すずきし

メディアのことを考えて書きます

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最近の記事

#13 Media Studies)今新聞とか読む?

昨日の世界を一覧で把握したいと思っていた。というのも、ウェブニュースやメールマガジン、ネットサーフィンでは、情報の網羅性や体系性、そして送り手の意図の特定が難しいという問題が頻繁に感じられる。特に、送り手の意図の特定が難しいという点は問題視されるべきだと思う。 事実か虚偽か確認できない情報は、少なくとも自分の頭にはほとんど入ってこないと経験的に感じる。その一因として、無意識的な自己防衛が挙げられるだろう。オンラインでは日々膨大な量のニュースが流れ、その情報は個々の理解能力を

    • #12 Media Studies)GPT4がきた,人何する?

      知的才能の外在化が起きたんだと思う. 身体が資本である時点で根本的に適正なんてなかった.デスクワークする人間は集中には限界はあるしご飯食べないと続かないし食べると眠くなるし寝ないと続かないし運動してないとロクなことにならないし. 逆に身体を静止させて頭だけを回すことの適性のなさからやっと解放されると捉えていい.フロントを任せられる安心感,手を汚さずに思い通りのところへ行ける. もっといいことはきっと,AIに触れていさえすれば全力で任務をこなしていることと実質的に同じになれ

      • #11 Media Studies) つくることで受け取られるというシェアの形

        最後に出た新しいシェアのかたちの話を続ける. とにかく高速で,速さを活かした圧倒的な量の集積とそれによる質の獲得はコンピュータという新参のプレイヤーの強みだ.思考する人間を模倣するように発展してきたコンピュータはデジタル化できる知的作業から順々に人間の活動を書き換える方へ向かってくる.事務作業,物事の判断,そして創作.コンテンツの消費は生産に量的にも質的にも先行され,コンテンツをつくることも問題を解くための思考も意味をなさなくなってきている.ここへきて多くの人間がその圧を感

        • #10 Media Studies) AIと人が動画メディアに

          生成系AIの隆盛とインターネット動画メディア論を繋げて語る回. Stable diffusion,DALL-E,Midjourneyなど,安く早く高性能に画像生成できるAIが登場してきた.その流れは画像だけに止まらず音声も3Dオブジェクトも,そして動画も,プロンプト次第でなんでもつくれるようになってきている. シェアはインターネット動画メディアにおける重要な性質である.シェアが営まれるメディアの中で,視聴者と投稿者は融け合う.ユーザはコンテンツを視聴するだけでなく,自ら動

        #13 Media Studies)今新聞とか読む?

          #9 Media Studies) 時代観を考える:知性を追い求める人間を諦めて以降

          知的生産が絡んではもう勝ち目はない.知性を追い求めることの諦めがつくシンギュラリティがはやくもきている. イメージのために理論を学ぶ,違うんだ,イメージが迫り出してくる. 音楽,むしの形態,画像,動画など静的パッケージは生成の方が消費よりはるかに速い,それでも消費しますか? 人類学者ルロワ=グーランはホモ・サピエンスの数千年来の賭けは時間や空間を組織することだといった.虫や他の動物にとって空間とはもっと身体的な得体の知れない何かだと. 他の動物やアウストラロピテクスなどの原

          #9 Media Studies) 時代観を考える:知性を追い求める人間を諦めて以降

          #8 Media Studies)夢のメディア

          つくったので語りたい作品。 このアイマスクは着けている人のみている夢を擬似的に表現する。それは着けていない人に共有される。寝ている装着者は脳内で夢を見ている。そのとき,この装身具は装着者に夢を見せると同時にその他の人にも夢を見せる装置となる。この2つの夢は一致することないまま共存する。 コミュニケーションの実質性と虚構性が鑑賞者を巻き込んで表現される。 体験の推しは両眼立体視にある。というのも図のように見ることで映像は立体的に見える。ここに大きく2つのポイントがある。まず

          #8 Media Studies)夢のメディア

          #7 Media Studies)フォノグラフも脳もやってることはよく似てる

          フリードリヒ・キットラー著「GRAMMOPHONE FILM TYPEWRITER」 フォノグラフと脳内作用の話。 フォノグラフは音を引き伸ばしたり圧縮したり高くして近づくような聞こえにしたり低くして遠さかるようにしたりと音を変容させることを可能にした。 しかし これは脳内でも類似の作用が起こるとキットラーは言う。そればかりか,エジソンの大雑把な器械では脳の作用に劣っていたとも。 二項の優劣の話にかかわらず,装置によって脳内の何かが実質的に音というメディアの形態を保ったま

          #7 Media Studies)フォノグラフも脳もやってることはよく似てる

          #6 Media Studies)リモート時代の表現手法

          オンラインで伝わる展示作品とは何か考えていた。気になる問題が2つできてきた。 Q1:人間は視聴覚だけで満足か?触れたい欲求は超高解像度の映像を見て解消するか?ただ,事実として視聴覚の複製技術が普及している。そしてコロナ禍2年も終わる中,もうフィジカルで鑑賞しなくてもバズればOKな世界だとすれば,作品の表現はカメラだったりマイクだったりといった記録メディアと不可分になっていくだろう。 そうなった時に,体験の本質は人体の主観的体験というよりも記録装置の主観的体験の方に移ってい

          #6 Media Studies)リモート時代の表現手法

          妄想で問題解決できた試しがない

          一度も,もしくは記憶にないほど,できたことがない。自戒の走り書き。 妄想で問題は解決しない。思考だけだ,思考したことくらいしか残らない。 これをよく忘れるので気をつけたいが,思考は手でやるものだ。自転車の操縦は反射でサクサクかつ気持ちよく進んでいける。あれも思考だ。動物なんだ。 どんな思考も同じように反射でできるはず。 できないなら直ちにやり方を知ってそうな人に聞くことができるから詰まるはずがない。詰まるのはどこかの不具合だ。 ところで,じゃあ妄想は何のためにするの

          妄想で問題解決できた試しがない

          #5 Media Studies)TeamLabの強さ

          猪子さんは生命とは何かということに興味があるらしい。ボーダレス。その表現の肝を感じに行ってみた。 「チームラボリコネクト アートとサウナ」に行ってみた。 ととのった。完全にととのった。何も考えられなくなりつつも,周りの人のことははっきり認知していた。ただ光のある方へと目が向かった。 意味がどうでもよくなるような脳になった。 花が高解像度にプロジェクションされている壁を眺めているだけでよかった。咲いて,増えたり減ったり成長したり。何回もみられるとかどうでもよかった。球体浮

          #5 Media Studies)TeamLabの強さ

          #4 Media Studies)Ryoji Ikedaの強さ

          感覚世界に染み出す物理世界。 Ryoji Ikeda池田亮司は日本を代表するアーティストで知覚の極限に迫るサウンドとビジュアルのインスタレーション作品で知られる,とよく紹介されている。詳しくはこちら。 ちなみに「メディアアート界隈で影響の大きいいくつかの派閥の一派だ」とメディアアーティスト落合陽一さんは言っている。 メディアアート派閥の一派を担うRyoji Ikedaの作品の感じを報告する今回。渋谷のWWWにてRyoji Ikedaの作品「superposition」上

          #4 Media Studies)Ryoji Ikedaの強さ

          #3 Media Studies)Quine実践

          Quineとはソースコード。実行するとそのソースコード自分自身と全く同じ文字列を出力する。 各言語でプログラマが暇つぶしに作ったものがwebのあちこちに転がっている。 今回,PythonのQuineを書いては実行し感想を書く,を繰り返してみた。 仕組みも意味も意義もわかっていない状態からスタート。 _='_=%r;print(_%%_)';print(_%_)__ = '__ = %r; print(__%%__)'; # 僕がこれを書いて実行することで,書いたこ

          #3 Media Studies)Quine実践

          #2 Media Studies)オンラインで展覧会に行くと全く面白くない問題

          特にメディアアートの話。 最近の展示はオンラインが多い。授業でオンラインで展示会を開催予定だ。そのためにつくる作品を考えながら,いろんな展示をオンラインで見ている。面白くない。作品の原理的な面白さ,味わい深さが伝わってこない。 求められるポストインターネットの展示会単にインタラクティブな作品が体験できなくなったね,の問題でもない気がする。作品鑑賞の基盤がオフラインとオンラインとで違うんだ。 ただこれは逆にチャンスなんだ,受け手の環境が絞られている絶好の機会,とテンション

          #2 Media Studies)オンラインで展覧会に行くと全く面白くない問題

          #1 Media Studies)インプットとアウトプット以外

          僕はメディアそのものについて考えるのが好きみたいだと気づいたから,メディア論やメディアアートについて書いていくシリーズを始めてみる。 メディア論の大きな話題の一つに「身体」がある。今回はこれ。 今回のまとめ: もしも 人間の存在の本質={意識,身体} ならば,人間にできること={行動,感受,記録} ことばの説明  意識:何かを判断しようとするこのわたし。  感受:感覚として情報を得ること。甘味がする,目が見える,痛いなど。  記録:時間的に幅をもって残る,物事の副産物。

          #1 Media Studies)インプットとアウトプット以外

          文脈にトレンドをつくると社会への入場切符が得られる

          やりたいことというか,実際何をやっていくかという話。 代表作をつくると人生はバラ色になる。金色かもしれない。芸人,アーティスト,実業家,作家,評論家,研究者,役者,色々な人が色々な代表作,出演作,プロジェクト,成果を肩に背負って活躍している。そうした人たちはキラキラして見える。 つまり彼らは社会に認められている。 代表作とは社会に認められるためのカギだ。代表作が業界など社会システム(フィールド)で評価され,そのフィールドで突出したプレイヤーが社会に評価される。そうした時に

          文脈にトレンドをつくると社会への入場切符が得られる

          部屋の花粉無間地獄

          花粉で瀕死。 部屋にいる。鼻に花粉入る。くしゃみする。床に伏していた花粉が舞う。完成された負のループ。そして強化されていく症状。 そういえばあるティッシュメーカーの株価は去年の10月ごろから右肩上がり続けているのはどうしてなのか不思議。小さい頃ティッシュは埃っぽい部屋で呼吸した人の鼻くそからできていると思う世界観で暮らしていた。マンガ鵜呑み系お子さまだった。

          部屋の花粉無間地獄