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諸造語概説

本書に登場する予定のある諸造語の基本的用法を,この頁に概説する。

志向共同体(Goal-community):そのときに志向される様相をもった共同体。諍いはこれを実現する為の一つの手段として理解される。

指示領域:指示対象の領域。

シニフィアン緊張:異なったシニフィアン構造X,Yが重なった(共通した)指示領域を持つときの関係。能記緊張と記すこともある。この緊張を感じられなければホーリズムは理解されない。また,ヴィトゲンシュタイン哲学における〈要素命題の相互独立性〉との微妙な関係には次のような注意をしたい。すなわち,シニフィアン緊張を認めることがただちに〈要素命題の相互独立性〉を否定するわけではないが,〈要素命題の相互独立性〉の否定はシニフィアン緊張をただちに認める。

多重指示領域:能記緊張において重なる指示領域のことを特にそう記すことがある。たとえば,「ヴィトゲンシュタイン(という能記構造)」と「ヴィトゲンシュタインの脚と,彼のその他の身体(という能記構造)」との能記緊張における多重指示領域はヴィトゲンシュタインの全身が指示する領域と言うことができる。

意味探性:意味を探そうとする欲望が働く(と,看做すべき)もの。一般に,「探性」は何かを探そうとする欲望の働きとして用いる予定である。

clotext:世界を描写したシニフィアンの体系のうち,多重指示領域を含まないもの。本書ではレイヤー,あるいは単に Ct とも記す。Clotextualism においては,維持できる Ct は一枚であると考える。

換層:維持している Ct が変わること。ルビンの壺など,その概念的飛躍をもつものは,特に飛躍的換層と呼ぶ

Original clotext:どの Ct にも超越しない Ct の総称。

境界para-text):シニフィアン緊張をもつ Ct の関係を,次のものと対照的に para-text と記すことがある。

超越meta-text):CtB が CtA に存するシニフィアンを支持対象としている様態を,CtB は CtA の超越であると記すことがある。

絵(perspective):信念体系を ICTM に定位した概念であり,原則は矛盾なく累積した Ct が絵となり得る。が,一枚の Ct も絵でありうる。

真理:そのとき世界にたいして実行される絵のこと。

鳥瞰:レイヤー間の関係を眺めること。

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今日をただ生きるにあたり,個人が真の意味で「考える」必要性は非常に弱まっており,このことは社会機構として見れば喜ばしい進歩であると感じています。他方で,私はそのような風情に在ってなお考え続けようとする人たちに強い敬意を持ってもいるのです。本書は,そのような考える事が好きな人たちに読んでもらいたくて著したものです。というのも,本書の目的は認知における再構成の手口を啓蒙することにあるからです。

CLOTEXTUALISM

4,800円

本書は,clotext と呼ぶ新奇の概念によって既存の哲学的諸問題を再構成,あるいは解決してゆくことを目的としております。

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