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シエラレオネ訪問記 1

シエラレオネ訪問の背景


 今から5年ほど前に西アフリカのシエラレオネを訪問する機会がありました。外務省が委託するグローバル人材育成事業のグローバルキャリアコースに参加させていただき、そのコースのシエラレオネフィールドトリップに参加しました。

 当時の日記が残っていないので詳細に書けないのが残念なのですが、自分自身が覚えておくため、そして5年が過ぎた今思い出して、とっても貴重な体験であったと思いますので、記憶を元に私の感想を記事にすることにしました。


 グローバルキャリアコースにおいて日本で学んだことは、国連をはじめとする国際機関の方のお仕事について、そして、国際機関に就職するにはどのような能力や経験が必要で採用プロセスはどのようなものかといった研修、そして、国連で働かれている方々、国連でご活躍されていた方々とはじめ様々な先生方から貴重なお話しを聞かせていただきました。

 私は当時社会人経験は10年以上ありましたが、そのコースに参加する2年前から大学の法学部の通信教育課程で政治を主選考として政治と法学を勉強しており、そのコースに参加した年は勉学に集中するために仕事をしておりませんでした。そういった経緯で学生の身分でシエラレオネのフィールドトリップに参加していたので、フィールドトリップの途中で国際機関でインターンをするという貴重な経験を得ることができました。

 

シエラレオネについて


 ここで少しシエラレオネについて少しご紹介したいと思います。シエラレオネは西アフリカの人口814万人の国で、同国で産出されるダイヤモンドを財源に1990年代にRUF(反政府軍)による反政府戦闘行為が断続的に継続するという内乱が発生しました。

 ダイヤモンド問題については、フィクションではありますが、2006年に公開されたレオナルド・ディカプリオ主演映画、「ブラッド・ダイヤモンド」において、フィクションで武器調達の資金源として不法取引される闇ダイヤをめぐっての話が描かれていて、なぜダイヤが発掘される地から血が流れる紛争が始まったのか、分かりやすく描かれていると思いました。(映画の撮影地はシエラレオネではないです)

国連シエラレオネミッション(UNAMSIL)のいきさつ

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/s_leone/index.html   (外務省HPより)

 ダイヤモンドを財源とした紛争発生後、1999年10月、国連安保理は、政府勢力と反政府勢力の間の和平合意を実施するため国連シエラレオネミッション(UNAMSIL)の派遣を決定し、2000年11月のシエラレオネ政府とRUFとの間での停戦合意、2001年5月の両者間の武装解除に関する合意がもたらされ、状況は沈静化した。

 UNAMSILの活動は(ア)統治体制の確立、(イ)DDR、(ウ)治安回復及び軍・警察の体制確立、(エ)ダイヤモンド採掘・売買のコントロール、(オ)グッド・ガバナンス構築を柱とするものであったが、それぞれ大きな成果が見られ、アフリカPKOにおけるグッド・プラクティスとして国際社会からの称賛を得た。
 2006年1月より平和構築プロセスに移行すべく国連シエラレオネ統合事務所(UNIOSL)が活動を開始。UNIOSLの後継として2008年10月より政治・平和構築分野に活動を絞った小規模な国連シエラレオネ統合平和構築事務所(UNIPSIL)が活動を開始(2014年3月活動終了)。

 

日本国内での研修を終えてフィールドトリップへ


 成田空港から中東、モロッコで計2回のトランジットを経て、シエラレオネの首都フリータウンに到着。モロッコでは待ち時間が長かったため、参加者の仲間とモスク観光をしました。確か飛行機に乗っている時間だけで合計24時間以上あったと思います。深夜、フリータウンの空港からボートで市内に出て、ホテルに到着。

 翌日からは、観光庁を訪問して大臣に会い、現地市民社会団体を訪問、シエラレオネ特別裁判所跡地などのフリータウン市内施設を見学、UNDP、UN Women、UNICEF、IOM、WFPなど国際機関事務所を訪問させていただき意見交換、そして、国際機関職員の方や現地で働かれている方々にお時間をいただき、お仕事やキャリアについてお聞かせいただき、意見交換させていただきました。

 フィールドトリップでシエラレオネを訪問できて本当によかったと思います。なぜなら、紛争発生後の国連シエラレオネミッション(UNAMSIL)のいきさつ、そして、現在でも現地ではUNICEF、WFP、IOM、UN Womenといった国連機関により、子供の教育、食糧支援、住居の支援、女性への支援といった分野で活動されており、内乱と平和ミッション、そして貧困問題解決について両方学ぶことができたからです。

フィールドトリップを終えて大きく印象に残っていること

①ホスピタリティ溢れ、フレンドリーで寛容な国民性


 国際機関のスタッフも、ホテルやレストランのスタッフ、ツアーガイドさん、皆さん優しく穏やかでした。特にツアーを手配してくれたシエラレオネ人スタッフには様々な変更、お願いをしたのですが、一度も嫌な顔をせずにこやかに対応してくださり感謝です。
 そして、英語も公用語なのでコミュニュケーションが取りやすかったです。インターンをした国際機関スタッフの何人かはとてもフレンドリーで、一日に三回くらいハグか握手をして挨拶してくれました。日本人がその機関で働くのはどうやら初めてで珍しかったのかもしれませんが、とてもよくしてくれました。

 

②観光庁

 
 観光庁にお邪魔した際に、建物の内側に、"OUR TASK IS TO MAKE MONEY FOR SIERRA LEONE"と書かれおり、直接的表現で書かれていたのが印象的でした。確かに、GDP約42億ドル、一人当たりGNI510ドル(2021年、世銀)のシエラレオネでは、現金収入を得ることは急務といえるでしょう。観光大臣も観光業を発展させて収入を得ることの重要さをお話しされていたと思います。


 

③気候


 私が訪問していたのは11月中旬から12月ですが、日本のじめじめした夏と比較するととっても過ごしやすかったです。気温は30度を超えていたと思いますが、湿度が低くカラッとしていて快適でした。体感が快適だったので、ついつい紫外線対策を忘れ長いこと日光に当たっていたので、夜にはいい具合に疲れました。

 

④とても多くの可能性


 シエラレオネ人の方たちは穏やかでにこやかな方が多いという印象を受けた反面、もっと自分自身でやってみたらいいのにと思ったことがたくさんありました。今回は長くなりましたので、こちらについては次回インターンをさせてもらった時のことを記事にする時に詳しく書きたいと思います。

 

⑤衛生面


 私は胃腸が敏感で他の国に行ってもお腹を壊しましたし、一緒にフィールドトリップを回ってくださった日本人、私以外の4人中3人の方は体調に問題なかったということで、合うあわないの問題もあるかもしれません。しかしながら、国際機関でインターンをしていた2週間の間、10人くらいいた現地スタッフのうち、常に2人程度の人が体調不良を訴えていたか休んでいたこと、視覚と嗅覚で感じたこと、そして現地の方の平均寿命からも衛生面・医療体制は良いとは言えないと思います。
 ホスピタリティー溢れる国民性、国の歴史を学ぶこともでき、アフリカ独特のカラフルで明るい景色を楽しむことができ、アフリカの中では治安は良い方とされていて過ごしやすく、大好きな国なので、もっと衛生面が良くなれば観光地としてもより魅力的になるのではないかと考えます。私が訪問したのが5年前なので現状は変わっているのかもしれませんが。

 ここまでお読みいただきありがとうございます。
1週間の予定でシエラレオネを訪問しましたが、
たくさんの方のご協力のおかげで滞在を延長し国際機関でインターンをさせていただいたことを次回書かせていただきたいと思います。

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