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おか いずみ / をか いづみ / 水尾 郁藺 / 海津 水脈 https://kaidumiwo.exblog.jp | 思春期以降に書き散らかした雑文の墓場

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すべての起点は「夕暮れ坂」

(いずみWORLD19990407より再録)  あの高校に入学して最初に書いた物語は何だったろう?  今思い返そうとしても内容すら記憶に残っていない――作品とも言えぬような駄文をいくつか友人達と交換した覚えはある。  そんなある日、思い立った――「この南紀州の高校で出逢った友人達に、あの南信州の中学校での片恋の思い出を聞いてもらいたい」と。そうして書き始めた物語が、この「夕暮れ坂」の始まりだった。当時の原稿は疾うの昔に処分して手元には残っていないが、太田鈴を主人公にした物語だ

    • 夕暮れ坂

       プロローグ「おーい、太田。」  遠足から帰って来た一年生の群れの横を、自転車に乗った小柄な少年が通り過ぎる。群れの中でお下げ髪の少女が声を聞いて顔を上げる。 「後で二音に寄って行けよ。」  泉ヶ丘中学校第二音楽室――吹奏楽部練習場。 「おい、裕介、どこへ行ってたんだ?」 「ちょっとな。」  昭男の問いを交わして、裕介はバリトン・サクソフォンを手にする。楽譜を取りに楽器室に向かいかけたとき、淳に遭遇した。 「げっ、部長。」 「『げっ』はないだろう?」 「すみません。」  裕

      • はじめに 20201209

        子供の頃から物語を読むことが好きでした。自分だけの物語を綴ることも好きでした。詩を編んだこともあれば、詞にメロディーをつけたこともあります。下手な歌を吹き込んだカセットテープや物語のワープロデータを保存した3.5インチフロッピーディスクが今も手元に眠っています。手書きの原稿用紙やルーズリーフ、自分や友人が描いたイメージイラストなどもまだ残してあります。 高校時代に「おか いずみ」という筆名を持ちました。友人たちに読んでもらうことを前提に書いた物語の舞台から付けた筆名でした。

      すべての起点は「夕暮れ坂」