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ニュートンとゲーテ「性格」と「強み」 ⑦(2162文字)

マガジン『ひびき』「こころさと」は、こころをどう捉えるか、水面に映る空の色と水の色のような、心に映る感情の故郷を探ります。

前回のキャラクターストレングス(以下CS)とビッグファイブ(B5)を網羅した立体モデルを参照して頂こう。

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Ⅰ.中心軸にあるB5

1)外向性

ビッグファイブ(B5)の「外向性」とは、単なる外向的な外面そとづらや社交性ではなく、冒険的な勇気や内に秘めたヴァイタリティ、何らかのモチベーションなどのポジティブな活力の基になる部分を担う。

つまり感情のベース部分、赤いディスクを担うのだ。これがアクセルになることは一目瞭然だろう。だが、最初にも述べたように、外向性は全てにおいてアグレッシブな行動をとるわけではない。むしろ郊外や田舎に暮らしていても、その生活が内なる活気に満ちている場合は、物静かな人であったとしても外向性が高いと言える。

この特性をさらに堅固に支えるのは立体モデルからも分かる通り、CSの徳性的な勇気や正義や知識となる。

2)神経症傾向

これに対して「神経症傾向」とは、内向的な感情のみでなく、慎重で用心深く、いわゆる神経質な一面があり、感覚的なセンスが高く、ひとつのことに固執する傾向が強い。

「外向性」と「神経症傾向」の二つのベクトルは、同じような自分軸の感情に作用している。感情の面の上昇、下降、浮き沈みに関係する。この傾向が強い場合は、浮力を付けるために、羽や風が必要である。浮力は、揚力と抗力、推進力と重力との関係に基づく。

ベクトル的には、二つの力が相補的に関与し浮力を生み出す。揚力と抗力は、基本的に外向性と神経症傾向の関係を担うとしてよいだろう。また、誠実性や協調性、周囲に存在するCS徳性によって沈みが軽減される。

このような、外向性と神経症傾向に限らず、誠実性や協調性にもこのような相対するベクトルは存在する。それは、誠実性や協調性の低さとして現れてくる。が、こういった性格分類の課題は、特定の人に対して自分がどう対応しているか、それを客観的に見る指標はあくまでも主観であるところだ。

この課題については、色彩の解釈を交えて最終的に触れることになるだろう。

3)開放性

開放という語彙から連想するのは、とにかく開けっ広げで、はっちゃけてるイメージだと思うが、そんな明るい一面ばかりではない。むしろ潜在化している性格傾向ともいえる。その証拠に隠喩的傾向メタファーを好み、社会規範への挑戦や強い霊的感覚など、やもすると精神病的傾向の一面もある。これには内なる「自我」の開放のような印象がある。

こころの連想の広がりを感じやすい傾向から、芸術的な感受性、拡散的な思考などが素質としてあるという。

開放性のフォルムが何を意図するかは、また後ほど触れる。一見すると精神領域に潜む妄想壁のような性格傾向かもしれないが、現代の「VUCA」社会では、むしろこのような性格こそ、アイデアを呼び出しヴィジョンを巡らしていける逸材として重宝される時代となるだろう。

以下、モデルの中心軸を担う2つの性格傾向をみていく。

Ⅱ.左右ウイングのB5特性

1)誠実性

立体モデルで見るように、誠実性や協調性は、特に自分軸を左右に動かすよう(つまり揺さぶるような感覚)に位置している。

誠実という態度には、二つある。他人に対する誠実性と自分に対する誠実性である。ベクトルはあくまで他人に対する誠実性を示している。特に自分に対する誠実性は、自らの約束を裏切らない、自分の欲求に素直に応じるような態度だ。

しかし、これは、公に根差す誠実性とはまったく相容れなくなることがある。特に自らの主張が通らないような環境の場合はなおさらだろう。一般的にはそのような場面の方が多い。

自分自身に誠実であれと思っていても、ルールやモラルに縛られて自分に対し誠実でいられないこともある。つまり、一般常識の枠組の中で、自身の誠実性を見出すことが求められる。

これを解決するには、私人性と公人性のモラル感覚の平衡術を必要とする。おそらく、この辺りの平衡感覚にストレスを感じることがあるだろう。

こういった場合は、特に誠実性は公に向けた偽りの誠実性に傾く傾向がある。この傾向をどう調整するか、それについては、性格の調整機能として最後にまとめて語ることにしよう。

2)協調性

協調性についても同じようなことが言える。こころを構造的に解釈すれば極めて当たり前であるが、自分軸の左右の片翼を担うからだろう。ちなみに左下から右上の方向が誠実性の軸であり、右下から左上が協調性の軸を為す。

この判断の根拠は、誠実性と協調性の意味を考えれば納得できるだろう。

「誠実であるべき」と言うが、誠実できるとは言わない。誠実とは、結果の面に映し出される「理の面」(青いディスク)に映るのだ。

一方、協調であるとは言わず、「協調できる」と言える。協調できるという言い方は、経過プロセスの面に映し出される「知の面」(緑のディスク)に映るのだ。それを見る方法が、こころの立体モデルに記されている。

また、二つの性格傾向は、自らの意思や指向性に忠実なことと、他人の意見や行為にどう反応するかも関係している。

さて、次回はこのCSとB5の総合的な見立てを検証してみよう。


つづく







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