ロビンダブルリストロック

私的プロレス技名鑑⑦ダブルリストロック

今回はダブルリストロック(チキンウィングアームロック)のご紹介です。ダブルリストロック(Double Wristlock)とは腕緘またはアームロックの一種です。キーロック(Key Lock)、ブラジリアン柔術ではキムラロック(Kimura Lock)と呼ばれることもあります。

ダブルリストロックとは、片方の手で相手の手首を掴み、さらにもう一方の腕で「4の字」を作り、相手の腕を絡めながら自分の手首を掴み、相手の手を相手の背後に回すように捻り上げる技です。

絡めた腕が支点となるテコの原理で肩関節にダメージを与えることができます。どんな体勢からでも狙うことができて相手が逃げようと動いても腕が極まる方向になりやすく、また、リストロックや腕ひしぎ逆十字固めなどの連絡技に移行しやすいため、プロレスだけではなく、総合格闘技の試合でもよく用いられます。

名称についてはいろいろあるのですが、これは使い手のこだわりにも関係があるようです。たとえばルー・テーズは「チキンウィングフェースロックは鳥のように腕は動くが、ダブルリストロックは極められると腕は動かないから、チキンウィングアームロックと呼ぶのはおかしい」と言っていたそうです。

テーズは「試合中に1つしか技を使ってはいけないといわれたら迷わず、この技を選択する」と語るほど、この技へのこだわりは強かったのです。

しかし、UWFがムーブメントになるとこの技は「チキンウィングアームロック」と呼ばれるようになります。U系選手は主にこの名称を使っていましたし、中継の実況でも「チキンウィングアームロック」と呼ばれていました。

キムラロックに関しては、1951年10月23日にブラジルリオデジャネイロ市のエスタジオ・ド・マラカナンで行われた木村政彦対エリオ・グレイシー戦の試合において木村が、この技で勝利したことからブラジルを中心に「キムラロック」や「キムラ」とも呼ばれるようになりました。

ダブルリストロックは、かつて、アントニオ猪木さんがアクラム・ペールワンを、藤原喜明さんがスーパータイガーを、この技で肩脱臼に追い込んでいます。名手は前述のルー・テーズ、藤原組長をはじめ、初代・上田馬之助さんが奥の手として隠し持っていたことでも知られており、エル・サムライ選手も得意技としています。近年ではWWEのブロック・レスナーも使っている技ですね。


この記事が参加している募集

両親2人の介護を一人でやってます。プロレスブログ「せかぷろ」&YouTube「チャンネルせかぷろ」主宰。現在ステージ2の悪性リンパ腫と格闘中。