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【ライブレポート】tricot爆祭2021 @TSUTAYA O-EAST シナリオアート/ポルカドットスティングレイ

個人的には5月の川崎チッタワンマン以来のtricot、現地ライブは実に2ヶ月ぶりである。共演のシナリオは初見、ポルカのライブを見たのは4年ぶりほどなのでライブレポートと呼べるほどではありませんので感想をつらつら。

グッズ詰め放題

ライブの前にとんでも企画に参戦。このライブは100人限定のグッズ詰め放題付きチケットが販売され、事前抽選で当選。このチケットは優先入場も兼ねており、自動的に前方の座席が用意されるという仕組みだ。このチケットの購入者は前から3列目までの座席を用意してくれるそうで、私は運良く最前列だった。前日が自分の誕生日だったので、tricotからの誕生日プレゼントだと勘違いさせていただく。

「グッズ詰め放題」その名の通り、tricotの過去グッズが詰め放題という太っ腹企画である。しかも服の詰め放題なんて人生で初めてである。

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グッズ詰め放題用の整理番号順に並び、18番目に入場。会場の入場制限は7~10人。スタッフの案内で代わる代わる入る。袋はジップロック付きのA4サイズの袋で、事前告知では「袋が閉まるまで」がルールだったが、実際は袋に"閉まるくらいであればいい"と超ゆるゆる。なので半分の人は袋は閉まっておらずはみ袋から出していた。おそらく両手にわんさか抱えたり、縦に積み上げて大量に持っていくような人がいないようにするための建前だったようだ。実際詰め放題した時間は体感10~15分ぐらい。誰も一言も発さずみんな真剣で面白かった。

あったのはシャツ類、パーカー、タオル、ハンカチ、スマホリング、スマホケース、ステッカー、ポーチなどなどたくさんあったが同じ種類のものが多い感じ。(最初の方だったので全貌は分からないが、この時点で表に出ていないものもいつくかあったと思う)

私はパジャマ、ロンT、Tシャツ、ナップザック、スマホリング2、ステッカー2、ハンカチ、ポーチ、ヘアゴムをゲット。概算2万5000円分くらいだろうか。

次の日から既にキラキラワンさんポーチとパジャマとナップザックとタオルとハンカチとヘアゴムを使用している。

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シナリオアート

楽しい企画が終わり座席に行くと上手最前...の端っこの方。と言ってもメンバー全員見えるし十分である。

ライブ開始の5分前になるとtricotメンバー全員が登場、挨拶するとすぐにトップバッター・シナリオアートからライブがスタート。

当初出演予定だったCrystal Lakeのメンバーの体調不良による出演キャンセルに伴い、tricotの親友バンドであるシナリオアートが急遽代打出演。

ドラムのクミコさんはイッキュウさん関連で単体ではお見かけしたりお会いすることが多かったが、バンドとしては初である。

クミコさんカッコ良すぎた...!普段は明るくてゆるっとした雰囲気、だけど一度ステージに立つとパワフルなドラムにはっきりと聴き取れる透き通った高音ボイスでその存在感に圧倒された。あれだけ叩いてコーラスではなくしっかりと主役のボーカルとして歌えるの本当に凄いと思う。プライベートなクミコさんばかり知っていたから、ゴリゴリドラムボーカルをやっているギャップに完全に惚れた。

歌詞は情景的な日本語ですんなり入ってきたが、ライブは音源を聴いた時よりもクミコさんの前にいたからかずっしりと骨太に感じた。コウスケさんの柔らかい歌声と相まった男女ツインボーカルはどこか懐かしさも感じて凄くよかった。

親友のピンチにすぐ駆けつけるバンドヒーロー、互いの信頼関係が音に乗ってグッとくるものがあった。

ポルカドットスティングレイ

実は2016年の渋谷クロールでのライブが初見。まだ雫さんが「阿部サダヲに似てる」と言われていた頃だ。ライブは2017年のtricot熊谷での対バン以来なのでメジャー行ってからは初のポルカ。

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ちょっとした思い出話をすると、クロールのライブで終演後ポルカのグッズを買いフロアに残っていたミツヤスさんとユウキさんにサインを頂いた(雫さんは当時ゲームクリエイターを掛け持ちしており打ち合わせのためライブ後即帰宅、ハルシさんはいつの間にかいなくなっていた)

他に来ていたポルカ好きのお客様がミツヤスさんとお話ししており、そのお客様がミツヤスさんに写真をお願いしあたふたしていたところ、ちょうどその前にミツヤスさんにサインをお願いしていた私にミツヤスさんから写真撮影を頼まれるという珍事件が起きた。

初めてポルカのライブを見て一発で「これは売れる!」と思った。当時まだ結成1〜2年だったが雫さんの表現力、曲やライブのクオリティ、同年代の若手ルーキーに比べて全てが桁違いの高さだったし、どこか感じる小綺麗さと余裕はまさに圧勝の一言だった。当時から既に”ポルカドットスティングレイ”は完成されていて、クロールがマックスで100人も入らないような高校の教室サイズの超小箱だが、曲数が無いだけで大箱でも十分演奏できる土台が出来上がっていたように思った。

ポルカのライブを見たのは4年ぶりだったが、凄まじい進化は遂げていたことは勿論、クオリティの高さは健在。当時からライブの巧さは変わらないところを考えると恐ろしい。ユウくんのスラップはバッキバキに仕上がっているし、ハルシくんの構わず前にガンガン出にいくカッティングは国宝級。

雫さんの博多弁可愛いかった。曲の途中で雫さんが上手に来たとき目があったので、手を振ったら振り返してくれた。可愛い。「tricotのコピーしたかったけど難しくて間に合わなかった」とのことなので、「爆裂パニエさん」か「99.974℃」あたりのコピーお待ちしております!

当初の発表曲は拍子の取り方など所々のフレーズでtricotをリスペクトしていたように思う曲がいくつかあったが、自分たちの強みであるポップス性を最大限に振り切って突き詰めて、完全に”ポルカドットスティングレイ”というバンドになったなと思った。ライブ初見でも楽しめる曲が多いので、これからもしばらくポルカの勢いは続きそう。

同時に進化したポルカは知名度を全国区にしたバズ曲「テレキャスター・ストライプ」「エレクトリック・パブリック」で戦う姿は既に無かった。

tricot

お待ちかねの主催者。メンバー全員が今回から新グッズのオリジナルカラーである赤色の半袖セットアップで登場。

1曲目は「おまえ」とコロナ禍で制作されたとりわけ目まぐるしい曲からスタート、直後「スーパーサマー」「爆裂パニエさん」と間入れずインディーズ時代の人気絶大の爆発力の高い曲を続ける。

「スーパーサマー」だと分かった瞬間、脳天からクジラのように脳汁が噴射しそうになった。前回の自主ライブ「暴露」がコロナ禍で制作した2枚のニューアルバムを中心にしたセットリストだったため、前回のライブで演奏されなかった古曲が突如ぶっ込まれると、ライブハウス特有の爆音に着火された自分のロック魂のボルテージが急上昇した。それと同時に思い出したのは、ライブハウスで生まれるモッシュダイブの嵐だった。変拍子に転がされながらも変拍子の波に乗るフロアに思いを伏せながら、その爆音を浴び続けた。

イッキュウ「こんばんはtricotです。本来Crystal Lakeが出演予定でしたが体調不良のためキャンセルになり、代わりにシナリオアートに出てもらって、そしてポルカドットスティングレイと一緒にやらせてもらってます」

「シナリオアートはさっきも言ってましたけど2016年のポリシックスの爆祭、去年の配信ライブでヒロミさんが緊急入院でやまピーを急遽召喚、そして今回もシナリオアートに急遽出てもらって、今までもシナリオアートなしではできていないことが多いです。」

「ポルカは4年ぶりぐらいの対バンで、さっき2年ぶりのライブハウスの有観客がここらしくて、誘った時は知らなかったしその二年分をお呼ばれしたライブでよかったのかなと思うけど、捧げてくれて嬉しいです。よくtricotの曲を雫さんのラジオで流してもらってるのをたまたま聴いたり教えてもらったりしてるから、久しぶり感がない」

中嶋イッキュウ、キダモティフォ、ヒロミ・ヒロヒロのトリプルボーカルで大人の魅力溢れる「サマーナイトタウン」で秋に差し掛った残暑を嗜み、そのまま溶けるように「右脳左脳」。直後イッキュウがハンドマイクに変わると時空がカラフルに歪むように「WARP」とメジャーデビュー後のアルバム「真っ黒」「10」から演奏。

tricotは圧倒的な演奏スキルとリズム感に耳が奪われてしまうが、フロント3人は歌も上手い(ちなみに吉田の歌声は聴いたことない)。イッキュウの変幻自在な艶やかな声、先輩のクールなアルトボイス、ヒロヒロの愛くるしいウィスパーボイスとそれぞれの歌声のバランスがまた絶妙に絡み合うのである。

狂おしいほどの変拍子の嵐とすぐに掴めそうなポップ性が両立したtricotは、大人の艶やさとメロウさが加わり、ロック界で異彩を放ち続けているどころか改めて”tricot”というジャンルが確立されているように感じた。

イッキュウ「テレビの企画で『夏にやりたかったことは?』というアンケートで『夏祭りに行きたかった』っていう回答が多くて、でもこれも爆祭だから音楽フェスみたいな祭だし」

キダ「でもやっても夏祭りがあっても行かへんしな。誘ってくれる友達もおらん。」

イッキュウ「先輩にはバンドがあるやん。電子のギターが。」
イッキュウ「倉庫に昔のグッズがいっぱいあっって、当初企画でグッズ詰め放題付きのチケット売ったんですけど、まだ在庫が余っているみたいなので急遽販売することにしました。最初から詰め放題付きのチケット買ってくれた人が不公平やし+1000円の5000円でやります。やった人はパジャマにするなりメルカリに売るなりしてください。ほんまに詰め放題やった人、ちゃんと詰めたん?」

キダ「自分の胸に問うてみ、ちゃんと袋ギリギリまで詰めたか...」

イッキュウ「なんで余ったグッズ詰め放題をやってもろたのにこんなこと問われなきゃいけないん!」

キダ「ほんまにライブ来てくれただけありがたいのにな!」

イッキュウ「あ、せっかく100人限定グッズ詰め放題付きチケット買ってもらった人の気持ちが分からないから夏祭り誘われないんや!」

キダ「うわーーーーーん!!」

茶番な仲良しMCをしたあとに先日配信されたばかりの新曲「Dogs and Ducks」へ。歌詞もリズムも全てが意味不明である。なのに「なんだこれ?」と思いながらも受け入れている自分がいた。「おちゃんせんすうす」同様、へんてこりんな曲という音源の第一印象とライブで聴いた印象は全く一緒だった。

そうだった、tricotの曲は頭で考えてはいけない、感じるんだ。

告知としてアルバム発売と国内&ヨーロッパツアーを情報解禁。残す2曲は「悪戯」、最後はヒロヒロのベースから「メロンソーダ」で「ありがとうございました!」と叫んで終了。

ステージから去った後もアンコールを求める拍手が鳴り止まず、すぐさまメンバー4人が出てくるも「本当にアンコール用意していないんです!時間ないし今日はごめんなさい!」と挨拶し終了。

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イッキュウさんが中盤「このライブをきっかけにこれからもいろんなバンドがライブ出来ますように」と話した。そういろんなバンドマンが言ってきたのをたくさん聞いていたが、こうした思いが次から次へと大小関係なくたくさん成功としているのだと思うと、今は窮屈とも音楽の未来は少しでも明るいのかもしれない。

まだ油断が出来ない状況ではあるが、12月発売の驚異のインスト曲12曲も収録したニューアルバムを提げたtricotの冬の国内ツアー、そして直後の春のヨーロッパでツアーの成功を祈りたい。

本来出演予定だったCrystal Lakeはお預けということで、リベンジライブも兼ねて共演お待ちしております。


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