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アパレルものづくりに応用できそうなテック文化

すっかり春ですね。最近の私はまたファッションテック関連で働き始め、アパレル生産のDXを目指しPMとしてシステムのバックエンド側の基本設計などを行っています。学びつつ副業も行いながらなので、もう日々があっという間です・・・(執筆が遅延している言い訳)

そんな日々の中、今回は私がこれアパレルで応用するといいのでは?と感じたことについて書いてみたいと思います。

システム開発のおさらいとテックの文化

まず、簡単にシステム開発の流れのおさらいをしてみたいと思います。システム開発とは、以前書いたnoteでもご紹介した通り、ざっくり言うと要件定義→基本設計→詳細設計→コーディング→テスト→リリースという流れでした。(是非また読んでみてください~!)

私が今行っている基本設計は、アパレルのものづくりで例えるとデザイン(=要件定義)が決まって縫製仕様書やパターンを作成するところになります。縫製仕様を決め、スムーズに製品が完成するよう、作り手へ仕様を正しく分かりやすく伝えるための文書化を行う重要な役割・タイミングですね。これはシステム設計にも共通する部分になります。

そこでご紹介したいのがレビュー文化です。

レビューとは要するに制作物の品質に問題ないか、作った人以外のメンバーが確認・フィードバック(添削やコメント)を行うことです。プログラムのコードレビューが一般的ではありますが、基本設計の段階でも設計書のレビューをチーム間で行う場合があります(実際行っています)。設計書作成→チーム内でレビュー→全員のOKではじめて実装へ進むという流れで、実装中に問題点や矛盾などがあがった場合は設計書を修正して再レビューを行うこともしています。

レビュー文化の良い点・悪い点

さて、このレビュー文化、どのような点が良いのでしょうか。私が感じていることをざっとあげるとこんな感じです。

1. トラブルが減る(集合知による品質の向上)
2. スキルアップできる(教育)
3. 他の人が何をやっているか理解できる(属人化防止)
4. 良いチームや組織ができる(コミュニケーション)

1. は言わずもがな、制作物をいろんな目でチェックするわけなので、間違いや矛盾などを解消できる確率が上がります。また、人によって得意分野があるので、集合知(三人寄れば文殊の知恵)で最適解を導きやすくなり、品質が向上します。

次は2. ですが、私のような設計初心者においては、自分の制作物に対する他メンバーからのレビューはもちろんのこと、他メンバーのレビューを行うことで"作り手に正しく分かりやすく伝わりやすい" 様々なテクニックをたくさん学び、吸収できる機会になります。

続いて3. はどんなことをやっているのか共通認識ができ、"その人しか分からない" 状況の防止につながります。やっていることの共有や説明の時短にもなりますね。そして必然的に4. チーム間のコミュニケーションが増えるので、良い関係性が築きやすくなるのでは、と感じています。

悪い点としては、レビューが結構重い作業で大変、時間がかかるという点です。この点は賛否があります。ただ、上記の良い点と後々の修正やトラブルの縮小を考慮すると、やる価値はあると感じています。

縫製仕様書やパターン作成時での応用

そして、私はこのレビュー文化をアパレルの縫製仕様書やパターン作成時に応用するといいなと思っています。なぜなら昔縫製工場さんへ行ったアンケートをはじめ、縫製仕様書やパターンの記載内容に関して、作り手側から下記のような声を非常に多く耳にするからです。

1. 情報不足(そのままでは不明点が多く確認が必要)
2. 内容の間違い(パターンと仕様書の指示が異なる、指示内容に矛盾など)
3. 見辛い、分かりにくい

このように確認が度々必要になることは作り手にとって非常に手間ですし、なによりトラブルにつながるリスクが高まります。

では、なぜ上記のようなことが起きるのでしょうか。原因としてはスキルなどの教育面であったり、いつも時間がない・確認する意識がない・属人化しやすいなどの文化面、パタンナーの外注化などにより情報のアップデートが共有されづらいといったコミュニケーション的問題があると考えます。(もちろんすべてに当てはまる訳ではないのでその点はご了承ください)

そこで、レビュー!です。

まず、チーム間で先輩後輩関係なく縫製仕様書やパターンのレビューを行うことで、品質向上や情報共有などが行えます。また、工場からの問合せをきちんと反映させメンバーにも共有することで、更なる品質向上やスキルアップ、属人化防止、時短など、良い循環が生まれると思います。少数精鋭の場合、パタンナーが作成した制作物を生産管理がレビューするというのも良いですね。パターンの判断はできないかもしれませんが、ファスナーの長さなど、指示内容の確認を行うことは可能ですよね。

テクノロジーでレビューが便利にできる可能性

とは言え、実際やるとなると、ギチギチに書かれた縫製仕様書の中で情報の抜け漏れやどこを直したのかが分かりづらいという点(=作り手にも分かりづらいということですが…)、CADソフトがないとパターンデータが確認できないなど、そのまま実現するのは大変かもしれません。

システム開発の場合、Githubなどのツールを使用することでどの箇所が修正されたのか一目瞭然、またレビュー時のコメントなどこれまでの道のりが確認できます。こんな感じで、縫製仕様書やパターンをレビュー・共有しやすくなるツールができるといいですよね〜。

え、まだないんかい!!そう思った方、修正箇所の履歴確認やコメントが確認しやすいGoogleスプレッドシートやDriveの活用が手軽で良いかもしれません。ブラウザの拡張機能でDXFデータ(CAD)が確認できるものもあるようです。そのようなツールを活用するのも手です。

最後に

洋服は人が縫っているように、プログラムのコードは人が考えて書いています。作り手ができるだけ良いものを作ることに集中できるよう、依頼者側が作り手へ仕様を正しく分かりやすく伝える工夫や配慮を行う重要性は、アパレルでもテックでも共通するところなのかと思います。誰だってトラブルで大変な思いをしたくないですし!もちろん0になるわけではないですが、実体験を通じいろんな良い効果が得られると感じています。

"コードを憎んで人を憎まず"など、レビュー文化などで検索していただけるとテックの先人達の知恵や軌跡がたくさん見つかるので、興味がある方はそちらも是非読んでみてください〜!

それでは、また。

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