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パスタで紐解く業界×ソリューション担当別の働き方(コンサル・IT企業の業界研究)

はじめに

どうも、コンス(@cnsltntatgaishi)です。新卒でコンサルファーム(業界担当)に入社し、その後外資IT企業に転職し、傭兵部隊的な場所で働いております。
この記事ではコンサルティングファーム内のいわゆる専門領域や、IT企業が提供するソリューション領域について、両界隈ともに未経験の方、そしていずれかの界隈に就職・転職したい方向けに記事を書いていこうと思います。
この記事のゴールは、コンサルティングファームやIT企業で、自分の専門性がどう培われるかを理解できるということをゴールにします。

コンサルティングファームやIT企業では、事業会社(自分達で製品を作っている企業)に対して、彼らが自力では補えない分野の自社サービス・ソリューションを展開しています。

事業会社が自力で補えない部分と言っても、同業他社に比べての知見・開発力なのか、マーケティング力なのか、はたまた人員不足なのかと言った具合に、その課題領域は多岐に渡ります。

コンサルティングファームやIT業界では、そのような課題に対して、業界担当とソリューション担当という2軸でアプローチがされています。

したがって、コンサルティングファームやIT企業でキャリアを築いていく場合、業界担当となるか、ソリューション担当となるかのいずれになると思ってください。

この記事では、キャリアを築いていくにあたって、両者がどのようなものかイメージを掴みやすくするため、今回は飲食業、そしてパスタの作り方をベースに解説していきます。

そもそも業種・業界・専門領域の定義とは?

業種・業界と言われた時、どちらがより大きな括りか。そんなことまで、あまり深く考えたことはないかもしれません。

今回はDODAキャンパスさんのこちらを参考に、飲食業で解説していきます。

業種・業界の図解


カテゴリの定義自体への議論はさておき、業種・業界を飲食業、そして今回のテーマのパスタに当てはめてみます。

パスタというテーマから、視点をかなりハイレベルにし、どのような業種・業界に属しているものかを考えると、

業種 = 飲食

業界 = 洋食

といった形で理解ができますね。

パスタはイタリアンという専門領域の料理であるため、もう一段階ブレイクダウンすると、飲食業>洋食>イタリアンというレベル感となります。

専門領域 = イタリアン

したがって、自分の自己紹介をするならば、飲食業に従事しており、洋食界隈のイタリアン専門ですというのが業界担当ですと言った具合になります。


業界担当な働き方

コンサルティングファームやIT企業に勤める場合、この専門領域担当をしていくことが、いわゆる業界担当としてのキャリアを積んでいくことになります。


若手・中堅のうちはフレンチ、スパニッシュといった他の専門領域を経験することもありますが、専門家としてご飯を食べていくには、専門領域で腕を磨いていく必要があります。

いわゆるマネジメント層になれば、各専門領域のエッセンスを理解し、洋食業界のテーマを取りまとめていく必要もあるのですが、それは配下のメンバーに専門家がいるが故に成り立っているわけでもあります。

仮にイタリア料理店のオーナー・シェフから、コンサルティングしてほしいと言われた際、イタリアンに造詣が深くなければ、適切なアドバイスはできません(もちろん他専門領域の知見も歓迎されるかもしれませんが・・・)
そういった意味で、専門領域を持つということは非常に大事で、キャリアの成熟とともに自分自身の知識・スキルに磨きをかけていくことが必要です。

業界担当の専門家としての働き方

さて、業種・業界・専門領域の定義を理解いただいたところで、ではコンサルティングファーム・IT企業がこれらのイタリアンレストランにコンサルティングを行うことになったとします。

イタリアンと一口に言っても、ピザ、パスタ、リゾット等その料理は多岐に渡りますよね。
料理人はイタリア料理のプロでありますが、コンサルタントたちは料理のプロではなく、料理人へのコンサルティングのプロであり、現役料理人として実際の最前線で戦っている人たちではないことが多いです。

なので、決められたテーマ(料理)に対して、様々な知見を提供するというのが業界担当の専門家の立ち回りになります。

ここでは、パスタを例にとります。

あるイタリア料理店のシェフから、既存メニューのパスタをより美味しく作るためのコンサルティングを受けたいと言われたとします。


美味しいパスタの作り方を紐解くと・・・

美味しいパスタを作るにあたり、改善していくべきポイントはたくさんあると思うのですが、仮に調理過程に課題があるようで、そこをを見直したいと言われたとします。


こうなると業界担当として、コンサルティングできることは、各調理過程の課題の洗い出しと解決策を提示することになります。

どうやら野菜の切り方は、他レストランではこうしているらしい。
そうすると、口コミがよくなり、レストランの売上が上がった。

具材を炒める時間は、N分が〇〇パスタのベストプラクティスらしい

味付けは薄め、盛り付けはインスタ映えを心がけた方が、世間的な”美味しい”の評価につながりやすい

これらの調査結果や示唆をもとに、現在の課題と比較・分析し、美味しいパスタを作り上げるためのコンサルティングを進めていくというのが業界担当の専門家としての活躍の仕方だと思います。
(分かりやすさを重視し、かなり掻い摘んでお伝えしてはいますので、ご容赦を)

実際の仕事に当てはめて考えてみると

業界担当の専門家として、実際の仕事(プロジェクト)に当てはめると、パスタの専門家になるために、網羅的に調理過程を経験できるようなプロジェクトというものは少なく、材料加工、盛り付けといった細かいテーマ別のプロジェクトに割り当てられることがほとんどだと思います。

コンサルティング業界や、IT業界で、いわゆる上流から下流(加工から盛り付けまで)を一貫して体験できることは少ないです。

ある業界の専門領域のエキスパート(SME)に求められるのは、ジェネラルな解決策よりも、ニッチであっても深さのある知識・解決策かと思います。これこそが、外部専門家としての提供できる価値かと思います。

他の人が知らないこと、気づき等を示唆・解決策とともに、クライアントに提供することこそが業界担当の専門家としてのあるべき像だと私は思っています。

特定領域のソリューション専門家としての働き方

業界担当の専門家は、他の人が知らないこと、気づき等を示唆・解決策とともに、クライアントに提供することと前パートでは書きました。

では、具体的にどう野菜を切ると良いのか、どのような道具を使うべきなのか、といったHowの部分で、課題解決を図るのがソリューション専門家としての働き方です。


ソリューションとは、各過程を改善するためのインフラ・ツール


ソリューションと一概にいっても、その種類は多岐に渡ります。
パスタの調理過程に対するソリューションを例にとると、利用設備・器具がソリューションに当たります。


垂直型ソリューション

1工程に特化して、Howの実現を目指すソリューションのことを垂直型ソリューション(Vertical)と呼びます。

材料加工過程利用する包丁、下準備・本調理過程で利用する鍋・フライパンなどがこれに該当します。

水平型ソリューション

一方で、全ての工程に共通して、Howの実現を目指すソリューションのことを水平型ソリューション(Horizontal)と呼びます。

工程に左右されることなく、調理過程でのHowを実現するためのベースとなるもの(インフラ設備など)がメインで、どちらかといえば縁の下の力持ち的な存在ではあります。

水平型ソリューションは各工程一個ずつを改善するようなことは難しいですが、そもそものインフラ設備の増強を図ることができ、仕事の効率化や改善を図ることができるものです。

例えば、これまで狭かったキッチンの導線を改善するシステムキッチンの導入は、材料加工から盛り付けまでの所要時間の短縮に貢献し、結果的により鮮度の高い料理を提供できるようになるといった具合です。

実際の仕事に当てはめて考えてみると

ソリューション担当としての働き方は、調理過程そのものの貢献というよりも、いかに調理過程の効率化・改善を図れるかという目線で、ソリューションを提供したり、作成したり、カスタマイズしたりすることが役割となります。

他社では、システムキッチンを導入したことで、N%の調理時間を短縮することができた

材料加工の包丁を自動調理マシーンに変えると、食品ロスがN%減り、売り上げ向上に貢献した。その自動調理マシーンのスペック、設定はこちら

このような役割を担うのがソリューション担当の働き方のため、調理工程(業務特化)の知識よりも、ソリューションそのものへの知識・スキルが求められていきます。

したがって、実業務では少しエンジニアに近しい知識を求められる場合が多いです。コンサルティングファームのテクノロジー/デジタル部隊、IT企業で特定のソリューションで課題解決をうたってっている組織はそのようなスキルをベースにお仕事をしているはずです。

業種・業界横断なソリューション担当の働き方

最後は業種・業界横断なソリューション担当についてです。水平型ソリューションとは、本来こちらを指すことが多いです(今回は、分かりやすさの便宜上、ミクロなレベルで説明しています)

会計・経理・税務ソリューションは業界・業種横断ソリューリョンの最たる例

例えば、様々な業種・業界で必要となる会計ソフトウェア等は、まさにこちらに該当します。

実際には業種・業界問わずのソリューションといいつつも、製造業やIT業といった業種ごとの特色があるため、製品販売時には業界特有の要件を盛り込んだソリューションとなっているケースが多いです。

まとめ

いかがだったでしょうか。
実際のお仕事の現場では、業界担当の中にソリューション専門家のキャリアパスがあったり、ソリューション担当の中に業界専門家のキャリアがあったりと、そのメッシュはより複雑になっていると思います。

自分自身の仕事軸を考えたときに、どちらがより自分の肌に合っているかと考えるのはすごく重要です。

私は新卒でコンサルティングファームに入社し、業界担当のコンサルタントとして働いていたので、キャッチアップすべき知識の多さ、業界担当なのに業界の大勢がわからないまま細かいテーマを勉強することには非常に苦労しました。そして、漠然と自分の将来を不安視している時期もありました。

そして現在は業種・業界を問わないようなソリューションを提供してるIT企業にいます。

両方経験してみてわかってきたことは、もはや片方の領域にだけ特化してキャリアを積んでいくことは難しく、専門領域の磨きは掛けつつ、食わず嫌いをせずに知識・経験を貯めていくしかないと今は思っています。
ビジネスにおける業界という垣根も低くなってきていることは間違いありませんし、日々アンテナははっておかないと、知識・経験はあっという間に陳腐化します。

この記事でお伝えしたかったことは、コンサルティングファームやIT企業では、どのように専門性をつけていくかでした。

私自身も日々自分のキャリアに悩む生活ではありますが、皆さんにとって実りのある記事になったことを願っております。

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コンス




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