マガジンのカバー画像

コロナ私史

7
運営しているクリエイター

記事一覧

コロナ私史 令和2年7月

じわりじわりと第2波と呼ばれることになる感染の波が広がっていく。遂にはこれまで感染者が確認されていなかった岩手県でも陽性者が出る。感染した者に対する誹謗中傷が問題に上り、日本では感染を社会ではなく個人の責任にする風潮があるというような調査結果については考えさせられるものがあった。

政府はGo Toキャンペーンを開始し、旅行業を始め観光産業への支援を始める。国民もキャンペーンを大いに活用し、春に我

もっとみる

コロナ私史 令和2年6月

はじめての緊急事態宣言が解除され、世の中は平常をとりもどしたように思えた。この時期は、再び経済も回り出し、外ではマスクを付けないで過ごすことも出来たくらいだった。マスクなしで歩いていても気まずさを感じないくらいには世の中先行きに対して楽観的になれていた時期だっただろう。
多額の第2次補正予算が成立し、経済の回復に向けた支援の体制も整った。

また次の冬には感染が拡大するかもしれないけど、しばらくは

もっとみる

コロナ私史 令和2年5月

緊急事態宣言下のこの時期、もっぱらの話題は「9月入学」だった。新年度を奪われた高校生の問題提起を発端に、政界での大議論に発展し、当たり前だと思っていた制度がもしかしたらひっくり返ってしまうのかもしれないというハラハラドキドキな思いで日々議論を見守っていた気がする。古くて新しい議論で、論点も沢山あって、話は尽きないものであったが、今から思うと果たしてあの時期に制度論に大きな時間を割いたのは正しかった

もっとみる

コロナ私史 令和2年4月

新年度が始まる。まさに暗黒の船出といったところで、あの春に新生活をスタートさせた人たちは一体どんな気持ちで大海原に漕ぎだしたのだろうか。4月7日には遂に緊急事態宣言が発令される。国民は歴史的日常に生きることとなる。

経済は低迷し、かなりの短期間で補正予算が編成される。人々は失われた機会を求めて声を上げ始める。楽しみにしていた時間、かけがえのない思い出、入学式、新学期、入社時研修、商売のチャンス、

もっとみる

コロナ私史 令和2年3月

国内での蔓延が心配される状況となり、当時の安倍総理は学校の休校を要請。未知の感染症に対して、子どもを守ることを決断した。急ピッチで進められたため、学校現場での対応や休業を余儀なくされる保護者、また保護者が休めない場合の学童保育等で問題が生じ、関係者は対処に追われた。待機用教室の開放や、休業した保護者への支援金、学童保育や幼稚園・保育園の開園継続要請など我が国は課題に対して様々な施策を展開した。しか

もっとみる

コロナ私史 令和2年2月

黒船が来た。3711人もの潜在的なコロナ感染者を乗せた船が首都の鼻先にある。検疫に時間がかかる間、部屋に閉じ込められた人々からは豊かな休暇から一転した不満が漏れ聞こえ人権派の同情を誘う。ひとつ船の中というイメージや増加する陽性者数から、そこでウイルスを増殖させているかのような不安が広まる。実際は政府の客室隔離より前に、客船側の判断のもと通常通り船内娯楽が提供されていたことが当時の陽性者数の増加カー

もっとみる

コロナ私史 令和2年1月

国内初の新型コロナ感染者が確認されたのが1月15日。当時はまだ海の向こうで猛威を振るう感染症といった認識で、我が国に入ってこないよう祈りつつ過ごしていた人が多かった。政府の目下の課題は、中国武漢からの邦人救出オペレーションであって、世界各国と見比べてチャーター機だとか軍用機だとか離陸の許可を取れたとかなんとかをワイドナショーは競わせていたような気がする。未知の感染症を患っているかもしれない帰国者を

もっとみる