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ウワサを検証!朝のビタミンCはシミになる?

「ビタミンCは朝塗っちゃダメ!」
「朝、ビタミンCを使うとシミになる!」
という話、みなさんもどこかで聞いたことはありませんか?

こんにちは、COCO.libraryスタッフのまなかです。
私も化粧品会社に就職するまで、こんなウワサを耳にしても特に疑うこともなく信じていました…

そんな私がお送りする今回のnoteでは、ビタミンCとシミのウワサについて徹底解説いたします!


ビタミンCとシミの関係

まず、「ビタミンCは朝使うとシミになる」という根拠を探してみました。

しかし、いくら探しても朝のビタミンCがシミになるという論文は見つけられず、反対になんと「朝(紫外線を浴びる前)のビタミンC利用が好ましい」という真逆の論文を見つけることになってしまいました。

それでは、その過程について紹介していきます!

▶ビタミンCと紫外線ダメージ

Protective effect of pre- and post-vitamin C treatments on UVB-irradiation-induced skin damage ¹⁾ の論文では、ビタミンC(L-アスコルビン酸)を紫外線照射の前後3時間に皮膚に塗布し、その測定結果が述べられていました。

論文によると、

  • 紫外線照射の前後にビタミンCを皮膚に塗布すると、紫外線ダメージ(※1)が抑制される

  • 紫外線照射後よりも、紫外線照射前にビタミンCを塗布した方が、より効果的である

という結論でした。

※1 紫外線ダメージ:
    DNA損傷、細胞生存率、活性酸素種の発生により評価

上記の結果より、ビタミンCは紫外線照射前、すなわち朝に塗布した方が、紫外線ダメージを抑制する効果が高いことが期待できるのです。

朝のビタミンC=シミになる、が広まった理由

では、そもそもなぜ朝にビタミンCを使うとシミになるというウワサが広まったのでしょうか。
今回、幅広く調査した結果、”朝のフルーツが日焼けしやすくなる”という情報番組の特集が、今も広く長く拡散されることになっているというのが有力です。²⁾

その際、理論上の悪者にされたのが、フルーツ中に含まれる光感作物質(※2)「ソラレン」でした。

と言っても、フルーツ中に含まれる「ソラレン」の含有量は少なく、摂取量のボーダーラインはレモン換算で30kg以上。現実的ではありませんよね…
ウワサのきっかけになってしまった「ソラレン」については、また別の機会にご説明しますので、お楽しみに!

さて、話を戻します。
今回の情報収集の過程で見つけたウワサを繋げてみると、以下のような広がりだと予測されます。

  1. ソラレンの含有量が多いのが一部の柑橘系

  2. 柑橘系のフルーツを朝食べると日焼けしやすくなる

  3. 柑橘系にはビタミンCが多く含まれる

  4. ビタミンCが配合されている化粧品を朝使うとシミになる

随分と理論の飛躍はありますが、誤った情報の拡散とはこのように広まるんだなと勉強になりました…

※2 光感作物質:
    光を浴びることで活性化し、皮膚ダメージ(色素沈着や炎症など)を
         与える物質のこと

図1. 光感作物質の反応メカニズム


最後に:この記事でお伝えしたいこと

  1. ビタミンCを朝に塗布するとシミになるという根拠はない

  2. ビタミンCは紫外線照射前、つまり朝に塗布した方が紫外線ダメージを抑制するには効果的

ビタミンC配合化粧品を朝に使用することを避けていた方や、使用するタイミングに悩んでいる方たちに向けて、少しでも迷いや疑問が解消されたら幸いです。
これからも、こんなウワサを調査していこうと思います。
どうぞご期待ください。

参考文献
1)「Protective effect of pre- and post-vitamin C treatments on UVB-irradiation-induced skin damage」Scientific Reports volume 8, Article number:16199 (2018)
2)「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします,西山一郎