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【10月の日記】《GRAPEVINE TOUR 2023》10/26 東京 LINE CUBE SHIBUYA公演を観て

「今こそ俺に賭けてみないか!「You bet on me!」」という威勢のいい田中和将の掛け声と共にライブは幕開け。そして本編・アンコールを終えると、感謝の言葉とともに「今日も幸せでした」と言い放ち、ステージを去った。彼が、9月のZepp Shinjukuで観たときよりも(精神的に)パワーアップしているように見えたのは、久しぶりの全国ツアーが充実している証拠だろう。

9月に発売されたアルバム『Almost there』の世界をディープに掘り下げるのではなく、そこに既存曲をプラスすることによって、さらにその世界を広げていくようなセットリスト。大切な人達を守る覚悟、バンドを続けていく強い意志がストレートに伝わる。各所で話題になった「雀の子」を始め、やさぐれ中年感を滲み出しつつも、どこか素直で、正直に、恥じらうことなく感情を露わにしている。

だからだろうか、グッときてしまう瞬間があまりに多くて、今までになくGRAPEVINEというバンドを近くに感じられたのだった。バンドがお客さんと真正面から対峙している。いや、今までもそうだったのかもしれないけれど、GRAPEVINEはライブ中に緊張感で張り詰めた空気を漂わせたり、お客さんを突き放そうとするパフォーマンスをする(そして棒立ちで演奏に聴き入るお客さんの様子を楽しんでるようにすら見える)バンドなのに、今回はそんなドSさがない。東京のライブには関係者がたくさん来るので、地方公演に比べると、かしこまった雰囲気になりがちだけど、視線はずっと観客から逸らすこともない。

ライブが進むと同時に、どんどんこちら側に歩み寄って来ているような気がした。

(アルバムに収録されている「停電の夜」は愛おしいものを大切に守るかのように歌っている姿が印象的だった。これくらいのネタバレはまぁいいでしょう…)


思い返せば、過去に観てきたGRAPEVINEのライブで期待外れだったことは一度もなかった。大学時代に初めて彼らのライブを観たときから、演奏も歌もいつもカッコ良くて、最高で。だから20年以上このバンドのことが好きでいられたのだと思う。

しかし、2月に行われた復活ライブ以降、自分の中にある積み重ねてきたものを確かめる時間が私には必要だった。積み重ねてきたものが、一時的に崩れたあの期間は、精神的にとてもしんどかった。ただ、逆を言えば、私自身がちょっとバンドに依存していたのかもしれない。

何かを応援のスタンスなんて別に人と比べるものでもない。だから、自分が目で観て感じたことを信じ、大事にしたらいいのだと今は思う。だって、昨日のライブも、初めてGRAPEVINEのライブを観たときと変わらず、かっこよくて最高だったから。

去年の今頃はこんなライブを観ることができるなんて思ってもみなかった。彼らの未来は明るい、と信じています。


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