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PTAの役員を私に任せてくれた、ご近所のママ友たち

子どもたちが学校に通っていると、必ず役員決めの時期がやって来る。
3人いたら、3人分。

毎回そのたびに、私は申し訳ないような、複雑な気持ちになった。

我が家には3人の子どもがいる。
長女と二女とは3歳違いで、二女と末っ子の長男は6歳差だ。
つまり、長女の高校入学と、二女の特別支援学校の中学部入学と、長男の小学校入学が同時だった。

現在では3人とも成人しているが、彼らが学生時代は、常にこの「役員問題」がついて回った。



私の住む団地の一角は、同世代のご家族が比較的多い。
特に、ご近所に住む長女の同級生のご家族とは、子どもどうしの関係から仲が良くなり、ずっと家族ぐるみの付き合いをしてきた。

近所のママ友たちは地域の活動にも積極的な人が多くて、長女が幼い頃は、春のさくらまつり、秋の地区対抗運動会、文化祭など、自治会主催の行事へ、どの家庭も家族全員で参加をしていた。

そんな関わりがきっかけで、もう25年くらい前になるが、6、7軒のご近所さんと、定期的にホームパーティをしていた。

それぞれの家族に子どもが2、3人ずついるので、どこかの家に集合するとなると、30人くらいの大人数パーティになる。
各自が料理を2、3品持ち寄り、順番にどこかの家で大宴会をするのが、なんとなくの流れになった。

大人は呑んで食べておしゃべりして。
子どもたちは、家の中や庭でみんなが遊びまわり。

もちろん、我が家も数回、宴会場になった。

そんな楽しいパーティを、長女たちが小学3年生くらいまでの約5年間、四季ごとに持ち回りで開催していた。


当時はまだ、長男は生まれていなくて、肢体不自由の二女も幼児だった。

どこの家へ行っても、二女のゆうが横になれる場所を確保してくれて、小さなお布団を敷いて待っていてくれる。
子どもたちも、順番にゆうのところへ来て遊んでくれた。

そんな近所の関わりの中で、ゆうも当たり前に「その場所に一緒にいる子」になることができ、私はそれを心からありがたいと思っていた。


家族ぐるみの関わりのおかげで、みんなが我が家のことを理解してくれて、ゆうを連れていけないような用事が私にあるときは、近所のママ友が、ゆうを見ていてくれたこともあった。
逆に、近所のお子さんを私が預かることもあった。

頼ってばかりではなくて、お互いに大変なときには助け合える、そんな関係が私には嬉しかった。



私の暮らす小中学校区では、1番下の子どもが年少児さん未満の場合は、小学校や中学校のPTA関係の役はすべて免除になる。

つまり末っ子が年少児になると、すべての役員の対象者になる、というルールがあった。

年度末になると、各地域に分かれて懇談会を開き、対象者の中から話し合いやくじ引きで次年度のPTA関係の役員を決めていた。


長女が中学校に入学する時に、末っ子が年少児になるので、私も中学校の地区委員という学校の役員が、順番的に回ってきた。

「家に介護者がいる」という理由で、免除の申請をすることもできたが、何にも役員をせずに済んでしまうことを、私は内心、申し訳ないと思っていた。

そんな気持ちを相談すると、近所のママたちが

「琲音さんも役員をやったらいいやん。無理なときはいつでも私たちが代役で役員の仕事をするから、遠慮なく言ってね。そのほうが、免除を申請するよりも気楽でしょ?」

と言ってくれた。
それが私には嬉しくて、ぜひ!と、役員をさせてもらうことにした。

次女の入院などでどうしようもないときは、近所の誰かがほんとうに私の代わりを引き受けてくれた。
それでも、夫にも協力してもらって、中学校の役員の仕事をなんとか無事にこなすことができた。


役員を免除してもらえることはありがたいこと。
でもそれと同じくらい心苦しいことだ。

そんな私の気持ちを、ママ友たちに理解してもらえて、みんなに正直に相談してよかったな、と思った。

たった一度だけだが、子どもたちが通う地域の学校でPTAの役員をやれたことは、ずっと免除してもらうよりも、私には嬉しいことだった。
近所のママたちに、感謝をしている。

「みんなで子どもを育てる」

そんな地域の仲間たちのあたたかい雰囲気に包まれて、これまでずっと子育てをして来られたことは、親はもちろん、子どもたちにとっても、ありがたい環境だったと思っている。


その恩返しのつもりで、二女の通う特別支援学校では、PTAの役員やクラス役員、地区委員などを、できる限り何度もやってきた。
みんなから敬遠されがちな、子どものための活動に協力することは、大切な役割だし、貴重な経験だと思う。


最近は、ご近所のママたちも仕事が忙しく、近くに暮らしていてもなかなか会えなくなったけれど、週末に散歩していると、たまに誰かと会えることがある。

その時は必ず、誰もが私にこう言ってくれる。

「ゆうちゃん、元気?」

それが、私にはたまらなく嬉しい。




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