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子どもは親の分身か(アドラー心理学15)

はじめに

アドラー心理学って聞いたことありますか?色んな自己啓発本やらなんやでも紹介されているので名前だけは知っているって人は結構多いと思います。
有名なのは「嫌われる勇気」でしょうか。真面目な日本人に多い、人間関係に悩むそこの貴方、一度読んでみるのもありかもしれません。

今回参考にしているのは、小池直己氏による『英語で楽しむアドラー心理学 その著作が語り語りかける、勇気と信念の言葉』で、その内容にいくつか補足や私見なんかを添えて紹介していきたいと思います。興味のある方はこちらの方も是非。

どちらも、専門書ではなく自己啓発本や多読本に近いので読みやすいと思います。

ざっくりアドラー心理学


まず、アドラー心理学とは、文字通り心理学者のアルフレッド・アドラーの考えをもとにした心理学で、その特徴は「目的論」を基礎としているところだそうです。他にも4つ基礎的な考えがあって、それらを合わせて5つの前提があるのですが、アドラー心理学の講義をしたい訳じゃないので、必要なときに必要なだけ説明することにします。

「人間の悩みの基は、ぜんぶ人間関係だ!」的な考えがあって、その解決や対応について多くのおすすめの考え方が存在するのが魅力ですね。

本文

子どもは親の分身か

言うまでもないことなので先に結論を言いますが、もちろん違います。遺伝子的には半分程度はどちらかの親と一致していると思うので半分正解のようにも思えますが、親の人生をトレースする訳ではないので結局答えはNOでしょう。

アドラーはこれに近いテーマとして「母親はしばしば自分の子どもを自分の一部とみなす」という主張をしています。アドラーにはこのような特徴は両親ではなく母親に顕著にみられると考えたようです。

この分身のような捉え方は発達心理学では、ある特徴的な時期を持って向き合うことが知られています。それが反抗期です。

反抗期は大きく分けると、2歳ごろに起きる第一次反抗期、主に思春期に起きる第二次反抗期に分けられます。第一次反抗期の初期はイヤイヤ期としても知られています。一般にただ反抗期というと第二次反抗期を指すイメージがありますよね。

この反抗期が親と自分が違うという事を決定付ける、非常に重要な発達過程だと言われています。なので反抗期が全く人ほど自立などの精神的な発達を疑われることがあるようです。

親による子どもの自己同一化

子から親への同一化は主に反抗期を持って弱化していくわけですが、親から子への同一化はそのような発達段階によって解消されることはありません。ほとんどの親が精神的に成熟期を迎えているはずだからです。

このような自己同一化の傾向のある親は、子ども思いに見える一方で、しばしばいわゆる毒親や過保護のような状態に陥ります。

「子どもに自分のような失敗をして欲しくない」や「自分の叶えたかった夢を今度は子どもが」といった思いが屈折してそのような思考に陥るのでしょうか。

いずれにせよこのような自己同一化は時として子どもの人生を狂わせます。その事実には目を向ける必要があるでしょう。

余談

2つの反抗期(正確にはいくつかある)どちらも「自我」が影響していると考えられています。2歳ごろになると自分で何かをしたいと考える「自我の目覚め・芽生え」が起きます。すると、それにはやっていい事とだめな事が混在するため、時には止められたり、怒られたりするわけですが、そのギャップに苦しむ時期ということになります。

ここで甘やかし過ぎると引っ込み思案・臆病・神経質・集団生活不適応に陥り易くなると言います。逆に子どもを精神的・肉体的に支配するような育児は「過支配」を生み、子供が攻撃的・反抗的な行動をとったり、家出・不良化・快楽追及などに陥るとされています。


まとめと私見

・子どもは親の分身ではない
・過保護も過支配も推奨できない

何よりも、親が子どもを一人の人間として尊重するという姿勢は欠かせないと思います。子ども思うが故に大事にし過ぎる気持ちは理解できますが、可愛い子には旅をさせよのように、子のためを思うなら時に思い切った洗濯も必要かもしれません。

少なくとも親としてのあなたに求められているのは、進むべき道を限定することではなく、少しばかり厳しい道を進む我が子を応援することではないでしょうか。

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