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「夢はなんですか?」にうまく答えられなくて

20代後半というのは会社にとって、思わぬ「役割」がある。

「新人教育」だ。

支店で設計工事課に所属している唯一の20代なので、今年の新卒教育だけではなく来年度の新卒面談の担当も任された。

最初は、こんな機会めったにないから少し楽しみにしていた。世間でいう就活をしなかった私にとって、未知の世界だった。

が、オンラインでの面談なこともあり連日に及ぶ面談は、想像を超える大変さ。一番の想定外な出来事は、学生たちの質問に私のメンタルがじわじわやられていくことだ。


学生さん「すなばさんにとって、この会社に入ってからの夢はなんですか?」

すなば「ゆ、夢ですか?、、、そうですね。お恥ずかしながら、探し中です!(内心:今年の目標は貯金して新車のジムニーを買うことです!!)


ほかにも、「やりがいはなんですか?」「都会ではなく、地元で設計することの魅力はなんですか?」などなど、、、本心なのか質問のテンプレートなのかも分からないけれど、毎回聞かれる質問。

面と向かって人に聞かれ、真面目に応えることのなんと難しいこと、、、!本音を言った方がいいのか?(しかし、目の前にはわが社の人事担当がいらっしゃる、、、、!)むしろ仕事での失敗談とか苦手な仕事・人について聞かれた方が応えやすい。

その場をなんとか大人の対応で切り抜けたあと、ひとりでもう一度自分に問いかけてしまう。わたしの夢はなんなんだろうか?そもそも、夢を叶えるために今の会社で働いているのか?

・・・

「夢=仕事=私」だった私は、初速のまま長く走ることができなかった。ギュン!!!と私なりの全速力だった。いつしか息が続かなくなり、立ち止まることにした。

しかし全速力を辞めて立ち止まっても、心臓の鼓動は止まらず、むしろものすごく、辛い。そのことになかなか気づけなかった。

そこで、ゆっくり歩いてみることにした。目的地に着くことだけを目的にせず、自分の手足を知り、まわりを見て、どう感じるのか確かめながら、ゆっくり前に進むことにした。そしたら案外、私は元気だ。

・・・

人事の方から聞いた話によると、今の20、30代は仕事を選ぶときの基準は「やりがい・価値観」なんだそう。その話を聞いたとき、とても腑に落ちた。

だから、学生たちは福利厚生というよりは私自身の夢や思考を聞いてくる。生きていける分のお金があればいい。それより、働いているあなたはどう感じているのか?それを私の表情や声色から感じ取ろうとしている。

取り繕ったとしても、きっと見抜かれているだろう。次回からはこう応えることにしようと思う。

今の私の夢は、「前に進み続けること」だと。

願うことなら、振り落とされずにこの「建築」という世界を一生、歩き続けたい。そのために、速度を変えながら前に進み続ける。

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