プラタナス。心に添う景色が、そこに


ずいぶんと前、職場が、
神保町にほど近い、そのビルにあった。
隣りは、フランス語学校で、
階段を降りると、カフェテリアがあり、
ちょっとした読みものも
置かれていたように記憶している。
その学校の学生ではなかったが、
売店で何かを買ったこともある。

御茶ノ水駅から下った界隈は、
トチノキやプラタナスが
並木となって景色をつくっている。
それは少しだけ、
現実から遠のく時間をくれる。

職場のある建物が面した通りは、
マロニエ通りと呼ばれていた。
実際に陽光を浴びて立っていたのは、
プラタナスの木で、
重なる大きな葉は、
夏のあいだ木陰をつくり、
冬になれば日差しを遮ることなく落ちた。

プラタナスは、真ん丸の実がなる。
鈴をぶら下げたような姿から
スズカケノキ(鈴掛木)とも呼ばれる。
プラタナス、という響きもきれいだが、
スズカケノキ、という呼び名も
親しみがわいて、好きだなと思った。


街路樹、という言葉も
あまり使われなくなり、
歩いている人の心に添う景色が、
ふと懐かしくなる。
うきうきしたり、しんみりしたり、
心模様は移ろいつつも、
傍らに立つ樹々に励まされながら
毎日が成り立っていた。

通う場所は、
その人をつくる因子なんだ

つくづく思う。


秋の夕べに
プラタナスに思いを馳せていたら、
片隅に置いてきた
記憶のかけらが胸をつき、
そうっと抱きしめたくなった。


#プラタナス
#スズカケノキ
#街路樹
#神保町
#記憶のかけら
#もの思う秋

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できれば、写真や絵、
音や映像の力は借りず、
筆一本(つまりは、左の親指)で綴りたい。

            #cloudy009  
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 澄んだ空のもと、
 よい一日となりますように!

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