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情報教育の未来を考える”若手”勉強会第1・2回開催レポート〜情報教育の未来をみんなで構想中〜

こんにちは。みんなのコード政策提言部の田嶋です。

みんなのコードでは、今年5月から「情報教育の未来を考える”若手”勉強会」(以下、若手勉強会)を月に1回開催しています。

教員、研究者、民間企業など多様な方々が集まって、毎回アツい議論が繰り広げられていますので、その一端をレポートしたいと思います。

なぜ始めたの?

若手勉強会は、「主に小中高の情報教育のあり方に興味をもち、未来を創る視点をもった”若手”がフラットに議論できるコミュニティを構築すること」を目的としてスタートしました。このコミュニティでは様々な関係者が、スピード感をもって、特定の主張等に縛られず自由に議論できることを目指しています。

このような場を目指したのは、以下のような声を聞いたことに由来しています。

  • 各学校現場等での実践を学会で発表しようとする場合、学会の開催時期を待ったり、論文の形式に整えたりする必要があり、実践から共有までのスピード感に欠ける

  • 特定の学会の発表では、その学会が大切にしている主張や前提等に引っ張られることがある

また、国の審議会をはじめ、次の情報教育を語る場に、いわゆる”若手”*が不足しているのではないかという懸念もありました。

ちょうど生成AIが台頭し、情報教育への注目が高まっていたこともあり、このタイミングで若手勉強会をはじめてみよう!と決めました。
*「自身が若手だと自負できる方」と定義し、具体的な年齢は設定していませんが、会の趣旨を鑑みて、参加人数が多い場合などには年齢も参考にしています。

第1回:参加者の課題意識・悩み共有しよう

初回は、コミュニティ形成を目的として、参加者の勉強会に対する期待感や情報教育に関する課題意識・悩みなどを共有する時間を設定しました。

以下、参加者の方から寄せられた声をいくつかご紹介します。

【勉強会への期待感】

  • AIの登場によって、根本的に社会が変わり、学校そのものも変わるのではないかと思い、勉強したいと思った

  • コンテンツよりビジョン等が重要であり、もっと広い視点でフラットに対話し、本質を解き明かすような、哲学的な場が必要だと思っていた

  • 情報教育は、子どもだけでなく、家庭、地域にまで広げ、皆で考え学んでいくものだと感じている

【課題意識・悩み】

  • 現在のGIGAスクール構想に基づく取組は、真の情報活用能力の育成に繋がっていないのでは?

  • プログラミング教育の波が落ち着いてしまった

  • 教育委員会・学校・教員ごとの取組・意識の差が大きい

  • 教育行政との建設的な対話がなかなか進まない

  • 小学校では教科化されていないため扱いが難しい

  • 「専門は情報教育です」と名乗るのは肩身が狭い

  • 中学校では技術科の先生に丸投げ

  • 生成AIの、社会への浸透に備えた教育が必要

  • 情報教育についての情報交換する場がほしい(校内・校外ともに)

各現場で課題を抱えつつも、シェアする場がない・関係者との対話の必要性を感じているということを確認することができました。

第2回:生成AIの仕組みをみんなで知ろう

6月に開催した第2回では、株式会社Preferred Networksのエンジニアリングマネージャー 西澤勇輝さんから「AIの仕組みを知る:言語処理モデル・生成モデルとその可能性」についてお話ししていただきました。

西澤さんの資料は、こちらに一般公開されておりますので、ぜひご覧ください。

参加者の方の注目が高かったのは、「これから必要なもの、これからも必要なもの」の部分です。

西澤さんの話を聞いた参加者からは、

  • プログラミングについて学ぶことはまだ価値のあることと聞けて安心した

  • 今後の教育での活用などについて考えることができた

  • 学校の授業でも実践していきたいと野望をもつことができた

といったポジティブな声が寄せられました。
一方、

  • プログラミング・アルゴリズムの理解の有無で生成AIを使いこなすために大きな差が生まれてしまうのではないか

  • 従来のプログラミングに対する理解がない状態で、生成AIの価値を分かってもらえるのか

  • Scratchですら禁止している学校で、生成AIの使用を理解してもらえるのか

といった不安の声もあがったことが印象的でした。

生成AIを独立した新しいものと捉えるのではなく、プログラミングを含むこれまでの情報活用能力育成の文脈の中で考える必要があるということを、参加者のみなさんと共有ができた会だったと思います。

第3回と今後の予定

7月4日に文部科学省から「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」が公表されたことを受けて、第3回勉強会は、このガイドラインを参加者で議論しました。ガイドラインに対する現場からの評価、不足を感じる部分など、様々な意見が挙げられました。

教育関係者にとって関心が高いトピックだと思いますので、この会のレポートについてはまた別途お知らせします。

若手勉強会では、生成AIに限らず情報教育全般について、今後も継続して議論していく予定です。第4回は8月30日(水)18時から開催予定です。興味のある方はぜひ一度参加してみてください!


ここまでお読みくださりありがとうございます。
みんなのコードは、「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」をビジョンに掲げ2015年の団体設立以来、小中高でのプログラミング教育等を中心に、情報教育の発展に向け活動し、多くの方からのご支援をいただきながら取り組んでまいりました。

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