「かながわ短編演劇アワード2022 演劇コンペティション」の審査についての神奈川県への問い合わせの顛末について

「かながわ短編演劇アワード2022 演劇コンペティション」の公開審査会で発生した非論理的な選考手順について、SNSでつべこべ言っていても仕方ないので、神奈川県の担当部門に質問をさせていただき、ご回答をいただきました。

これは審査結果を覆すことが目的ではなく、その手順の不適切さに気づいていただくことが目的で、その気づきについてコメントをいただければと思っておりました。

結論としては、次回の開催に向けて、より明確な審査の方法を検討していくという但し書き付きで、今回の審査は適切な方法で行われたと考えている旨のお返事をいただきました。

この件については、私は今回のいずれの参加団体とも利害関係がなく、当事者ではないそういう第三者の客観的な目からの意見として質問するのが良いだろうと考え問い合わせをさせていただいた次第です。
逆に、このようなお返事をいただいてしまうと現在神奈川県民でもなければ協賛会社の社員でもない私がこれ以上のことを言うのもおかしいかなと思い、残念ですがこれにて口を噤もうと思います。
神奈川県民の方や協賛会社が何も思わないのであれば、それまでのことだろうと思います。

一方、これらのコンペティションにぶら下がる賞金や副賞は若手の団体にとってはやはりとても魅力的だろうと思います。
ですからこれからも機会があればどんどんチャレンジされれば良いと思いますが、残念ながら現状では、それに伴う権威については過剰な期待はしない方が良いのかもしれません。
それを承知の上で挑まれることをお勧めするとともに、少なくとも残念な結果に終わった時に必要以上の落胆をすることのないようにと併せて祈ります。

逆に概論として、先日終幕した演劇都市TOKYO演劇祭もしかりですが、完全に個人で出資して行う場合を除いて(おそらくその際もあった方が良いと思いますが)、公的資金で行われるアートコンペティションにおいて、他の公共事業にも在るような外部からのモニタリングシステムがあった方が良いだろうとあらためて感じました。
県民や協賛会社が何も思わないのであればそれでよいとは書きましたが、おそらくこのような問題があることを承知していない個人・団体が多数おられることでしょう。
知らなければ良いではなくて、知られていなくても安心できる運営である必要があると思います。

前回も書きましたが、世の中には舞台芸術に関心のない人も一定数はおられて、その方々からの理解が保てるようにするためにも、クリアでわかりやすい企画の運営というのは重要だと思います。
そもそもが芸術のために、引いては社会のために行われている事業です。
それが、社会の芸術不信につながるような逆説にならないようにしたいものです。

そして予算を預かる組織・部門はこのような企画を扱うのに相応しく成熟した状態にあるかどうかを常に謙虚に見つめ直してほしいと思います。
もしまだそのような状況にないのであれば、背伸びすることなくもっと均等に若手支援をする施策に切り替えていくのでもよいだろうと思います。
決して無理をしてあちこちでコンペティションを行う必要はどこにもありません。

コンペティションは観客として観ていても楽しいものでこれからも有効に行われていくことを期待します。
でも同時にアーティストを無駄に疲弊させるようなことは観客も望んでいません。

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