見出し画像

そういえばあったリコンの危機

優しい人が多い。
優しい人が多いと私は嬉しい。
話すだけで嬉しい気持ちになれるから。
だからもっと優しい人が増えてほしい。

でも、そんな優しい人に限って
“優しくない人”に捕まってしまう。
なんてことだろう。

あたかも優しい人が増えすぎないように
見えざる手で調整しているかのようだ。
そんな調整いらないよ。

学校とか、会社とか、公共スペースとか
私なりにいろいろ歩いてきたものの
どこにでも優しい人はいるんだけど
同じくらい優しくない人もいる。
マジでこれどうにかならないのか。

まぁ、でも、分かるよ。

私が言う「優しい人」っていうのは
私にとって都合の良い人のことだ。
全人類にとって都合の良い人なんていない。

だから、私が言う「優しくない人」というのも
他の誰かにしてみれば必要な人の場合もある。

なので、「優しい人」「優しくない人」とは
ただの主観。私の勝手なレッテル貼り。
そこに明確な隔たりなんてありゃしない。
どちらも同じように居て当たり前のことよ。

・・・だとしても。
やっぱり私は優しい人と過ごしたい。
自分にとって都合の良い人だろうとも
優しい人達と一緒に生きたいよ。
優しくない人なんてお断りだよ。

そんなわけで私が私のために
私が快適に過ごしやすくするために
私の周りから変えることにしました。

まず嫁を変えることにしました。
今でこそ最高のパートナーですけど
結婚当初はそこまでではありません。
仲は良いしケンカもほとんどないけど
少しずつ不満が溜まる存在というか
徐々に心にズレが出てきたというか
倦怠期を迎えたカップルみたいな存在。

なんか、話をしてもうまく伝わらない。
(これ以上話したら険悪になるな)って
いつも突っ込んだ話ができずじまい。

それはそれでケンカには至らないんだけど
いつか積もり積もったモノが大爆発しそう。
どことなく離婚の影を感じる生活でした。

でも好きの気持ちが大幅に勝っていたから
「なんとかしないと!」って不安があって
いろいろ試してみました。
友人に話を聞いたり本や動画を見たりして
とにかく色々やってみる。試してみる。
でも響かない。言ったことをやってくれない。

一番ショックだったのは部屋の片づけ。
私は独身の頃は部屋をキチっとしてたんだけど
結婚してからは部屋がゴチャッとなってしまった。

明らかに嫁がモノを増やしすぎちゃうのが原因。
それがちょっと我慢ならなかったので

「提案があるんだ」

と極めて冷静に、嫁に提案をしたんです。
提案の内容はこう。
・空いている部屋があるので、嫁のモノは
その部屋に自由に置いてほしい。

しかし嫁の返答はNO。受け入れられないと。
嫁は、私と一緒の部屋にモノを置きたいと。
提案は却下されました。
なるほど、なるほど。では次の提案だ。

・君のモノを減らしたい。片付けてくれる?

しかし嫁の返答はNO。受け入れられないと。
買ったモノは捨てられない。難しいことだと。
提案は却下されました。
なるほど、なるほど。では次の提案だ。

・君のモノを減らしたい。私が捨ててもいい?

しかし嫁の返答はNO。受け入れられないと。
捨てるなんてありえない。やめてほしいと。
提案は却下されました。
なるほど、なるほど・・・

そうして私は一年ほど、あきらめました。
嫁がモノを増やすことをあきらめました。
その結果、どうなったか?

どうにもなりませんよ。
部屋がもっとずっとゴチャゴチャになった。
それだけです。

その当時の私の心境はこうです。
「どうして分かってくれないんだ?
片付けたほうが絶対良いに決まっているのに。
こんなに譲歩した提案をしてるっていうのに。
少しも受け入れてくれないってのはちょっと…」

私はそれでも嫁が好きでしたが
不満ポイントは確実に貯まっていました。
私たち二人史上一番の危機がこの時でした。

しかしそこがターニングポイント。
二人の運命を変える機会が訪れたんです。

きっかけは一冊の本でした。
その本にはこう書いてあったんです。

「嫁に感謝しよう」

なんでも、嫁を変えようとしてはダメだと。
変えるくらいなら感謝しようぜ!と。
感謝しないと何もはじまらないよと。
ざっくり言うとそんなことが書いてました。

(おいおい、感謝なんか毎日してるよ?)
正直胡散臭いなぁと思いました。

でも、私の数少ないスキルとして
『とりあえずやってみる』があるのです。
そして半信半疑のままやってみたんです。

朝起きたらおはよう!今日もステキな顔だね。
朝食で美味しい!これどうやって作ったの?
マジ美味しすぎる。いつもありがとう!
昼食のお弁当には感謝のLINE。
仕事終わりには「嫁ちゃん帰宅!嬉しい!」
夕食ではいつも美味しいご飯ありがとう!

“普段ここまでやらないけど、やったるで”
みたいなスイッチを入れて、感謝しまくりました。
いつも感謝してるつもりだったけど
思ったほど口に出してなかったなぁと思いつつ。

はじめのうちは怪訝な顔をしていた嫁ですけど
二、三日もしたら慣れてきたようで
やがて笑顔で応えてくれるようになりました。

そして十日が過ぎたころに大事件が。

な、なんと、嫁が・・・
嫁が自主的に部屋の片付けをしていたんです。

私「えっ!?なんで?片付けなんて・・・」
嫁「いやー、なんか散らかってるからねぇ」

あれほど口酸っぱく片付けて!と言っても
うんともすんとも言わなかった嫁が
自主的に片付ける???
なにこれ、夢?バチコーン(頬を叩く)

ありがたいことに現実でした。
嫁が、自分の意志で、片付けていました。
まぎれもない事実です。

当時の未熟すぎる私には理解不能でしたけど
私は嫁に対して感謝が足りてなかったんです。

「嫁のここが悪い!正してあげよう!」
こんな傲慢な考えをぶつけていただけです。
でも、それが傲慢だって気付いていない。
それが正義で間違いないって思っていたんです。
無自覚の悪ってほんとタチが悪い(笑)。

相手の悪い所ばっかりを指摘したって
相手は面白くないです。当たり前です。
それより素晴らしい所を口に出して感謝する。
それが当たり前だけど忘れがちで大切なこと。

だって、そもそも私たちってさ
他人をとやかく言えるほど偉くもなんともない。
平等。同じところにいるって自覚が足りない。

年齢がどうこうとか、性別がこうだとか
役職とか家柄とかで優劣決めてる場合じゃない。
嫁を変えたいって?何様だよ私は(笑)。

好きな人が嬉しいことをしてくれたら感謝。
まずこれでしょ。

数年の時間を費やしてようやく
自分の愚かさに気付きました。

いやー、これは実際体験しないと気付かない。
体験できて本当に良かったと思います。
おかげで感謝する意味が本当に分かったし
嫁との仲がそこから上向きになって
紆余曲折を経て毎日が楽しくなりました。
この体験から本当に夫婦になった気がします。

気付いたらめっちゃ長文になってしまったけど
たまにはこういうのもいいですよね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?