池澤夏樹(1991)『スティル・ライフ』中央公論新社

仕事仲間の一人としてしか認識していなかった人間が、ある出来事をきっかけにして、自分のプライベートに入り込んでくる物語。プライベートに入り込むというのは、つまり、自分の内面を変える力となることを意味する。

突然現れた奇妙な展開を通して、この世界に対するまなざしを変えることになる。村上春樹作品と似ている。人は誰もが、他者からの影響を受けて自分自身を変貌させる。そしていつしか、他者は輪郭を失い、溶け込んでいく。

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