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どこにでもいるあの子たち

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記事一覧

罪人の女

彼女の名前は言わない。
彼女は30歳。
仕事ができ、プライベートはよくわからない。
少し陰がある。
細い煙草を細い指に挟む姿がとても美しい。
長い黒髪はいつも艶があり、
赤い唇にも同じく艶がある。

そんな女。

彼女は仕事が終わるといつものバーでグラスのスパークリングワインを一杯だけ飲む。
片手にグラス、そして片手に細い煙草。
電話が鳴るとテーブルにワイン代を置き、エレベーターでグロスを塗りなお

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人生何が起こるかわからない

31歳。女の前厄。
何が起こるかわからない。

私に起きたことは

パーキンソン病発症。

つい、最近まで、

そう、つい3ヶ月前には

はいていたはずの9センチヒールの靴も履けない。

乗っていたはずの車も自転車も
乗れない。

舞台のカゲアナウンスも
できない。

電車やバスに乗り遅れるからと、
走れない。

なにもかも
できないづくし。

歩けない
走れない
しゃべれない。

でも、

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幸せいっぱいのリカちゃんは

借り上げ社宅として住んでいる湾岸地域のタワーマンションの10階にユリちゃんは暮らしている。
会社案内のパンフレットに若手のホープとして掲載される夫と、ふたりのこども。
ユリちゃんはいつも幸せだ。
身支度を整え、朝はコーヒーを淹れ、朝食をつくり、こどもたちの服を着せ、幼稚園バスに乗せて、夫は出勤する。
毎朝行ってらっしゃいのキスをこどもたち、夫にする。

夫にこれからももっともっと好きになってもらう

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ひとりぼっちだと思ってるユリちゃんは

ひとりぼっちだと思ってるユリちゃん(30歳 ♀)
雑誌は読まない
彼氏あり
ひとりぐらし
某メーカーの事務

好きなものは本と黒い洋服
週末は付き合って5年の彼と料理を作ったり本を読んだり。

そんなユリちゃん、周りの友人が結婚、出産、家を建てる、なんて子も出てきた。

ユリちゃんは迷っている。
彼はいても、結婚という話にはならない。自分は自分たちのペースでやればいい。でも、周りと自分

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孤高の存在(と思ってる)マリちゃんは

孤高の存在(と思ってる)マリちゃん(30歳 ♀)
愛読誌はelleとファッジと装苑
彼氏なし
ひとりぐらし
某メーカーの事務

好きなものは可愛い革小物とカメラ
週末はタウン誌で見つけたおしゃれカフェとカメラ片手に日帰り撮影

そんなマリちゃん、周りの友人が結婚、出産、家を建てる、なんて子も出てきた。

マリちゃんは悩んでいる。
結婚も出来ない。でも、大好きな一人旅とカフェ巡りは辞めら

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なんでも比べたがるマミちゃんは

なんでも比べたがるマミちゃん(30歳 ♀)
愛読誌はvogueと美的と姉キャン
彼氏なし
実家暮らし
某メーカーの事務

好きなものは可愛いピンヒールの靴と巻き髪
週末は女友達とタウン誌で見つけた美味しいお店とクラブ巡り

そんなマミちゃん、周りの友人が結婚、出産、家を建てる、なんて子も出てきた。

マミちゃんは焦っている。
結婚も出来ない。でも、大好きなショッピングとクラブ巡りは辞められない。

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