアニメーションが可愛く、一見ただDIY部でいろいろな物作りをして行くと言う単純な話に見えるます。しかし、物語の中でナレーションによる思考の解説などがなく、そして様々な受け取り方が出来る場面が随所に散りばめられてその場面に想い・考えを巡らせる事で受け手が持つ印象が変わる作品になっています。
 言い換えてみればこの作品は物語の細部を受け手の想像によって、言わばDIYさせて観せようとしているのかも知れません。
 もし、まだ視聴していない方はもちろん。上辺だけ撫ぜて放ってしまったとしたら、是非もう一回だけでも違う角度でじっくりと味わって欲しいと思います。


イントロダクション

これは、家具や友情や、ひいては人生までも、
考え、工夫し、苦労し、失敗し、それでも諦めずに自分の手で完成させて、
未来を切り開いていこうとする少女たちの、その最初の一歩を描く物語である──

©IMAGO/avex pictures・DIY!!製作委員会より。

 あえて言うまでもないのですが一話の最後に語られるイントロダクションを吟味するとかなり欲張りな内容で、DIYから始まって友情から人生まで描こうとしているのです。DIYのアイデアや技術だけを期待すると物足りない作品かもしれません。
 私はシリーズを観終わって、特にイントロダクションの「友情」と言う部分が心に響きました。
 ぜひ、少女たちの直面する様々なイベントや出会いに喜び悲しみ、思い悩む姿に共感して見守りながら物語を楽しんでください。

そもそも物語の軸となる「DIY」とは。

《do-it-yourself》しろうとが自分で何かを作ったり、修繕したりすること。日曜大工。ドゥイットユアセルフ。
[補説]第二次大戦後のロンドンで、廃墟に立った元軍人たちが「何でも自分でやろう」を合い言葉に町の再建に取り組んだのが始まりとされる。

出典 小学館デジタル大辞泉

 日本では一昔前のイメージ、「日曜大工」と言う意味が馴染んでいましたが本来はDIYは素人が「自分で何かを作ったり」「何でも自分でやろうと」と言う意味です。物語でも少女たちは様々な物作りに取り組んでいます。

人生もDIY。

 「しろうと」が自分の力と責任で成し遂げるモノ作り。そして自分の力で歩む人生もまた、それは誰もが一度限りしか歩めない「しろうと」です。思春期・青年期(モラトリアム)を過ぎればその先は自分で設計して責任を負って生きて行くと言う事では強引ですが人生も物作りのDIYも「しろうと」が作り上げると言うことでは共通しているのではないでしょうか。

思春期・青年期の友達関係

 イントロダクションが示すキーワードの一つ「友情」、そもそも思春期・青年期はどの様な友達関係なのでしょうか。
 '"同級生や友人との人間関係は発達段階によって変化し、思春期には仲間グループを作ることが心の成長には重要と言われています。小学校高学年から中学生までに2人だけの関係もつ事を「チャムシップ」と呼び、秘密を共有したり共通点を確認する関係性です。
 しかし、高校生以降は個性の違いに気づき互いの違いを認め合いながら友人関係を育む様になります、これを「ピアシップ」と言います。そうして認識された他者と自分の違いの中でアイデンティティを確立して行きます。"(参考)

6人の少女たちのそれぞれ最初の一歩を追って楽しむ。

 少女達がピアシップと言う心の居場所を象徴するDIY部に所属して「友達関係」を作り、未来を切り開く第一歩をどの様に踏み出して行くのか。
 私はあえて設定を確認せずに、物語を観た感想や記憶だけで各人物について一人一人追って書こうと思っています。したがって物語の行間や設定に対する空想も多分に入り込みますが偶然に目にとまり、そして気に入って頂けたらお付き合いください。

リンク「思春期・青年期の友達関係による心の成長を観る」シリーズ


参考


松岡 靖子(2022 12月12).「こころについてのエッセイ<8>チャムシップとピアシップ"」. 川村学園女子大学心理学科(我孫子キャンパス).日.https://www.kgwu.ac.jp  (参照 2023年12月19日現在).





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