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仮面をかぶる繊細さん

「次郎。お前にいいことをおしえてやる。
オレは自分の目で見たものしか信じない。
アメリカを見たことがないオレはつまり
アメリカという国の存在を信じないのだ。
アメリカなんて嘘っぱちかもしれんぞ?」

ガガーン!!

当時小学校低学年だった私は
みっつ年上の兄が言った言葉に
目ん玉を引ん剝くほどショックを受けた。

(兄ちゃん、カッコいい・・・!)

人生で初めて兄を心の底から尊敬した瞬間。
だってこんなこと、親も教師も言わない。
テレビに出る人だって誰も言わない。

「アメリカには自由の女神があるんだよ」
「イギリスには女王様がいるんだよね~」

彼らは、自分で実際に目にしたことがない事を
さも「見てきましたよ」と言わんばかりに語る。
他の誰かから得た情報で、ドヤ顔で語りまくる。

それが心にひっかかっていたところに兄の金言。

これってつまり
「情報を鵜呑みにするな。自分で考えろ」の意。
小さいうちにこの言葉を聞けて本当に良かった。
すごいよ兄ちゃん。ナイスブラザーブラボーだ。

「・・・オレ、そんなこと言ったっけ?」

十数年ぶりに兄を捕まえて当時の感謝を述べたら
なんと兄は全く覚えていないという。
そんなことある?あれだけ弟を感動させといて!
まあ、いいけど。とにかくありがとうだよ。兄。

兄の言葉に骨の髄まですっかり影響された私は
自分の目で見たものしか信じないもんね!
ちょっと(かなり)屈折した大人に成長した。

なので自分が持っていない感覚を持つ人には
どうにもこうにも懐疑的な見方をしてしまう。
繊細さんの存在なんてその最たるものだ。

「繊細さん?マジでそんな人いるの?
少し鋭い感覚を持ってるかもしれないけど
要は自分を特別扱いしているだけでしょ?
“私、霊が見えるんです”とか言っちゃう
痛い中学生と同じようなもんじゃないの?」

鈍感な私はこんな感じで全く信じていなかった。

多数の書籍を読むこと+いくつかの実践により
論理的に繊細さんの存在を理解した今としては
とんでもなく無知だった自分が恥ずかしい。

でも同時に、かつての私みたいに
繊細さんの存在を信じられない人が
数多く存在いるってことも理解した。

なんせ繊細さんは5人に1人。
20%しか存在しない、いわゆる少数派。
その他80%の多数派が受け入れる未来は
まったく想像できない。

つまり繊細さんは、他の人に自分の感覚を
受け入れてもらえないのが当然となる。
真面目に丁寧に自分の感覚を主張しても
(何を言ってるんだ?)
みたいな白い目で見られて終わり、である。

そうして他人に理解してもらえない!が続いた
一部の繊細さんは、仮面をかぶるようになる。
「私も鈍感側ですよ」と書いた偽りの仮面を。

だってその仮面をかぶって他人と接していれば
少なくとも他者から攻撃されることはないから。

でも、悲しいことにその仮面をかぶっていると
そばに寄ってくるのはいつまでたっても
自分を理解してくれない人たちばかり。

なぜなら、人は外見で判断する生き物だから。
ほとんどの人は内面なんて見てくれない。
外面だけを見て寄ってくる。
(この人話通じそう!)って人に寄ってくる。

仮面をつけないと攻撃されてしまうけど
仮面をつけ続けていると理解者が皆無。
これってなんて悲しい呪い?

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

この呪いを解くにはどうしたらいいかというと
やっぱり偽りの仮面を外すしかないんです。

長年着けていた仮面を外すのには
とてつもない勇気が要ります。
コロナ最盛期にマスクを外すくらい
とてつもない勇気が要ります。

それでもえいやっと仮面を外すと
周りの人たちが大変おどろきます。
「君、誰?知ってる人じゃない!」って。

勝手にあなたのことを決めつけていた
多くの人たちは、あなたの元から去ります。
もしかしたら全員いなくなるかもしれない。

そのときあなたは
(やっぱり仮面外さなきゃよかった)って
後悔してしまうかもしれない。

でも、あなたから去っていく人というのは
本当のあなたに合わない人たちです。
仮面を見て寄ってきた人たちだから当然です。

そうして素顔で生活しているとやがて
『人間関係の入れ替わり』が起こります。

あなたの周りに集まってくるのは
あなたの素顔に好意を持つ人たちばかり。
あなたを理解してくれる人たちばかりです。
控えめに言ってサイコーな環境になります。

noteで執筆している人なら分かると思います。
自分の記事を「スキ」してくれる人たちは
やっぱり自分に合った人たちになりますもん。

仮面は、繊細さんでも鈍感さんでも
誰だってかぶります。
家族に向ける顔と、会社での顔が違うなんて
だれでもやっていることです。

でも、仮面はあくまでもかりそめ。
一時的なものとしておかないと
いつのまにか仮面が皮膚とくっついてしまい
どうにもこうにも外せなくなってしまいます。

仮面のご利用は計画的に。
やっぱり素顔をさらすって気持ちがいいです。


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