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【イベントレポート】「ドドドのお焚き上げ~おわりは何かのはじまり~」アートを燃やして何がはじまる?

こんにちは!土市担当の笹部睦です。
昨年9~10月に、絵の具から手作りで制作したドドド!アート!。
この絵は、兵庫県立尼崎の森中央緑地の「はじまりの森」の土や柿渋が、使われています。そんなはじまりの地で、この絵はおわりを迎えました。
(制作過程は過去のイベントレポートを読んでみてくださいね)

このアート制作を主導してくれた、アーティストのスギサキハルナさんも、半年ぶりに尼崎に来てくれました。お焚き上げだけでなく、土器の素焼きをしたり、巾着を桜の木の枝で草木染めしたりしましたよ。
スギサキさんがどんなことを伝えたかったのか、私がどう感じたのかを書いてみました。

なんと、当日はあいにくの雨!外でのお焚き上げも変更して、古民家のかまどをお借りして実施しました。突然の変更にも関わらず、尼崎の森さんに大変協力をいただいて、焚き上げることができました。

なぜアートを焚き上げるのか?

それは、みんなで1から作った絵をただ捨てるのではなく、燃やして意味のある形にするためです。どんなものでも、いつかは終わりが来ます。自分たちの手で燃やして終わりを迎えるとともに、できた灰からまた新たな作品が生まれていく様子を見てほしい、という思いがあります。

また、スギサキさんは、「今日作成する草木染めや素焼きに生命を吹き込んでほしい」とおっしゃっていました。尼崎の森で生きている植物を使って草木染めをすることで、巾着に生命を吹き込む。みんなで作った土器を焼いて、生命を吹き込む。
ただ作るだけじゃなくて、そこにあるもの、自然の生命を感じながら今日は過ごしてほしいとお話してくれました。

なんでも意外と自分できる

お焚き上げだけでなく、草木染めや素焼きをする理由、それは「意外と自分で作れる」と感じてもらいたいからです。お金を出せばなんでも手に入る時代ですが、自分で作れるものも多いし、そのほうがゆたかだな~と感じます。ドドド!アート!でも土や草木といった、簡単に手に入るもので作った絵の具で、描いてきましたね。素焼きを個人で行うのは難しいかもしれませんが、草木染は簡単に手に入る桜の木の枝で染めました。

また、「自分でできる」とわかることで、この先なにかやりたいことができたときに、その一歩目を軽く踏み出せるようになると思います。土や草木といったさりげないものが起点となって、その先の生きる道筋になることもあります。「意外と自分でできるやん」を感じてもらえたなら、嬉しい限りです。

1週間前に集まって作った土器を焼いていきます。個性が光っててかわいいです。
かまどで焼くのは難しいけど、意外と上手に焼けた!生命が吹き込まれたかな?
煮出し液は、尼崎の森さんが用意してくれました。どんなふうに煮出し液を作るのかの学ぶのために、桜の枝をみんなでちぎって、煮込みました。だんだん色が茶色に変わっていく!
家で乾かしたらこんな色に。煮出して染めてみないと、どんな色になるのかわからないのが面白いところです。

続けたことが真になる

さあ、ついに作品を細かく切って、どんどん燃やしていきます。小さく切られて火の中に入ってく様子を見ていると、本当になくなってしまうんだと切ない気持ちになりました(人知れず涙をこらえていました…笑)。

みんなでちょきちょき。細かく切っていきます。

最後のひと巻きは、スギサキさんがかまどに入れることに。そのときに、かまどの前にひざをついたまま、スギサキさんが歌を歌い始めました。歌詞のない、なんだか神秘的な歌です。みんなで静かにスギサキさんを見つめました。

その後、スギサキさんは「あの瞬間だけが自然と繋がれる。自然と自分を繋げる行為なんだ」とおっしゃっていました。アートとは、自分を表現すること。誰に茶化されたとしても、自分がやり続けたことが真になる、とスギサキさん。絵で自分を表現しながら生きているスギサキさんだからこそ、強い説得力があります。

焚き上げたのは、5枚の絵のうち1枚だけ。あとの4枚は好きなところを切り分けて持って帰りました。みんなお家に飾ってくれたかな?

最後に、できた灰を瓶に詰めて、スギサキさんから一人ひとりに手渡しました。スタッフも、参加者さん一人ひとりにご挨拶。第1回から参加してくれている方は、同窓会みたいにまた集まれて嬉しかったです。今回初めてだった方は、一見よくわからないイベントに参加してくれて、本当に感激でした。みなさん、ほくほくした気持ちで帰ってくれたのではないでしょうか?

全ては移り変わる

この写真を眺めていると、これまでのいろんな思い出がよみがえります。もうこの絵はこの世にいないのかと思うと、正直さみしいです。

でも、お焚き上げをしてわかったことがあります。
全てはうつり変わります。草木だけではなく、私たち自身も。大切なものと別れるのは、やっぱりちょっぴりさみしい。でも、このさみしさは、希望の光でもあります。

私たちの作品は、灰になり、またどこかで新たな作品になるためにスギサキさんと一緒に旅立ちました。ドドドを一緒に描いてきたみなさんとも今回でお別れですが、またどこかで出会えるかもしれません。

ここから何がはじまるのかな?
次は何ができるかな?

ドドドのお焚き上げ~おわりは何かのはじまり~

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