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交渉学入門

何らかの利害関係が生じている中で、関係者間で行われる対話や議論を「交渉」という

本書33ページ

相互が納得できる条件を導き出し合意するための、いわゆる「落としどころ」を見つけるのが大事である、そのための対話のプロセスが交渉だと理解しながら本を読み進めていった

そういえば…
お小遣いの値上げを伝えることをはじめ、子供の頃から家庭の中でいろいろな交渉ごとを体験していることを思い出した

母親にお小遣いのことやほしいものについて話しても受け入れられた事はあまりなく、熱意だけが相手の気持ちを覆す唯一の手段なのだと気づきてからも、涙ながらに訴えるのも疲れる…そうまでして欲しくないかもと諦めたことも多かった

今思うと私がしていた事は交渉ではなく嘆願だと思うのであるが、そんな経験のなかで交渉は無理なものという認識が刷り込まれたように思う

私は交渉が苦手
人生の中でもあまり交渉をしたことがない
そう思いながら過ごしてきた

***

息子が高校3年生になった時、国立大学に進学するために塾へ通いたいからお金を出してほしいとお願いされた

話を聞くと1教科につき15,000円の授業料がかかり、6教科習いたいという
なんと…1月に9万円!

嘘でしょ、無理です…と即答したが、彼は食い下がって訴えてきた
嘆願ではなく交渉してきたのだ

あの当時、我が家の家計から月9万円の支出、しかも10ヶ月通いたいという、総額90万円の出費はとても非現実的な金額であった

自営業が立ち行かず一転して、夫婦共働きの私たちに貯蓄はほとんどなかった

子供というのは怖い
遠慮というものを知らない

何を言っているのか…
ありえない金額を突きつけられて唖然とした

我が家は子供たちが中学生の頃から、学校の授業料、大学の学費は親が負担する、車や車の保険、結婚式などの費用は自分たちでまかなうということで折り合いがついている

学費は親であるが…塾代は別だよね
そもそもネットもあるし本も買える
やれる範囲で受かる大学に通ってほしい

私自身、自分のキャリアの構築に一生懸命で、余裕が全くないころ

子供は自分でキャリアについて考えるものという考えのもと進路も子供任せ
国立大学に進学したいといわれて、学費が私立より少なくて済むとほっとしていた

息子は幼稚園時代に頭部の剥離骨折なるものを経験していて、お医者さんからもしかすると半身不随になるかもといわれたことがある

奇跡的に完治し後遺症も全くなく、それ以降我が家の家訓は「毎日を元気で楽しく、他人に迷惑かけない」となった

その息子が交渉してきた

無理だよ…と冷たく一言で片付けた私に
「でも4年間私立の大学に通うとなると、500万円は最低かかるらしい…考えてみて、ここで僕に90万円投資しても、国立大学なら250万円、足しても340万円の出費で収まるよ」
「家から通うしバイト代で交通費とか昼代とか小遣いもやりくりするから、今後の負担はないよ、何より県外への仕送りとかないんだから、いい話だって」

そう言われればそうかも…と思えてくる
総額の出費が低く済むなら、確かに先行投資もあり、納得できた

結果、息子の交渉のとおり塾代をなけなしの貯金で負担し、国立大学へ彼は入学した
約束とおりバイトでまかない親の負担はなしであった

後ほど話は変わって理系だから院へいく…
と言い出した時は、また彼に交渉されることになるのだが…

このことから両方に利がある話に持っていくことが、自分の意見を通せるコツなんだと逆の立場から学んだ

人と人との関係においても、自分ばかりが得するのではなく他の得を考えることが、今ではできるようになった

この本は同じ大学のキャリアセンターで働く方が勧めてくれたもの
人から勧められたものは必ず読むようにしている
読んでよかったと思うことが多いからだ

交渉には交渉テクニックがある
交渉は学べる、これがこの本のタイトル「交渉学入門」である

グローバル化が進み、複雑な利害関係が絡み合うなか、交渉できる力はビジネス社会において強みである

どんなことが書いてあるのか…
しっかりと読み込み、私のキャリアにおいて活かしていきたい

サクサク読めます

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