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雑記(花村萬月『ゲルマニウムの夜』)

 花村萬月『ゲルマニウムの夜』を読んだ。神(宗教)の問題を根底に据えつつ、人殺しで(ごく一般的に考えて)暴力的な主人公の姿を描く。想像以上に面白かった。本人は娯楽小説をメインのフィールドにしているが、この作品が芥川賞であることからも分かるように、単なる娯楽には収まらない深さがある。

 人間関係、とくに権力関係を描くのが上手いと思った。著者の経歴が関係しているのかもしれない。主人公が宇川君の口に石を入れさせて、そこに蹴りを入れるシーンは圧巻。

『喰え』
『許してください』
 素早く鋭いやりとりである。鋭さゆえに空気が軋む。気配がおきる。教官がこっちを見た。

『ゲルマニウムの夜』文春文庫 2001年 p.159

 詳述はしないが(汚いので)、ここの描写なんかはしびれた。

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