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ちょうどいい匙加減

「ウチはさぁ、今晩ラーメン行くんだよね」

同僚のMさんはコミュ力おばけ。
特にすごいことを話すわけじゃないんだけど
その人のそばにいくだけで楽しい。安心する。
口を開けば当たり前のように笑いが起きるし
話題が伝染するように周りに話題が連鎖する。
彼女の周りには笑顔の人が集まってくる。
非常に興味深い人だ。

聞けば最近娘に怒られるという。
初対面の店員に馴れ馴れしく話しすぎだと。
恥ずかしいから誰彼構わず話しかけるなと。
私より娘のほうがしっかりしてるんだよねと
軽く語るNさんはやっぱりただものではない。
打ち解ける能力が高すぎる。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

コミュ力おばけのMさんに限らず
雑談が上手い人は必ず持っているモノがある。
それは自己開示の絶妙なさじ加減。

自己開示とは自分のことを話すこと。
言ってしまえば自分語りなわけだけど
このさじ加減って案外難しい。

自分のことばっかり話しては嫌われるし
かといって全く話さないと打ち解けられない。
どうでもいい自己開示だとつまらないし
かといって重すぎる話では受け入れられない。

あくまで“ちょうどいい”自己開示が求められる。
しかも“ちょうどいい”は聞く人によって違う。
だから万人受けする自己開示なんてありえない。
そのはずなのにコミュ力おばけは颯爽と飄々と
『みんな』を惹き付ける自己開示ができちゃう。
これはもうセンスと言っていいのかもしれない。

“ちょうどいい”自己開示には返報性が生まれる。
返報性とは、同じような話を返したくなる性質。
「あ!それ私もね…!」と言いたくなるアレだ。

ちょうどいいさじ加減の自己開示ができる人は
相手にも自己開示をさせるのが抜群に上手い。

私たちはお互いに自己開示をし合うことで
一歩一歩、心の距離が近づいていく。
そうやって人は人に惹き付けられる。
しかし、コミュ力おばけは化け物だ。
心の距離の詰め方がエグいほど早い。
普通の人が何か月もかかるところを
一つの会話でグンと近寄ってしまう。
正直すごいと思う。憧れる。

“ちょうどいい”自己開示はどうやるのか?
・・・それが分かれば苦労はしない。
さっきも書いたがセンスのようなもの。

『自分の行動が周りに良い影響を与える』
そんな成功体験を積み上げていくことで
無意識に備わった感覚的なものだと思うが
具体的にこう、とは言えない。
しかし一つだけ言えることがある。
それは人が好きなこと。他人が好きなこと。
自分以外に興味がないと難しいということ。

自分以外の人を楽しませたいという気持ち。
やっぱりエンターテイナーと呼ばれる人は
なるべくしてエンターテイナーなのだと
コミュ力おばけを見ると思い知らされる。


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