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【ライブレポート】元メンバー・サトヤスも見に来てたスペシャルライブ【[Alexandros]ALEATORIC TOMATO Tour2021/ZeppHaneda2021.6.24】

ライブハウスツアー2箇所目の3本目、東京場所はこけら落としも務めた最新の近未来型ライブハウス「Zepp Haneda」。

羽田空港の1駅隣に建てられた今ライブハウスは終日飛行機が飛び交い、空は広くロケーションは最高、そして今日は偶然にも満月のストロベリームーン、さらには川上洋平39歳初ライブと偶然が重なったスペシャルライブとなる。

前回のライブレポートはこちら↓

ライブレポート

今回は2階席の2列目、なのだが最前列が関係者席なので実質最前と超特等席。

オープニングはメンバー紹介のムービーと共に新曲のオリジナルインスト音源からスタート。未発表のインスト音源を演奏しきった直後は機関戦士ガンダム「閃光のハサウェイ」主題歌の最新曲「閃光」で颯爽と駆け抜ける。

続けて「Boo!」とテンポの緩急の強い曲を投下。弾けるような音のぶつかり合いが凄まじさに磨きがかかる。

3曲目から仙台とセットリスト変更(おそらく1日目と2日目で変更している)、サイレンが鳴り響き「飛び跳ねろ!」と洋平さんの合図でドロップC#チューニングとヘビーなサウンドの「GirlA」へ。

「Dear Enemies」では「死にたいと言うのはいいそれ以上に生きれば良い」が変わらず刺さる。この曲について前回の仙台のライブレポートでも個人的な考えを書いたのだが追記。

ドロスのツアー開始前に作詞曲を主に行なっていた津野さんの自死を理由に赤い公園が解散した。(洋平さんがインスタのストーリーで赤い公園の解散ライブに行っていたことをほのめかす投稿をしていた)

当初残された赤い公園のメンバーや赤い公園と親交のあったバンドマン、そして全てのバンド好き全員に向けてのメッセージだと読み取っていたが、前後の曲を変えているのにこの曲を外さないと言うことは、この曲に「生きろ」と言う強いメッセージ性が込められているのだと確信した。

跳ねるドラムのイントロにヒロのスラップとリズム隊の見どころ聴きどころ満載の特攻隊「Waitress,Waitress!」で一気に着火。
察した方もいると思うが、この曲は先日の幕張メッセのサトヤス卒業ライブでもあったように「フェスで盛り上がる感じのドラム叩いて!」と洋平さんの指示で出来た曲。きっと前ドラムのサトヤスへのリスペクトだろう。

リズム隊が見せ所を作った直後はギター白井眞輝の出番、つい最近猫を飼いはじめた白井がフライングVに持ち替え、陽気な5拍子が始まると「Cat2」。Bメロではお決まり2・1のクラップに、曲中洋平さんが「マサキが反応しない!」と歌詞替え、さらには白井がギターソロでタッピングや🤘←このメタルポーズをしたりと全力で魅せる。

白熱したキラーチューンを連投した後は、チルタイムゾーン。

Bedroom Jule バージョンでの「Thunder」は抜け感がオシャレながらもサビで点滅したホワイトの照明が稲妻を連想させ、夜の高速道路の映像をバックに余白のある「Vague」は切ない大人の失恋を思わせる。洋平さんが黒のアコギを持つと「Kiss The Damage」はアコースティックバージョンで披露。

はじまりはどちらかともなく/さよならはどちらかともなく
気まずい曇り空の真下で 君のいない日々を 辛うじて過ごすよ

チルアウトタイムでは「Thunder」「Vague」の2曲で洋平さんが、「Kiss The Damage」ではベース・ヒロがシェイカーを担当。

洋平「東京来てくれたありがとうございます、ツアー2箇所目です。…あ、みんは言いたいよね、お誕生日おめでとう。言いたそうにしてるの顔に出てますよ(6/22は川上洋平の誕生日)」

ヒロ「誰も言わなかったら俺が言おうと思ったのに」

洋平「自分から言うスタイルね、この歳になると(39歳)」

洋平「ここは前こけら落としやらせて貰いまして、一番最初にライブをやったのが我々です。そう聴いております。」
洋平「ドラムのリアドが今回のツアーから仲間入りです。フェスで一回やってますけど..雑な紹介(笑)」

リアド「前回ここでディスフェスやったとき、セットリストが直前まで決まらなくてヒヤヒヤしてました」

洋平「リアドにとっては全部新曲だもんね(笑)」

ヒロ「リクエスト式だからなかなか決まらなかった(笑)」

リアド「ですけど、今は楽しくやらせてもらってます」

洋平「それはよかった!前の人(サトヤス)とか喋るだけで笑い起きてたけど、リアドの話は真面目にちゃんとみんな聴いてるというか、さすがだね。」

リアド「こないだ銭湯行きたいなと思ってサウナ行ったら、隣がサトヤスだった。あの人ファッション奇抜だし今ドレッドじゃないし...」

洋平「神出鬼没だね!(笑)あの人どこにでもいるじゃん。渋谷とか下北沢とか…もしかしてあのひと今日いるんじゃない?(2階席を凝視)」

(2階席の客が2階席最前席下手にいるサトヤスをさす)

洋平「いたいた!」

(水色のセットアップのサトヤスが立ってお辞儀)

洋平「”不楽、足る。”もいい感じみたいだしね。そうそう、それと幕張メッセのDVDが出るとか出ないとかで、これから発表されると思うのですが、初めてリアド含めて副音声取ったりしました。」

※幕張メッセDVD化は既に情報解禁済み
洋平「バンドマンって暇だと思われてるけど、仕事しているし今新曲作ってます。誕生日もスタジオで新曲作ってたんだけど、インスタ開くと暇なんですか?てメッセージ来たりするけど暇じゃない!インスタも仕事。」

ヒロ「なんなら新曲のスタジオって集中するから、洋平の誕生日を利用して息抜きした感あるよね」

洋平「誕生日感がなくて、日付変わる直前にお祝いしてくれました。」

洋平「というわけで、白井眞輝がsweetな歌を歌います」

(どよめく観客)

洋平「今1番声出てたね」

まーくん「声出しちゃいけないからな」

またもや白井眞輝が主役に躍り出る、洋平さんからバトンを渡されまーくんが敬愛している浅井健一のBLANKEY JET CITYの「SWEET DAYS」を1番だけカバーし、自身のミディアムテンポのスウィートソング「You're So Sweet & I Love You」へ。甘い歌からロゼさんの美しいピアノの旋律が鳴り響くと「This is Teenage」と美メロソングに転向。

少しずつ音階を上げ、洋平さんが掻き鳴らすギターコードから「Starrrrrrr」「風になって」と清涼感のある曲を続ける。完璧なまでの曲繋ぎに加えて羽田空港の隣のライブハウスで聴く「風になって」は相乗効果なのか、とにかく開放的で気持ちよかった。

本来オーディエンスとのシンガロングが最大の魅力である「Adventure」は声が出せない分、洋平さんが自身の胸を叩きながら「心の中で歌え!」と煽る。

散々リアドの正式加入に関してあーだこーだ言ったりしたが、2年間サポートを務めていた経験と実績があるこそ、今ツアーではリアドがドロスでドラムを叩いている違和感は全く無く、むしろ高いシンバルやトゲのある鋭いバスドラムがサトヤスの意志を受け継いでおり、音楽で、ドラムで、偽りなく自然と好意的にリアドを迎え入れていることが出来ている。

これは彼のただならぬ覚悟と溝を埋めようとする努力の結果が音やグルーヴに出ているのだと思う。

洋平さんが「いつものライブハウスに戻るのは1年後になるかもしれないけど、そうなったときに暴れる練習しようぜ!ファ○キンな状況吹き飛ばそう!」と言うと大暴走タイム、「Beast」は人前で数回しか演奏していないにも関わらず、完全にライブハウスで化ける曲となった。暴れられるライブハウスになった時の爆発力が既に楽しみな曲だ。

東京のライブだし来てくれるかな...と淡い期待を持ち綾野剛とのライブ共演を楽しみにしていたが、やっぱり今回も綾野剛は来なかった。

ライブハウスで1番の盛り上がりを魅せる「Kick&Spin」では、上手に来た洋平さんが白井眞輝をどけるという暴挙に出る。サビ前では「生きてゆく!」と力強く叫び、癖なのかラストスパートにかけて「もっと声出せ!」と煽ったりする場面も。

ライブ中、洋平さんの衣装はビックシルエットの半袖白シャツに片サスペンダーの黒ワイドパンツのオーバーサイズファッションだったのが、ウエストがゆるいのか終始ワイドパンツがズレ落ちて何度もシャツインし直しており、ライブ終盤になってようやく片サスペンダーがダブルサスペンダーになった。

洋平さんがダブルサスペンダーになると「Mosquito Bite」、最後は各メンバーの個人カメラがリアルタイムでバッグのスクリーンに映し出し「PARTY IS OVER」で本編は終了。

さあ帰ろうよ 一人きりで

「PARTY IS OVER」が2019年発表のコロナ前の曲ではあるが、今のライブを象徴するようなフレーズだ。

ステージに表示された「PARTY IS OVER」の文字が「PARTY IS NOT OVER」に変わるとすかさずアンコール。

バンド史上最大のヒットを記録した「ワタリドリ」は「my guiter」を「his guiter」、「四重奏」を「五重奏」と歌詞変え。「ラブソングをやってもいいですか!」と「Dracula La」へ、リアドのドラムが光る一曲だ。

アンコールでは多くを語らず洋平さんが「チルタイムで終わろう!」とラストに「LAST MINUTE」でゆるやかにフェードアウト。「Sleepless in Japan Tour」でトップバッターを飾っていた溶けるように大人びた曲は、今や極上の大人の余韻に浸る曲となった。

ラストはアウトロのバンドセッションで洋平さんがサポートのロゼ、リアド、ヒロ、まーくんを順番にメンバー紹介し、「We are [Alexandros]!!!」と叫び、「愛してるぜ!」と言い放ち、ステージを後にした。

前の人

度々メンバーが話題にする”前の人”とは、言うまでも無く前ドラム・サトヤスのこと。

幕張メッセのライブレポートでは「いつか[Alexandros]の役割を終えたサトヤスにも会える日が来るだろうか」と不安げに書いたのだが、まさかのすぐに3ヶ月後ドロスのライブで姿を見ることが出来た。SNSでの活動はよく目にしているのだが、やっぱり実際に元気そうな姿を見るととても安心する。

今日はサトヤスが見に来ているという安心感もあってか、全体的にアットホーム感が強く全員が伸び伸びとライブをしており、ライブっぽさ満載の絶好調だった。

今日のライブでサトヤスがいるだけで空気が暖かくも穏やかになり、サトヤスがそれ程人望の厚い人物だということ、そして[Alexandros]はバンドを辞めた(辞めざるを得なかった)元メンバーが堂々とライブを見に来るという唯一無二のレアなバンドだと言うことが、同時に完全証明された。

あまりにも素敵な夜で

ライブハウスを出るとすっかり夜になった飛行場と、大きな満月と、ポツポツと足元を照らす柔らかい灯。空港の夜景がとても綺麗で「LAST MINUTE」と相まった夜の羽田空港はあまりにも素敵だった。

今回初めてライブハウスの2階席から見て、モッシュやダイブが許されていた時ならどんな景色なのだろう、大声で歌えていたらどんな風に聴こえるのだろう、アンコールで7曲演奏と大判振る舞いしていた頃が懐かしいと無法地帯に近かったあの頃のライブハウスに想いを伏せつつも、ライブはライブバンドならではの熱気と、洗練された曲繋ぎや、ライティングや映像演出などスペシャリストが集ったハイクオリティなライブは、全てが化学反応を起こし、椅子があろうが関係なく従来のライブハウスそのものでとても楽しかった。早く無法地帯のライブハウスをメンバーに見せたい。

ツアーはまだ3本目。これから行く人は乞うご期待、と胸を張って言えるライブだ。

川上洋平さん、お誕生日おめでとうございました🎉

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セットリスト

1. 新曲(インスト)
2. 閃光
3. Boo!
4.   GirlA
5. Dear Enemies
6. Waitress,Waitress!
7. Cat2
8. Thunder(Bedroom Jule ver)
9. Vague
10. Kiss the Damage
11. You're So Sweet & I Love You(冒頭白井ボーカルカバー)
12. Thin is Teenage
13. Starrrrrrr
14. 風になって
15. Adventure
16. Beast
17. Kick&Spin
18. Mosquite Bite
19. PARTY IS OVER

en. ワタリドリ
en. Dracula La 
en. LAST MINUTE

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