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格闘技のS&Cプログラム:ピリオダイゼーション編3 Fight-Campの過ごし方

試合がやっと決まり、特定の相手や大会に対する準備を更にしていくのがFight-Camp。それをどう計画立てればいいのか?今回は試合までの約12-4週間のトレーニング計画に関して書いていこうと思います。

今回書く部分は赤で囲ったところ

Fight CampはOff-Campと違いかなり正確なトレーニング負荷管理を通したトレーニング強度の調整が必要になってきます。Fight Campの後半では減量も少しずつ入ってきます。減量があまり必要ないヘビー級や1−2kg程度の選手以外、階級制のスポーツである格闘技の特性があるのでしなくてもいい怪我や疾病を未然に防ぐことが大事になります。

Fight-Campでは何をするのか?ポイントは?そして、注意するべきところは?

ようやく試合が決まりました!待ちに待った試合です。最高の準備をして、本番に臨みたい、と思うのは全ての人の望みです。しかし、全てのスポーツに言えるように本番に最高の状態で迎えられるには緻密な計算と、そして試合中に想定外の状態に陥った時を含めて考えられるあらゆる局面に準備しておくことでしょう。そういった幅を広げていくために、今まではOff Campで土台作りをしていきました。 Fight-Campではその土台の上に今回の試合のために色々と積み上げていきます。

以下, Coyne (2021, p.329)、Ruddock(2016,p.86)などを中心に話を進めていきたいと思います。

上記の通り、この期間は”はっきりとした試合への準備の期間”です。

ポイントとなるのは以下です:(優先順位順)

1)試合時に自分の選手が有利となるポイント(パンチ力、テイクダウン率など)の強化
2) また相手に対して競技上不利となるスキル以外の要素(体力、筋力etc)を引き続き強化していくこと
3) 選手の自信となるフィードバックを常に、もしくはタイミング見計らって、し続けること

です。

また注意しなければならないポイントとしてはFight-Campでは先述の通り”怪我のリスクが増加する”ということです。

これは
1) スパーやシチュエーションドリルなどの実践練習が増えトレーニング負荷がどんどん上がっていく、
2) 減量にも入るので摂取カロリーが少なくなりリカバリーを促すためのエネルギーがどんどん少なくなっていく

なのでできる限りのことを前もって計画立てていくことが大事になってきます。勿論、計画になかった状況にも入ることは当たり前のようにあることなので、その都度話し合い、データを見て、適切な修正をしていく必要があります。

*減量が苦手な選手や日頃から減量がしやすい体重にしていない選手は特に注意しないといけんません。

トレーニングの比重の変化・タイムライン

FIght Campのピリオダイゼーションを考える時にはトレーニングの比重をどのように考えればいいのでしょうか?このセクションではRuddock(2016,p.86)で紹介された典型的なプロボクサーの試合への準備期間である12週間のトレーニング計画に自分の考えも入れて紹介していきます。

試合が決まってからの12週間をどう過ごすか?Off-Campでやってきたことが試される時です。

もう少し試合の準備に向けての要素の重要度がどう違ってくるのかを図にすると

試合に向けてフィジカルに避ける時間がどんどん少なくなっていき、練習の中でフィジカルの部分をカバーする必要が出てきます。


もちろん上記ような重要度はもちろん対戦相手によって変わってきます。対戦相手と比較してフィジカルが優っていれば、早い段階から技術練習に重きを置き、持ち前のフィジカルをどうすればリングの上で生きるのかを考える必要があります。全てはどれだけ試合のないOff-Campをどれだけ計画だって遂行できたかが重要になってきます。

減量の開始時期

減量開始時期に関しては千差万別です。1週間で良い選手もいれば、1ヶ月かけて徐々に落としていく選手もいます。一番大事なのは計画的に行うことです。後述のトレーニング強度の決定や負荷のモニタリングに関していつ減量を始めるかが非常に大事になってきます。修正が効くのは勿論早めの減量ですが、筋肉が落ちてしまっては意味がないのでしっかりとカロリー計算や水分、食物繊維の変化などなど計画的にをしていく必要があります。

トレーニング強度の決定と負荷のモニタリング

Fight Campはスパーなどで強度が上がる上、減量期間も重なるため利用できるエネルギーが限られてきます。つまり、次の日にリカバリーができていない可能性が高いです。なので強度と負荷のモニタリングが非常に大事なります。

Fight Campの1週間のトレーニング計画 例

やり過ぎても怪我をする、そしてやらなさ過ぎても怪我をするので、メリハリのある適切なトレーニング負荷の調節が非常に大事なってきます。その為には、当日の感覚も大事になりますが、その感覚にジャンプの計測数値などを合わせてみるといいでしょう。まさに主観と客観を両方を合わせてトレーニング負荷を調節し、その日できる最高の準備をしていきましょう。

まとめると?

試合までの12週間をまとめるこんな感じです。


いかがでしたでしょうか?試合前の前の約12−4週間でフィジカルから見た大事なポイントを書いてみました。参考になれば最高です。

次回は各格闘技のニーズとパフォーマンス分析に書いていきたいと思います。

以上

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