嫁ちゃんが作ってくれた本日の夕食
お好み焼きとナポリタンに舌鼓を打ち
熱い珈琲で一息つく。今日も贅沢すぎる。

そういえば！と、テーブルをはさんで
ナポリタンをつつく嫁ちゃんに聞いた。

「今年、一番買ってよかったものって何？」

「もぐもぐどうしたのいきなり」

「ぼくの一番はノートパソコンスタンドなんだ」

「へえ」

「嫁ちゃんの一番は、何だった？」

ちょっと待ってと口元を拭く嫁ちゃん。
そして自信満々の眼差しでぼくを見た。

「サウナハットだね！」

！？

「え、なに？何て言ったの？」

「だから、サウナハットだよ」

「あれかい、サウナの中で被る帽子？」

「そうそう、熱波を防ぐ優れモノだよ」

「マジで？マジでそれが今年ナンバーワン？」

「えー、本当だよ？自宅でも被ってるからね」

ああ・・・そういえばこの嫁ちゃんは
サウナハットを被って入浴してたな…。

「あのさあ、自宅の風呂で被る意味あるの？」

「何言ってるの夫くん。“ととのう”んだから」

なんだか話が通じなくなってきてしまった。
こうなった嫁ちゃんはぼくの理解を超える。

「うーん、サウナハットねえ…」

「あー、なんかあきれてない？」

「そんなことないよ。驚いただけだよ」

「わかった。風呂沸いてるから入って」

「ええ…」

何がどうわかったのだ嫁ちゃんよ。
何故ぼくが風呂に入る流れなのだ。
でも逆らえないぼくは風呂に直行。カポーン。

「シャッチョサーン、湯加減どうアルか？」

謎の外国人と化した嫁ちゃんは良い顔で
湯船のぼくにサウナハットを被せてきた。

「ああ、ぼくも被ってみれば分かるって？」

「そうアルよ。被り心地は結構いいでしょ」

まあ、確かに悪くない。伸びすぎた髪を
まとめて包み込むサウナハットは暖かい。
そうか、濡れた髪を冷やさない効果も…。

「へえ、意外といいねサウナハット」

「でしょ。それ頭痛も防げるんだよ」

嫁ちゃんは気温の急激な変化に弱い体質。
浴室から出ると頭痛が起きることも多い。
しかしサウナハットはそれを防ぐという。

「はあ、そうなんだ。なるほどね…」

心地良いので湯船でkindleを楽しむぼく。
なんだなんだ、サウナハット、いいかも！

「どう？いいでしょう？サウナハット」

「そうだね、ぼくの負けだ。悪かった」

「わかればいいのよ」

「あのさぁ、負けたついでというか…」

「なに？」

「サウナハット、ぼくも買っていい？」

「あのねえ夫くん」

「はい」

「夫くんの分はもう買ってあるんだよ」

なんと嫁ちゃんはいつの間にか
サウナハットを３つ持っていた。

最初に買ったものをぼくに譲ってくれるという。

さすが私の嫁ちゃん
とりあえず何でも聞いてみるもんだな。
これだから夫婦の会話はやめられない！