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母の短歌・特攻機

特攻機に
乗らむとかの日
聞きしゆゑ
積乱雲は
かなしかりけり


 『戦争反対』という言葉を掲げていながらそれについて具体的にはほとんど書けないうちに7月になりました。
私は戦中派の両親から戦争に関する話をよく聞かされていて、絶対書き残しておきたいという気持ちが強くなり、ああでもない、こうでもない、となかなか手がつけられないのであります。

 おそらくこの歌は、母の住む農村にいた少し上の聡明な先輩のことを詠んだものだと思います。別の機会に聞いたのですが将来を有望されるような優秀な方だったそうです。『御国のために』という言葉を真正面から受け入れて自ら志願したと聞いています。壮行会での挨拶は皆が万感の思いで聞き入ったそうです。

 日々の戦時生活に戻り農作業の最中に、ふと顔を上げると勇壮たる積乱雲が見えたーー。人間の営みとは無関係に美しく晴れ渡った空。その時母は先輩の事を思い出し、感情が動いたのではないでしょうか。▪️

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とにかくやらないので、何でもいいから雑多に積んで行こうじゃないかと決めました。天赦日に。